西ナイル熱(West Nile fever)

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日本脳炎と同種 激しい頭痛が特徴

西ナイル熱は、西ナイルウイルスを持った人間や動物の血を吸った蚊が運んできます。以前は米東部や中西部が中心だったのですが、西部にまで広がってきました。蚊が運んでくるため季節性があり、もっとも危険な時期が8月後半から9月末頃です。
 
症状の1番の特徴は、熱とともに激しい頭痛があることです。眼の後ろ辺りが痛くなるような頭痛で、吐き気や嘔吐も伴います。重症になると意識がもうろうとするため、家族が「様子が変だ」と気づく場合もあります。
 
西ナイル熱の検査は、03年まではCDC(疾病予防センター)でしかできませんでした。04年時点でも限られたラボでしか行われていませんので、すぐに受けられるわけではありません。医師に相談すると、まず医師は通常の検査を行います。西ナイル熱に対する特効薬はないので、嘔吐や脳炎などの症状に合わせた治療を行い、その後、医師の判断により、CDCのラボに送られます。

危険度が高まる9月は戸外活動は避けて

カリフォルニアでは9月の初めまでに300件以上の感染報告がある西ナイル熱ですが、感染後の発病率は5人に1人、死亡率は150人に1人。高齢者、持病のある人、乳幼児は死亡する危険性が高まります。感染から発病までに3~14日、回復までに1~2週間前後かかり、健康状態によってはさらに長引くこともあります。
 
西ナイル熱は現在のところ予防接種も治療薬もないので、最終的には感染をしないよう予防することが最も重要になります。1番の予防法はアウトドアを避けること。特に危険性が高まるこの時期は、無理にキャンプなどの予定は立てない方が良いでしょう。蚊の多い池、湖、やぶなどは特に避けてください。
 
どうしてもアウトドアで活動しなければならない時は、できるだけ帽子、長袖、長ズボンを着用し、袖も手首まできっちりと覆うもの、ズボンもブーツのようなものに裾を入れ込むなど、できるだけ蚊に刺される部分を少なくし、手や顔には虫除けスプレーを使用します。
 
アウトドアで虫除けスプレーは必需品ですが、子供の場合は、スプレーに含まれるDEET(防虫剤)で副作用が出ることもあるという説もあるので、高濃度のDEETが含まれているスプレーはおすすめできません。

ピーター・孝幸・パーク 医師
シカゴ医大卒。UCデービス・レジデンシー卒。家庭医療・医学専門。

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