Q. 渡米直後の現地校適応について教えてください
8月に渡米。1年生と4年生の子供が、英語もわからず、現地校の勉強で苦労しています。
A. 保護者自身が、現地校について理解を深めることが大切です
●英語
日本から来たばかりなので、言葉(英語)が通じないのは当然です。現地校の先生の指導に従って勉強するのが、渡米直後の英語習得における最良の方法です。お子さんの持ち帰る宿題を、ご両親も一緒にやってください。
1年生と4年生では、どちらのお子さんも英和辞典すら引けません。辞書を引いてあげて日本語で意味を教えたり、問題のやり方の説明をしてあげましょう。その際、お子さんの知っている知識や言葉に関連付けて説明してあげるのが、お子さんの理解を深める秘訣です。毎日の宿題を通して、英語の単語力が伸び、その後の英語読解力につながっていきます。
もし可能なら、教科書の予習を試みてください。明日の授業で学ぶページの写真、絵、図を見ながら、その内容について雑談をするだけでも結構です。授業中の先生の話がおぼろげながらわかるだけでも、お子さんはその授業で何かを理解して、有意義な時間を過ごします。
1年生のお子さんは、「聞き・話す」ための「話し言葉」での勉強が中心です。読書は「楽しんで読む」レベルの指導ですから、まず、会話力の向上に努力しましょう。現地校の友達と英語で遊ぶ機会を積極的に作ってあげるのも、良い方法です。
4年生のお子さんは、「読み・書き」を中心とした「書き言葉」での勉強が中心です。この段階では、日本の学校同様、日常生活の中では使われない、学習のための言葉「学習言語」の習得が目標です。言葉が持つ意味、時には抽象的な意味の理解を、教科書の学習を通して進めます。現地校では、宿題のプリントの質問に答えて、この勉強を進めます。毎日の宿題を時間をかけてでもやり遂げるのが、この学習の早道です。
●現地校を理解する
渡航直後の適応には、時間のかかる英語の習得以上に、「現地校での生活や勉強の仕方・仕組みの理解」が必要です。「与えられた場面で、どんな言動を取ればいいのか」を知らなければ、不安でいっぱいになるのは大人・子供を問わず当然です。「トイレに行きたくなったら、授業中であっても手を上げて行くことができる」ことを知らないと、必要以上のストレスを感じてしまい、勉強にも身が入らなくなります。
保護者自身が、アメリカの教育、現地校の学校生活についての知識を増やし、理解を深めることが先決です。そこで知った事柄を、日本語でお子さんに話してあげてください。この方法や仕組みへの理解が、お子さんの現地校への早い適応の助けとなります。
●クラス内でのボランティア
お母さん自身の現地校理解のために、クラスマザーなどのボランティアに積極的に参加しましょう。学校・クラスでの保護者のボランティアに参加して、子供の学校生活の様子を観察したり、アメリカの学校のシステム・仕組み・ルールなどを保護者自身が理解しましょう。「英語ができないから」はボランティアに参加しない理由にはなりません。ABCもわからない子供が英語に囲まれて奮闘しているのですから。
子供たちが使うワークブックのページの切り取りや鉛筆削りなどの単純作業からも、アメリカの学校の仕組みを知ることができます。その体験で見聞き・感じたことをお子さんと共有してあげれば、子供の学校生活への理解が飛躍的に進みます。「子供に言ってもわからないから」は、お母さんの誤解です。お子さんは、現地校を理解するために多くの情報を必要としています。その情報収集を手伝ってあげてください。
●初めの半年が大切
現地校へ通い始めてしばらく続く「緊張期」とサバイブすることを覚えた後の「弛緩期」を乗り越えて、適応の大きなハードルを越えたことになります。この期間は、子供によって大きく異なりますが、半年くらいが一般的です。
「英語・現地校の右も左もわからない」お子さんの現地校生活へのソフトランディングには、お子さんと一緒に学び、共に行動する保護者の姿勢が不可欠です。「家族が一緒になって、サバイブした」との言葉を、今はもう帰国した子供たちが、海外生活を振り返って多く口にします。海外で生活した保護者と子供たち、みんなが通った道です。頑張ってください。
(2008年12月1日号掲載)
