- 結婚による永住権取得、アメリカ国内と日本での申請の違いは?
- アメリカ人の配偶者がグリーンカード申請に協力してくれない場合の対処法
- 暴力的な夫から永住権取得の協力が得られない場合
- 学生ビザで滞在中の彼女、 結婚すれば永住権は取得可能?
- 不法滞在中にアメリカ市民と結婚、今後アメリカへの入国に問題は?
- 観光で滞在中にアメリカ人の子を妊娠、このまま永住権は申請できる?
- アメリカ市民との結婚と死別による永住権申請への影響
- アメリカ人との結婚によるグリーンカード申請
Q:現在日本に住んでおり、来年早々にアメリカ人と結婚することになっています。アメリカ市民との結婚を通して永住権を申請する際、日本国内で申請するのと、アメリカ国内にて申請するのとでは、手順に違いがあると聞きました。その違いなどについて教えてください。
A:まず、アメリカ市民との結婚を通しての永住権(グリーンカード)取得の条件についてご説明します。
アメリカ市民がスポンサーとなって永住権の家族申請をする場合、経済的にサポートするだけの収入が十分にあることを証明することが、重要な条件となります。移民局のガイドラインによると、生活保護が必要になる収入の125%以上の収入が必要とあります。スポンサーをする市民に結婚する相手以外の扶養家族がいない場合は、最低1万8212ドルの年収が必要です(2010年8月現在)。
このアメリカ市民に経済サポート能力がない場合、親、友人などを「ジョイントスポンサー」にすることができます。ただし、このジョイントスポンサーもアメリカ市民、または永住権保持者に限ります。
スポンサーは、後に永住権取得者が生活保護などの援助を受けた場合、その金額を返済する義務が出てきます。この義務は、永住権取得者が、①アメリカ市民になる、②永住権を破棄し、アメリカを離れる、③死亡する、④永住者が10年間(40クオーター)納税する、などの状況になるまで続きます。
アメリカでの永住権(グリーンカード)申請とK-1ビザ申請
アメリカで永住権(グリーンカード)を申請する場合、まず、アメリカに合法的に入国する必要があります。あなたの場合、K-1ビザの取得が可能です。K-1ビザは、アメリカ市民の婚約者としてアメリカに入国し、結婚するためのビザです。
まず、K-1ビザ申請書類と申請料を移民局に提出し、移民局の認可後4カ月以内に在日アメリカ大使館にてビザの申請手続きを行います。取得には、通常半年から1年ほどかかります。そして、ビザ発給後、アメリカに入国してから3カ月以内に結婚する必要があります。
アメリカ入国後、永住権は申請から通常半年から1年で取得可能です。申請には、申請書、申請料のほかに、出生証明、健康診断書などを移民局に提出します。約1カ月で指紋採取通知が届き、申請後約2~3カ月で労働許可(Employment Authorization)と再入国許可(Advance Parole)が取得できます。
その後、問題がなければ、数カ月後に面接通知が送られてきます。面接日には夫婦で出頭し、その際に夫婦関係を証明する書類などを持参します。これは、婚姻が偽装でないことを証明するためです。面接が無事終了すれば、グリーンカードは数週間後に自宅に郵送されます。
日本でのアメリカ永住権(グリーンカード)申請
日本でアメリカの永住権(グリーンカード)申請の場合も、通常半年から1年ほどで取得できます。必要書類もアメリカでの永住権申請と同様で、まずI-130という書類を移民局に提出します。申請が認可されると、ナショナルビザセンターでの審査後、在日アメリカ大使館に送られます。その後、面接日と健康診断の説明書が届きます。
面接後、問題がなければ、6カ月間有効な移民ビザがその日に発行されます。その移民ビザの期限が切れる前に、アメリカへ渡航しなければなりません。
アメリカ永住権(グリーンカード)の面接における注意点
永住権(グリーンカード)面接での注意点は、結婚が偽装でないことを証明する書類を事前に準備しておくことです。例えば、お付き合いしている間の2人の写真、電話の通話記録、手紙やE-mail、共有財産、または、2人の関係をよく知っている友人に書いてもらった手紙、などを持参することです。これによって、偽装でないという証明がしやすくなりますので、できるだけ多くの書類を準備して面接に臨むことをオススメします。
アメリカ永住権(グリーンカード)申請期間と申請費用の違い
K-1ビザの取得には、前記の通り半年から1年かかり、さらにアメリカ入国後3カ月以内に結婚、永住権の申請を行わなければなりません。面接までの待ち時間を考慮する必要もありますので、ここでさらに半年から1年必要です。一方、日本でグリーンカード申請を行った場合、半年から1年で取得できます。
