英語の読解力を育てるには

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「バイリンガル子育ての秘訣」船津 徹(TLC for Kids代表)

バイリンガル育児で見落とされがちなのが英語の「読解力」の育成です。英語の「会話力」は現地校に通っていれば自然に身に付けることができます。しかし、英語の文章を読み解く力は訓練を継続しなければ身に付きません。「親が英語苦手だから!」と英語のサポートを怠っていると、子どもに満足なコンプリヘンションが身に付かず、教科学習全般で苦労するようになります。
「うちの子は本好きですが、成績が今一つです」という相談をよく受けます。そのようなお子さんのリーディング力を査定すると、語彙力が乏しく、読解力が弱いケースがほとんどです。いくら本が好きでも内容を正確に読み解く能力が育っていなければ、学校の成績には結びつかないのです。
お子さんが算数の文章題で苦労しているようでしたら、読解力に問題があるサインです。英語の読解力を育てるには、多読で語彙を豊かにする、再読で読書スピードを高める、そして文法を理解して論理的に読み解く練習を継続することが必要です。

本嫌いの子はイメージ力不足

読解力以前の問題に子どもの「本嫌い」があります。本嫌いの子に共通する理由は「面倒くさい」「面白くない」というものです。なぜ本を楽しめないかというと、活字で書かれている内容をうまくイメージできないからです。その結果、ストーリー理解や感情移入が深まらず、本の世界の面白さを体験できないのです。
現代社会は子どもたちの周囲に「映像」が氾濫しています。自分の想像力をフル稼働させてイメージすることよりも、テレビやゲームのように一目で内容が分かる映像メディアに子どもたちがどっぷりつかってしまっているのです。
映像の氾濫は子どもからイメージ力を奪い取ります。特に幼い子どもを育てている家庭ではあまりテレビやテレビゲームは見せないようにしましょう(教育的なものはOKです)。その代わりにお母さんが絵本の読み聞かせやお話をしてあげてください。
お母さんがお話をしてあげると、子どもは想像力を駆使して頭の中にイメージを描く能力を育てることができます。寝がけの絵本読みやお話は親子の絆を強めるだけでなく、子どものイメージ力を高める効果もあるのです。

家庭で読書指導をしよう

アメリカではキンダーガーテンから英語の読み書き指導が始まります。キンダーから小学1年生にかけては、リーディング力の土台を構築する大切な時期です。この年齢のお子さんがいる家庭では、必ずフォニックスやサイトワーズのワークブックを購入して家庭でも文字の練習に取り組ませてください。
既に簡単な英語の本が読めるお子さんの場合、多読を通して語彙力を豊かにする取り組みをしてください。毎日必ず30分、英語の読書時間を作りましょう。読む本は子どもの読書レベルに合ったものでなければなりません。子どもと一緒に図書館や書店に行き「読書レベル」をチェックした上で本を選びましょう。難し過ぎる本は子どもを本嫌いにするので注意してください。
毎日コツコツと読書に取り組ませていると、英語の活字に対する抵抗感を取り除くことができます。アメリカの学校は日本に比べて大量の読書を要求しますから、ストレスなく本が読めるレベルのリーディング力をできるだけ早く養うことが子どもの学校適応を促します。

英文法を教える

学年にかかわらず読解力を高める有効な取り組みが「英文法」です。アメリカの学校では「ランゲージアーツ」という授業で英文法を指導します。しかし日本人の子どもが授業だけで英文法を十分に理解することは困難です。短い授業だけでは文法を練習する量が足りないのです。
日本の小学校の国語の授業を思い出してみましょう。どれだけ日本語の文法を教えてもらったでしょうか?おそらくほとんど何も教えてもらっていないと思います。日本で生まれ育てば、特に文法を教えなくても日本語のルールは理解できると思われているのです。同じようにアメリカの学校、特に小学校では英文法を詳しく教えることはありません。
英語を第2言語で学ぶ日本人の子どもにとって英文法は必須です。生まれた時から英語に囲まれて育ち、感覚的に文法を身に付けているネイティブの子どもたちとは英語知識に大きな「差」があるのです。主語は何、動詞は何、目的語は何、補語は何と明確に理解することで、英文を正確に読み解く力を高めることができます。
 
(2016年1月1日号掲載)

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