Q. 現地校に編入した小学生。学習面で注意すべきところは?
この夏、2人の小学生を連れて、日本から4年の予定で赴任しました。子供たちは9月の新学期から元気に現地校に通っています。しかし、2人の様子をよく見てみると、現地校でのESLのサポートは多少あるものの、英語はほとんどわからず、教科の学習も理解できているとは思えません。これから、現地校の勉強で、どんなことを注意すれば良いのでしょうか?
A. 帰国までを視野に入れた計画を
親の自覚と努力が最重要
海外での子供の教育は、渡航から日本帰国までを大きな流れとしてとらえる必要があります。
渡航後約半年間の現地社会・現地校への適応は、その後の現地校での学習、さらに日本帰国後の生活・学習に大きな影響を与えます。この時期に、どんな考え方に基づいて、どんな内容の指導をすれば良いのかを、私は「現地適応教育」として提唱しています。それをご紹介しましょう。
現地校への適応何を?
現地校での生活や学習での適応に必要な事柄は、子供の学年や能力による違いも大きいですが、概ね、次のような内容が含まれます。
1. 英語の習得
① 学校生活での緊急事態に対応する最低限の英語(サバイバル英語)
② 学校生活のための英語(学校生活英語)
③ 授業を理解できるようになる英語(学習英語)
④ 学校の外で生活するための英語(一般生活英語)
の段階に分けることができます。
2. 学習教科の基礎事項の習得
アメリカの地理や歴史など、小学校高学年以降に現地校に入った子供が、学習内容理解のために知っていなければならない事柄です。これらについては、子供の理解を促すために日本語での指導が必要です。
3. 現地校学習科目の予習
現地校で学ぶのは英語ではありません。学習内容を英語で理解し、学ぶのです。
① 算数は、日本での学習進度が現地校より遅れていれば、日本語で予習をさせます。
② 社会・理科は、これまでの子供が身につけた知識と、教科書に出てくる内容をリンクさせ、予習しておきます。これもまた日本語での指導が必要です。
4. 親が現地校教育の仕組みを理解すること
学校からの配布物、学校行事、教育目標や考え方を把握しましょう。日本の教育との対比などを通して理解することが、子供の指導に不可欠です。
適応のための指導。誰が?
ここで示した内容を、どこで、誰が指導するかが問題です。
「現地校には、ESLがあるから大丈夫」という言葉を聞きます。しかしESLとは、文字通り「第2言語としての英語」であって、英語の基礎しか教えません。先の「英語の習得」で示した①と②だけです。それ以上のことについては面倒を見てくれません。ましてや、日本語での指導などは、日本人生徒が少なくなっているので期待できません。
それでは、日本政府に期待できるでしょうか。北米には日本の文部科学省がサポートしている補習授業校が90校近くありますが、あくまでも「補習校は日本へ帰国する子供のための学校」という立場です。またアメリカの教育を日本の政府が支援することは、内政干渉にもなりかねません。
結局は、親の力で何とかするしかありません。そのためには、先に述べた、適応のために必要な内容を親自らが理解して、その重要さを認識する必要があるのです。
まず、親が頑張ること
日本の教育しか受けたことがない親が、異なる教育システムの中で学んでいる子供たちの状況を把握したり、問題点を見つけ出すのは、なかなか難しいことです。親自身がアメリカの教育を理解し、情報収集に努めるのは言うまでもありません。さらに、子供の状況に応じて具体的に何を与えれば良いのか、どのように指導すれば良いのかを知るために、親は専門家にアドバイスを求めるべきです。そしてそのアドバイスとは、ひとりひとりの子供の学習歴や能力、生活している地域、今後の予定など、非常に多くの要素を考慮したものであることが必要です。
海外での子供の教育は、日本国内での教育と同様、学校任せでは不可能です。親が責任を自覚し、努力を怠らないことが最重要です。私どももお手伝いしますので、頑張ってください。
(2006年12月16日号掲載)