申請にかかる費用は、アメリカ国内での場合は、「日本でのK-1ビザ申請料(+弁護士費用)」「アメリカ入国後のグリーンカード申請料(+弁護士費用)」です。これに対し日本での申請の場合、「グリーンカード申請料(+弁護士費用)」のみになります。
ですからK-1ビザ取得を考えているのであれば、日本国内で申請に踏み切った方が、時間、費用的にも経済的であると言えます。
(2010年9月16日掲載)
Q:私は、アメリカ国籍を持つ今の夫と2021年に結婚をし、グリーンカードの申請を行いました。長男の出産後、夫からの暴力がひどくつらい思いをしていましたが、子どものことを考え我慢していました。グリーンカードの手続きは、最初は順調に進んでいたのですが、最後の面接の際に夫の協力が得られず面接に行くことができなかったため、申請が却下されてしまいました。離婚をして日本に帰るにも、夫の許可なく子どもを日本に連れ帰ることはできないようなので、困っています。何かよい方法はないのでしょうか。
A:あなたの場合、アメリカ人配偶者の協力を得られないとしても、グリーンカードを申請・取得して、アメリカに残る手段はあります。あなたのように、アメリカ人配偶者からの暴力を加えられているにもかかわらず、アメリカに滞在したいがためにそれを我慢しようとする外国人を救済するための方法として、1994年に「Violence Against WomenAct(VAWA)」に基づき規定された「Battered Spouse」のカテゴリーによる申請があり、これにより、あなたのような状況でもグリーンカードが取得できる可能性があります。
証拠を集めることで、自分一人でのグリーンカード申請が可能に
手続きとしては、「I-360」と「I-485」 という申請書を移民局に提出します。 この「Battered Spouse」の手続きは一般的に長期間かかることも多々ありますが、申請書を提出した後は(パンデミック以降、大幅に遅れが生じていますが)、就労許可を得ることができます。この就労許可を取得した時点から、合法的にアメリカに滞在し、就労を行うことも可能になります。
この申請で必要なことはまず、あなたの配偶者がアメリカ市民であることを証明することです。これにはあなたの配偶者の出生証明、あるいはパスポートのコピーが必要になります。次に、あなた、あるいはあなたの子どもに対して暴力が行われた事実を証明する必要があります。暴力は一部の例外を除いて、口頭によるものではなく物理的な暴力があったことを証明する必要があります。この場合は、あなた自身の宣誓供述書に加えて、警察、医師、カウンセラー、あるいはシェルターからのレポートなどが有力な証拠になります。
例えば、裁判所から接近禁止命令(Restraining Order)が出ている場合は、これも有力な証拠として扱われます。また、目撃者あるいは事情を知っている人から宣誓供述書をもらうのも有力な証拠になります。けがの写真も同様です。次に、当該婚姻がそもそもグリーンカード取得の目的ではなく、正当な理由に基づいて行われたものであり、あなたとアメリカ人の配偶者が同居していたことも証明する必要があります。これには、結婚あるいは交際していた時の写真、銀行の共同名義の口座、健康保険、自動車保険、生命保険、同居していた時に送られてきた2人の名前の入った郵便物、結婚前後のラブレター、カード、結婚前に頻繁に連絡を取っていたことを示す電話の請求書などを提出するのがよいでしょう。
また、事情を知っている人からの宣誓書、カウンセラーからのレポートなども有力な証拠になります。さらに、申請がアメリカを離れることが、当該申請者にとって過度に困難な状況を引き起こすことを立証する必要があります。あなたの場合、子どもがいることはこの理由に当てはまると考えられます。もしあなたが、たとえ今回の結婚以前であっても、アメリカに長期間生活していたのであれば、そのことも理由の一つになります。
グリーンカード申請時、死別している場合や男性でも「Battered Spouse」は適用可
グリーンカード申請後は、離婚の手続きを行ってもこの「Battered Spouse」の申請手続きに影響することはありません。また、一定の条件を満たせば、この「Battered Spouse」は、暴力を行ったアメリカ人の配偶者と仮に死別、あるいは離婚していても、離婚成立・死別後2年以内であれば、申請を行うこともできます。また、前述のように、この手続き方法は、「Violence Against Women Act(VAWA)」によって規定されているものですが、同じ状況下にある男性でも、同様に「Battered Spouse」の申請を行うことが可能とされています。
