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「バイリンガル子育ての秘訣」船津 徹(TLC for Kids代表)

アメリカの学校は8月中旬から下旬にかけて新しい学年がスタートします。バイリンガルの子どもがスムーズに新学年に適応するには、夏休み中に子どもの生活面と学習面のリズムを整えておくことが大切です。生活環境が一変する夏休み明けは、多くの子どもに情緒不安や集中力の低下が見られるので注意が必要です。
夏休み明けの心理不安は、既にアメリカの学校に通っている子どもにも起こります。特に、夏休みを日本で過ごした場合、大きな生活変化への適応を余儀なくされるので、子どもの精神は不安定になります。まだ新学年のスタートまで時間がありますから、早急に子どもの生活リズムを現地校モードに切り替えると共に、学習面の準備を開始しましょう。

生活習慣を整える

円滑に新学年をスタートする秘訣は、何と言っても生活リズムを安定させることです。夏休みはさまざまな理由で生活が乱れがちですが、できるだけ安定させるように努力してください。早寝早起きは基本中の基本。食事、勉強、おやつ、昼寝、習い事、読書、遊びなど、1週間のスケジュール表を作成して、同じ活動を同じ時間に行なうように心がけましょう。
生活の乱れは必ず子どもの精神を不安定にします。心理が不安定な状態で現地校生活が始まると、学校適応により多くの時間を要することになります。学校に行きたがらない、勉強に集中できない、忘れ物やケアレスミスが増えるなどの症状は要注意です。ただでさえ英語力に遅れがあるバイリンガルにとって、学年スタート時の出遅れはキャッチアップが困難です。
カリフォルニア州の公立学校の年間授業日数はたったの180日です。学校生活に慣れるまでに1〜2カ月かかれば、大きな学習ロスが発生します。長いようで短い現地校の1年間を有意義なものにするためにも、子どもの習慣管理には細心の注意を払い、スムーズなスタートが切れるように配慮してください。

学習習慣を整える

バイリンガルの子どもが学習英語力を獲得するには5〜7年が必要と言われています。この期間をいかに短くできるかが、子どもの学校適応を左右します。「英会話ができるようになったから英語はもう大丈夫だろう」と安心してはいけません。夏休みの間、英語に全く触れなければ、せっかく定着してきた英語力が錆びついてしまいます。
夏休みの英語力低下を防ぐには英語の読書が必要です。毎日最低30分は読書時間を作ってください。日本に帰省すると英語の本を読みたがらないかもしれません。その場合「読書をしなければ遊びに行けない」などルールを決めて毎日英語に触れる時間を作りましょう。
英語の本を読めることは日本では特技です。祖父母や親戚に頼んで「英語の本が読めるなんてすごいね!」と子どもを褒めてもらいましょう。アメリカで英語の本が読めるのは当たり前ですが、日本ではすごいことなのだと分かると、積極的に(人前で)英語の本を読むようになります。子どもなりに英語ができることを自慢したいのでしょう。きっかけは何でも構いませんから英語の本を読むように上手に誘導するのが両親の腕の見せどころです。

特技を持たせる

子どもの学校適応は年齢が低いほどスムーズに進みます。しかし、年齢にかかわらず、学校適応を劇的に促進する方法があります。それは「自信」を育てることです。自信が大きく育っている子どもほど新しい環境への適応力が高く、英語力も学力も短期間で身に付けられます。
自信が育っている子は「自分はやればできる」と確信していますから、何事にも粘り強く努力を継続することができるのです。英語も勉強もコツコツと継続すれば、短期間で高いレベルに到達できるのは当たり前です。
子どもの自信育てには「特技」を持たせてあげることが一番です。もちろん勉強ができるに越したことはありませんが、英語力にハンディのある日本人の子どもが勉強でトップに立つには相当の時間を要します。それよりも、夏休みを利用して、スポーツ、音楽、ダンス、演劇、何でも構いませんので、好きなことや得意なことに集中的に取り組ませ、特技へとレベルアップさせてあげるのです。
どんなに小さな特技でも、人には絶対に負けないものが一つあるだけで、子どもの自信は倍増します。その自信が源となって、学業にも課外活動にも対人関係にも前向きに取り組むことができる資質が育つのです。
 
(2015年8月1日号掲載)

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