Q. 渡米したばかりの中学生の息子。早く現地校に馴染むには?
今年の4月に渡米したばかりの中1の息子は、現在、現地校のESLに入っています。少しでも早く英語を身につけ、こちらの生活に馴染めるようにしてあげたいのですが…。
A. 夏休み中に日本語で先取り学習し、現地校の勉強に自信を持たせる
●英語
「英語を身につけ」「生活に馴染める」ようになるのは、「現地生活への適応」がスムーズに行われることです。
子供にとっての「適応」は、学校生活が中心ですので、勉強がうまくいくことが重要です。「現地校の勉強に自信を持たせる」ために、保護者ができるサポートを考えてください。「数学ができたから、現地校が続けられた」という保護者の言葉は、子供の自信がいかに大切だったのかを物語っています。
さらに、「現地校へのスムーズな適応は、編入直後の3カ月の体験が大きな差を生む」と、私の経験からはっきり言えます。ところが、4月に現地校へ編入した場合は、現地校の学年修了は6月ですので、先生・生徒共に超多忙で、日本からやって来た新入生への指導やサポートは十分できません。
子供が「勉強がよくわからない」と言った時、英語がその理由として挙げられますが、よく聞いてみると英語よりもむしろ、学習内容の予備知識がなくて理解できない例がほとんどです。英語だけではなく、子供に学校の勉強で自信を持たせるためには、それぞれの教科の学習内容の理解が大切であることも、保護者の皆さんにはしっかり理解していただきたいと思います。
もうすぐ夏休みに入ってしまいます。今回は、9月の新学期から7・8年生が現地校での勉強で「自信」が持てるような、家庭での指導の例を紹介しましょう。
英文法の勉強
この夏、日本語で英文法の勉強をさせてください。学習内容は、日本の中学1・2年生が学習する内容程度の簡単なものでOKです。
小学校高学年になると、言葉のルールである文法の勉強を通して、外国語の学習をすることが可能になります。現地校の勉強に追われる必要のない夏の間に、日本語で英文法の勉強をすることは、英語の理解に役立ちます。英文法の勉強は、基本的な内容を教えて、自習できるような教材を与えましょう。
数学の復習・予習
算数・数学の学習は、小学校から高校まで段階的に学習レベルが上がっていきます。日米とも数学学習のステップは、ほぼ同じです。日本語で内容を理解しておけば、現地校での数学の勉強は大変楽になります。計算問題ができると、英語の壁を乗り越えて、子供が自信を持つことにつながります。
まず、お子さんが日本で学習した内容と、現地校で勉強している内容を比較してみてください。補習校に通っている場合は、その教科書も比べてください。日米で教材の扱い方が異なる場合もありますが、計算問題だけに着目すると、日本とアメリカどちらの進度が早いかが、はっきりすると思います。
もし、日本の方が遅いならば、日本語でその遅れをとり戻せるように、ぜひ夏休みの間に予習させるようにしてください。
社会の予習
9月の新学期から学習する社会の内容の予習です。学校区(School District)によって多少異なりますが、各学年で学習する社会科の内容は大体決まっています。その学習内容を先生や友人に聞いてください。そして、できれば学校で使用する教科書や副教材などを入手してください。
この予習の目的は、新学年の社会で勉強する内容を、日本語で大雑把に理解しておくことです。例えば、アメリカ史の勉強では、教科書の中に出てくる写真や図表の説明をしてやり、すでに子供が知っている知識に関連づける指導をします。この予習で頭に入れた知識は、新学年の授業の理解に大いに役立ちます。
誰が教えるのか
ここで紹介した例は、すべて日本語で指導するものです。指導者の第1候補は、お父さんとお母さんです。難しい内容を教える必要はありませんし、日本語で話をしてあげればいいのですから、ご両親にぜひがんばってほしいと思います。
しかし、人間関係が邪魔をして「親は教えられない」のならば、第2の候補は、5・6年生から高校まで現地校で勉強をしてきた日本人の大学生(高校生)の家庭教師です。「日本語で現地校の勉強内容を説明できる」のがポイントです。
次のチョイスは塾です。日本の学校の受験対策専門の塾ではなく、現地校の勉強をサポートしてくれる塾を探してください。そして、必要ならば個人指導をしてくれるように交渉してください。渡米直後の夏休みの日本語での勉強の重要さをご理解の上、お子さんに機会を与えてあげてください。
(2006年6月1日号掲載)