さらに、配偶者がアメリカ市民でなく、グリーンカード保持者の場合であっても、この規定が適用されます。この申請では、申請時にあなたが合法的なステータスでアメリカに滞在している必要もありません。あなたの場合、最初の申請が却下されてしまっているため、それが理由で強制送還の手続きに入ってしまう可能性もありますが、ここで示した手続きを行うことにより、強制送還の手続きを停止できる可能性は十分にあります。まずは、本コラムで示した証拠書類の中で、どれだけのものを集められるかを確認し、グリーンカード申請を検討されることをお勧めします。
(2022年3月1日号掲載)
Q:私は、2012年に結婚したアメリカ人である今の主人を通して、永住権の取得を考えていましたが、夫がなかなか協力してくれません。さらに、結婚直後から夫の暴力がひどく、耐えかねています。しかし、離婚すればアメリカには残ることができないようで、また、その場合に主人の許可無く子どもを日本に連れ帰ることは禁止されているようなので、どうしてよいのか困っています。何か良い方法はありますか。
A:被虐待配偶者(Battered Spouse)のカテゴリーで永住権の申請を行う手段が考えられます。これは、暴力を加えられているにもかかわらず、アメリカに滞在したいがためにそれを我慢しようとする外国人の配偶者を救済する目的で1994年に制定された女性に対する暴力防止法、「Violence Against Women Act(VAWA)」により規定されたものです。
「I-485」提出後は約3カ月で合法的に滞在、就労が可能
この手続きには、まず「I-360(Petition for Amerasian, Widow(er), or Special Immigrant)」という申請書を移民局に提出し、その申請が認可された後、「I-485(Application to Register Permanent Residence or Adjust Status)」を移民局に提出することになります。
この手続きは、一般的に長期間かかることも多々ありますが、「I-485」を提出した後は、約3カ月で就労許可を得られますので、合法的にアメリカに滞在し、その間就労を行うことも可能になります。
この申請では、まず配偶者がアメリカ市民であると証明する必要があります。これには、ご主人の出生証明、あるいはパスポートのコピーが必要になります。
次に、当然のことですが、ご自身に対して、あるいは子どもに対して暴力が行われた事実を立証する必要がありまず。ここで言う暴力は(一部の例外を除いて)、口頭によるものではなく、物理的な暴力があったと証明する必要があります。この場合、ご自身の宣誓供述書に加えて、警察、医師、カウンセラー、シェルターからのレポートなどがその有力な証拠になります。
例えば、裁判所から接近禁止命令(Restraining Order)が出ている場合も、有力な証拠として扱われます。また、目撃者や事情を知っている人からの宣誓供述書を貰うのも、有力な証拠になります。また、ケガの写真などがあれば、同様です。
さらに、当該婚姻が正当な理由(永住権取得目的でないこと)に基づいて行われたものであり、ご主人と同居していたことも証明する必要があります。 これには、結婚、または交際していたときの写真、銀行の共同名義の口座や健康・自動車・生命保険、同居時に送られてきた2人の名前の入った郵便物、結婚前後のラブレターやカード、結婚前に頻繁に連絡を取っていたことを示す電話の請求書などを提出するのがよいでしょう。また、事情を知っている人からの宣誓書、カウンセラーからのレポートなども有力な証拠になります。
永住権申請後なら離婚をしても手続きに支障はない
さらに、申請者がアメリカを離れることが、当該申請者にとって過度に困難な状況を引き起こすことになることも立証する必要があります。あなたの場合、子どもがいることもこの理由に当てはまると考えられます。例え今回の結婚以前であっても、アメリカに長期間生活していたのであれば、これも理由の1つとなります。申請後は、離婚の手続きを行っても、申請手続きに影響することはありません。また、特別な条件を満たせば、この申請は、暴力を行った配偶者と仮に死別、あるいは離婚していたとしても、離婚成立後2年以内であれば申請ができます。
前述しましたように、今回解説した手続き方法は、「Violence Against Women Act(VAWA)」によって規定されているものですが、同じ状況下であれば、男性でも同様に申請を行うことが可能です。さらに、配偶者が米国市民でなく、永住権保持者の場合であっても、この規定が適用されます。
この申請では、申請時において合法的なステータスでアメリカに滞在している必要もありません。さらに、仮に強制送還の手続きに入っていたとしても、この手続きを行うことにより、当該強制送還の手続きを停止させることができる可能性も十分にあります。この手続きの最後には、(ほとんどの場合)面接を受けることになりますので、面接でご自身が暴力を受けた内容、また今回の結婚に関して出会ったときから結婚に至り、別居に至った経緯を時間を追って、説明できるよう準備して臨まれることをお勧めします。
(2014年11月1日号掲載)
Q:私は、現在、ある日系の会社にスポンサーになってもらい、永住権を申請中です。今年中に、今付き合っている彼女と結婚することになりましたが、彼女は現在「 F-1」ビザでアメリカ滞在中です。結婚後、彼女と一緒にアメリカで暮らし、できれば、彼女も一緒に永住権を取ることができればと考えていますが、それは可能でしょうか?
A:結論から言うと、永住権を取得するまでに彼女との入籍は済ませておけば、彼女も永住権を取得できます。
万が一、あなたが先に永住権を取得した後に彼女と結婚した場合には、彼女が永住権を取得するのに2年以上を要するでしょう。また、その間あなたと結婚しているからという理由で彼女がアメリカに滞在することはできません。例えば、現在の「F-1(Academic Student)」ビザを継続しなければならないなど非常に不便な状況を作ってしまうことになります。
入籍後、2人同時に永住権の申請を始める
永住権を取得する以前に入籍を済ませた場合、彼女を永住権取得の手続きに加える方法は、あなたの永住権の申請がどの段階にあるかによって変わります。
雇用を通して申請する場合は、第1に規定の給料の設定、第2に人材募集広告、第3に「労働認可書(Labor Certification)」の取得、第4に「I-140(Immigrant Petition for Alien Worker)」の審査、そして、最後に第5段階として「I-485(Application to Register Permanent Residence or Ad just Status)」、または日本で手続きを行う(Consular Processing を通して)に分けられます。申請者が修士号を取得していたり、学士号に加えて5年以上の職務経験があるような場合など、場合によっては第4段階と第5段階が並行して進む場合もあります。ただし、第4段階の「 I-140」の申請が認可を受けない限り、第5段階の「I-485」による申請が認可されることはありません。もし、「I-485」による申請を開始していない場合は、彼女との入籍の後、一緒に「I-485」 の申請を行うのが得策であると考えます。
また、彼女の「I-485」の申請が開始された時点で、彼女の米国での滞在資格は確保されますので、「F-1」のステータスが切れても構わないことになり、学校に通う必要がなくなります。
さらに、「I-485」に加えて2人ともが就労許可の「I-765(Application for Employment Authorization)」と一時渡航許可の「I-131(Application for Travel Document)」の申請を行えば、彼女も申請から約3カ月程度で就労許可、および一時渡航許可を取得することができますので、米国での就労(この場合彼女はどこで働いても構わない)もでき、一時的に米国を離れ、「F-1」ビザが切れた後であっても再度戻って来ることが可能になります。
この際、気を付けなければいけないのは、彼女が「I-485」 の申請を行うまで「F-1」のステータスを維持しないといけないことです。「F-1」のステータスを維持するには、仮に「F-1」ビザが切れた場合であっても、有効な「I-20」を保持することによって、確保することができます。ただし、「F- 1」ビザが切れた後は、一時渡航許可を取得するまで、米国外への渡航はできません。
日本へ帰国の必要があっても永住権の取得は可能
もし第5段階の「I-485」 による申請を既に開始してしまっている場合は、あなたが永住権を取得するまで待ち、その後に彼女の申請を行うことになります。この場合、彼女の申請を開始して約6カ月から9カ月で永住権を取得できます。
彼女の申請を開始した後は、彼女が永住権を取得するまでの間、就労許可、および再入国許可を先に取得して就労と渡航を行うことができます。
例えば学生のステータスを維持できないなどの理由によって、彼女があなたの永住権を取得できるまで米国内で待てず、日本に帰る必要がある場合は、あなたが永住権を取得した後に在日米国大使館での永住権の手続き(Consular Processing) を行うことも可能です。ただし、この場合もあなたが永住権を取得する前に彼女との入籍を済ませておくことは重要です。
在日米国大使館での彼女の面接が行われ、そこで最終的に認可を受けると、半年間有効で米国に一回限り入国可能なビザ(Immigrant Visa) が発行されます。そして、米国に入国の際、パスポートに証印が押された時点で法的に永住権を取得したことになります。その後、3週間程度で永住権が郵送されます。いずれにしても、入籍があなたの永住権取得直前である場合は、偽装結婚が疑われる危険性もあるので、結婚を証明する書類(手紙や共有財産の証明など)を十分に準備されることをお勧めします。
(2014年9月1日号掲載)
Q:私は、2011年9月にビザウェイバーで入国をし、同年12月にアメリカ市民と結婚しました。グリーンカード(永住権)の申請の準備をしていたところ、弁護士より「ジョイントスポンサー」が必要と言われ、スポンサーになってくれる人を探しましたが、結果まだ見つかっていません。13年中に、夫と2人で日本へ完全帰国を考えています。グリーンカードの申請をせずに日本へ帰国した場合、今後、短期でアメリカに来る時に、観光ビザの許可は下りるでしょうか?帰国後、10年経ったら再度入国できるようになるのでしょうか?
A:2011年9月から現在に至るまでの間、不法にアメリカに滞在していたことになるので、日本に帰国した後、観光ビザ等を取得する際に問題となります。10年経過した後であれば、取得できる可能性は高くなりますが、保証されているわけではありません。
そこで、前記の問題を解決するため、アメリカでグリーンカードを取得した後に、日本に帰国することが得策です。いったんグリーンカードを取得してしまえば、その後、今までの不法滞在が問われることはありません。そのための解決策を提案します。
ジョイントスポンサー代わりに配偶者の資産を証明
まずは、ジョイントスポンサーが見つからないとのことですが、仮に、ジョイントスポンサーがいない場合であっても、ご自身、あるいは配偶者が資産を持っていれば、それで代用することができます。
年間の収入条件についてですが、スポンサーになる人の収入は国が定めている貧困レベルの125%以上でなければなりません(アメリカ軍人として働いている人は100%)。ただ、この規定の収入に達していない場合でも、不足額の5倍の資産があれば良いとされています。
現在カリフォルニア州の貧困レベルの125%の額は、スポンサーが同居していて子供もいない場合は、年間1万8912ドル、子供等の扶養家族が1人増えるにつき、4350ドルずつ増えていきます。
例えば、スポンサーが夫婦で、同居している子供が1人いたとすると、その金額は3万162ドルとなります。もし子供がおらず、ご主人の収入が年間1万ドルであったとします。そうすると、8912ドル不足していることになりますので、その5倍の4万4560ドルの資産があることを証明すれば、足ります。この資産は現金に限らず、動産や不動産(例えば家ならば、物件の評価価格からローン額を引いた額)、株、その他現金化することが可能で、その価格が客観的に評価できる物を含みます。
米国内でグリーンカードを申請する場合
米国にてグリーンカードを申請した場合には、グリーンカードを取得するまでのすべての手続きには、約4カ月を要します。また、米国にてグリーンカードの手続きを行う場合には、申請後、約2カ月から3カ月程度で就労許可、及び再入国許可を取得することができ、これによって、インタビューまでの間、就労、及び、海外への出入国が可能になります。
最後の面接時には、2人が一緒に暮らしていることの証明が必要になりますので、結婚後、早い時期に、共同名義の銀行口座、自動車保険、健康保険、賃貸契約書、会員権等を準備されておくことをおすすめします。
グリーンカードを取得せずに日本に帰国した場合
グリーンカードを取得せずに、日本に帰った場合、アメリカでの不法滞在歴があること、さらに、配偶者がアメリカ市民であるため、グリーンカードの申請をすすめられ、観光ビザの申請を却下される可能性が高いと言えます。
グリーンカードの申請を日本のアメリカ大使館にて行う場合、米国の移民局に「 I-130」 という書類を申請し、その認可を待って日本のアメリカ大使館で申請を行うことになります。この「I-130」の認可には、現在、約6カ月を要しており、この後、日本の大使館にてインタビューが受けられるまで、さらに約6カ月を要することになります。
また、いったんアメリカを出国してしまうと、アメリカでの不法滞在が問題となり、大使館での面接の後、Waiverの申請をしなければならない可能性があります。この場合は手続きに半年から約1年以上を要します。従って、グリーンカードを取得せず日本に戻れば、再度、アメリカに戻るには、あまりにも時間と手間が掛かりすぎ、適切であるとは言えません。
(2013年2月1日号掲載)
Q:現在、観光で米国に滞在中です。アメリカ人のボーイフレンドとの結婚を考えており、日本に帰ったら婚約者ビザを取得しようと考えていました。しかし、先日妊娠していることがわかりました。残りの滞在期間は、あと1カ月しかありません。観光ビザで入国し、永住権を申請することはできないと聞きました。このまま、アメリカに滞在することは、不可能でしょうか?
A:ビザウェイバープログラム(ビザなし渡航)での米国への入国では、原則的には指定された期限内に米国から出国すること、また、米国入国後、米国での永住の意志がないことが前提になっています。従って、ビザウェイバープログラムで米国に入国し、米国人との結婚により永住権申請を行うことは、手続きの最終段階でのインタビューの際に問題が発生する可能性があります。
ただし今回の米国入国の際、滞在期間中に米国人と結婚して永住権の申請を行う意図はありませんでした。それが入国後に妊娠という、入国の際には予期できなかった事実により予定を変更して滞在を続け、永住権申請を行うことには問題ありません。
米国市民との結婚により永住権を取得する際には、日本にて手続きを行う方法、および米国内にて手続きを行う方法があります。
まず、日本において手続きを行う場合には、以前までは、最初にアメリカ市民である配偶者が日本人である永住権申請者と一緒に、在日米国大使館に直接出向くことが一般的でした。しかしながら、在日米国大使館は、この方法による申請を受け付けなくなりました。そのため、米国の移民局に「I-130」という書類を提出し、その認可を待って、在日米国大使館で申請を行うことになります。
このI-130 の認可には、現在約3、4カ月を要しています。そしてその後、日本の大使館にてインタビューが受けられるまで、さらに約3カ月から4カ月を要することになります。従って日本に戻り米国大使館で永住権の申請を行うには、あまりにも時間がかかり過ぎ、適当であるとは言えません。また、仮に婚約者ビザを申請したとしても、ほとんどこれと同じだけの時間を要します。
アメリカ国内でグリーンカードを申請し就労・再入国許可を取得
アメリカ国内でのグリーンカードの申請の場合、グリーンカード取得までのすべての手続きに、約6カ月から9カ月を要します。しかし、申請開始後約2、3カ月程度で、就労許可、および再入国許可を取得することができます。これによってインタビューまでの間、就労、および米国国外への出国、海外からの再入国が可能になります。
ただし注意しないといけないことは、グリーンカード申請時に提出する健康診断において、妊娠している事実を担当医に告げ、すべての予防接種を受けることを避けてもらうようにすることです。出産後にそれらの予防接種を受け、その証明書を移民局に提出することになります。あるいは、インタビューまでに出産が終われば、その際に持参することもできます。さらに、子供の出生証明書をインタビュー時に持参すれば、結婚が事実に基づくものであることを容易に証明できます。
インタビュー後に取得するグリーンカードには、2年間という条件が付いています。従って、条件付き永住権が失効する90 日前から有効期限日までの間に、条件解除の申請を行います。これは、「I-751」という申請書を移民局に申請することにより行います。条件を解除するには、婚姻が継続していることを証明しなければなりません。
なお、この申請時期が近付くと、移民局からもうすぐグリーンカードの有効期限が切れるという通知が来ます。万が一、条件解除の申請を忘れた場合、移民局から強制送還の手続きに入る旨を示す手紙を受け取る場合があります。そうなると、移民局裁判所へ出頭しなければなりません。
婚姻が継続していることを示す証拠としては、夫婦合算のタックスリターン、共同名義の銀行口座、クレジットカード、賃貸借契約書、不動産、自動車保険・健康保険・生命保険証書などが挙げられます。現在、この申請が大変厳しくなっています。この2年間、夫婦合算のタックスリターンがファイルされているか、共同名義の銀行口座やカードが定期的に使われているかなど、書類の提出を求められることもあります。永住権取得の審査が厳しくなっていることは現在ないのですが、2年後の条件解除の際に、偽装結婚を暴こうという移民局の意図が見られます。これはなかなかいい取り組みだと思います。
条件解除後は、10 年ごとの更新になります。なお、最初の条件付き永住権の発行日から合計2年9カ月を経過した時点で、米国市民権の申請を行う資格があります。
(2012年4月16日号掲載)
Q:私はアメリカ市民権を保持する男性と結婚し、グリーンカード(永住権)の申請を行い、条件付きの2年間有効なグリーンカードを取得しました。しかし、先日、夫が他界してしまいました。私のグリーンカードの有効期限は、まだ2年のままです。私はこのまま合法的にアメリカに滞在し、働き続けることはできるのでしょうか?私には、前の結婚による子供もいます。
A:結婚されてからご主人が亡くなられるまでの期間が、2年以上経過しているか否かによって手続き方法が変わります。いずれの場合においても、一定の条件を満たせば、条件解除されたグリーンカード(10 年間有効で10年ごとに更新可能)を取得することができます。
一般的に、アメリカ市民との結婚を通してグリーンカードを取得する場合、最初にI-130という書類(婚姻関係があることを移民局に認めてもらうための申請)とI-485という書類(永住権自体の申請)を同時に提出します。この後、約6週間程度で指紋採取(犯罪歴のチェック)が行われます。申請後2~3カ月で就労許可、一時渡航許可が発行され、グリーンカード取得までの期間、就労や米国外への出入国が可能となります。インタビューまでは、申請後約6~9カ月程度です。
この後、この2つの申請が認可されれば、2年間の条件付きグリーンカードを取得することができます。ここで2年間の条件が付されているのは、アメリカ市民との結婚を通してグリーンカードを取得するには、最低2年間は婚姻関係を継続することが条件とされているからです。
この2年の期間が終わる90日前より、条件解除の申請を行うことができます。この条件解除の申請が認可されれば、10年間有効なグリーンカードを取得することができ、取得後は、離婚、あるいはアメリカ市民である配偶者が死亡したような場合であっても、これに影響されることなく、10年ごとに更新が可能です。従って、結婚後条件付きグリーンカードを取得するまでの期間(約9カ月)、および条件解除の手続きのために必要とされる期間(約6カ月)を考慮すれば、結婚から条件解除されたグリーンカードを取得するまでには、最低でも3年はかかることになります。
そこで、まず、結婚されてからご主人が亡くなるまでの期間が2年以上ある場合、現在保持している条件付きグリーンカードの切れる90日前より有効期限満了時までに、I-751という書類を用いて条件解除の申請を行います。
ここでは申請時において当該婚姻がグリーンカード取得目的で行われたものではなく、婚姻そのものを目的とするものであったこと、結婚後2年以上同居していたことを証明する書類を添えて申請を行います。この同居関係を示す書類としては、夫婦共同の納税申告書、共同名義の銀行口座、共同名義のクレジットカード、保険などが挙げられます。
結婚2年未満ではI-360による申請が必要
結婚してからご主人が亡くなるまでの期間が2年未満の場合は、前記とは違い、I-360という書類を移民局に提出する必要があります。
2009年9月9日に、移民局は、このI-360による申請が、残されたアメリカ市民配偶者のグリーンカード申請に適用されるとの発表を行いました。I-360を提出するには、ご主人が死亡した時点でご主人と別居していなかったこと、また、申請時から条件解除されたグリーンカードを取得するまでの間、再婚していないこと、申請時にアメリカに滞在していることが要求されます。
I-360の認可後は、経済的に就労することが必要であることを理由として、移民局に就労許可の申請を行うこともできます。
この場合も前記と同じように、申請時において当該婚姻がグリーンカード取得目的で行われたものではなく、婚姻そのものを目的とするものであったこと、また、結婚後からアメリカ市民の配偶者の死亡時まで、同居していたことを証明する書類を添えて申請を行うことになります。
なお、この申請方法では、仮に2年間の条件付きグリーンカードを取得していなくとも、さらに、仮にこの条件付きグリーンカードの申請自体(前述のI-130とI-485の申請)を行っていなかったとしても、I-360申請が可能であるとされています。
さらに、お子さんも、既に申請済みのI-130 申請時において、あるいは(I-130の申請を行っていない場合は)、I-360申請時に21歳未満で未婚であれば、同時に申請(あなたのI-360に名前を明記しなければなりません)することができます。
(2009年10月01日号掲載)
Q:私は、現在学生ビザで語学学校に通っています。来年の春、付き合っているアメリカ人の彼と結婚し、グリーンカードを申請しようと考えています。しかし、私の彼は、US Navyに所属しており、結婚後もしばらくは別居になります。友人から結婚後は同居していないとグリーンカードが取れないと聞きました。私は結婚後もアメリカで仕事をしたいと思っていますので、アメリカで生活することを希望しています。このような状況でも、グリーンカードを申請することは、可能でしょうか。また、彼には過去に犯罪歴があります。これは私の申請に影響しますか。
A:今の彼と結婚してグリーンカードを申請した後、必ずしも同居していないと申請が認可されないということはありません。アメリカ人の配偶者が軍に属している等、正当な理由がある場合には、同居していなくとも申請が可能です。ただし、同居していないケースでは、その結婚が虚偽でないことを証明するのに、他の一般のケースよりも厳しい基準で審査される可能性があります。
アメリカでグリーンカードの申請を行い、取得するまでのすべての手続きには、約6カ月から9カ月を要します(ロサンゼルス・カウンティーよりも、サンディエゴ・カウンティーの方が、サンディエゴ・カウンティーよりもオレンジ・カウンティーの方が、若干手続きが早い傾向にあります)。
グリーンカード申請書を提出後、約4週間から6週間程度で、フィンガープリントを取る必要があります。ここで、過去の犯罪歴の調査がされます。グリーンカード取得に際して問題となる犯罪は、すべての重犯罪(Felony)、および、一部の軽犯罪(Misdemeanor)がそれに当たります。軽犯罪の中で問題となるものは、Domestic Violenceと道徳に反する犯罪(Crime Involving Moral Turpitude)の2つです。
Domestic Violenceとは、夫婦(離婚後の前夫・前妻を含む)間、あるいは恋人間の暴力行為を言います。また、道徳に反する犯罪には、麻薬に関する犯罪(Controlled Substances)、詐欺(Fraud)、窃盗(Theft)、および、暴力に関する犯罪(Crime of Violence)等が含まれます。
ただし、フィンガープリントの採取を通して、犯罪歴があるかどうかを調査されるのは、申請者である外国人のみで、米国市民の犯罪歴は調査対象となりません。従って、前記に当てはまる犯罪を過去に犯していない限り、アメリカ人の配偶者に犯罪歴があったとしても、あなたのグリーンカード申請に影響を及ぼすことはありません。
別居の場合は厳しい婚姻の正当性の審査
次に、申請から約2カ月から3カ月程度で就労許可(Employment Authorization)、および、再入国許可(Advance Parole)を取得することができます。これによって、後のインタビューまでの間、就労と海外への出入国が可能になります。従って申請後、2カ月から3カ月程度で仕事を見つけ、働き始めることができます。
最後に、申請から6カ月から9カ月後にインタビューを受ける必要があります。この際には、あなただけでなく、アメリカ人の配偶者も同席する必要があります(フィンガープリント等、これ以外の手続きにおいては、米国市民が同席する必要はありません)。ここで、あなたとアメリカ人の配偶者の結婚が虚偽のものであるか否かの判断がなされます。
前述したように、アメリカ市民の配偶者と同居できないので、当該婚姻が真実正当なものであることを強く立証する必要があります。これには結婚前に交際していたことを示すラブレター、E-mail(プリントアウト)、国際電話等を掛けたことがわかる電話の請求書、結婚前後の写真、結婚後の共同名義の銀行口座、クレジットカード、健康保険、自動車保険、生命保険、もし、あれば、納税申告書等を持参することをおすすめします。また、結婚前からあなたとアメリカ人の配偶者が交際していたことをよく知る友人・知人などに、手紙を書いてもらうのも得策です。
(2008年12月1日号掲載)
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