Q. 日本から来たばかり。現地校の質問・疑問は誰に聞く?
日本から来たばかり。現地校の質問・疑問は誰に聞けば良いですか?
A. 現地校で聞く最大限の努力を。教育相談も活用。体験談に注意!
日本から来て1、2年、またお子さんが中学、高校に進級した時、現地校での勉強のことや学校からの連絡などで、わからないことや戸惑うことが多く出てきます。
現地校で聞く
お子さんの現地校に関わる質問や疑問は、まず現地校の先生、事務職員に直接聞く最大限の努力をしましょう。
お子さんの日々の学習に関わる簡単な内容ならば、小学校の担任や中高の教科担任の先生に問い合わせます。直接訪問したり、予約を入れて会うことができます。
また、できるだけ日頃から、事務室(Office)の受付やセクレタリーの人と仲良くなることをおすすめします。子供の送迎の折に「ハイ」だけでも挨拶をしたり、手作りのクッキーを持って行ったり、積極的に声を掛けることです。
顔見知りになったら、小さな質問をしてください。手を止めて、しっかり耳を傾けてくれます。親しくなったら現地校生活への相談にのってもらえるようにもなります。さらに、事務の人たちは学校内の事情に詳しいので「そのことは、〇〇先生に聞いた方が良いよ。予約取ってあげようか?」などと、問題解決したり疑問に答えてくれる最も適切な人や方法を紹介してくれます。
校長(中学・高校の場合は副校長やカウンセラーも含めて)にも、積極的に話しに行きましょう。事務職員からはっきりした答えが得られない場合は気軽に声をかけて質問、また友達とのトラブルなど問題がはっきりしている場合は予約を取って相談します。
「英語」で尻込みするお母さん。子供は、ABCもわからないのに頑張っています。お母さんは?
アメリカの学校を理解する
アメリカと日本の学校は、一見よく似ています。しかし、現地校はアメリカ社会の考えが色濃く反映されており、日本の学校とは異なる教育や運営が行われていることをはっきり知ることが重要です。
例えば、アメリカの学校では、先生、校長の役割分担がはっきりしています。担任の先生は「学習指導のプロ」で、教室内での勉強の指導以外をすることはほとんどありません。授業が終わると、まだ学校で保護者の迎えを待っている子供たちに「バイバイ」と手を振って、先に帰ってしまいます。授業中に授業の妨害になる行動を取った子供には、「校長室へ行きなさい」と言って、教室から追い出してしまいます。その子供を説教して生活指導するのは、小学校では校長先生の担当です。中学、高校でも、校長室の前の椅子に座って校長先生の指導(説教)の順番を待っている生徒の姿が見られます。
このように、アメリカの教育の方法や考え方が理解できると、的確にお子さんのサポートができるようになります。
先輩の体験談に注意!
日本語で質問できる友人や先輩のアドバイスは貴重ですが、「体験談に注意!」を頭において、「参考」程度に聞くようにしてください。
アメリカの教育は学校、学校区、州により大きく異なります。また、日本の学校では見られないくらいに、先生ひとりひとりで判断して行動できる範囲が広くなっています。そのため、同じ学校、学年でも、先生によって指導の仕方やクラスのルールが異なる場合が多くあります。
また、「海外の子供は、皆違う!」と理解してください。たとえ年齢や学年が同じでも、滞在年数、学習歴、英語力などの違いにより、抱える問題や必要な対応が大きく異なります。
現地校の先生は、日本の教室での一斉指導ではなく、子供の違いに応じた個人指導を大切にしていますので、対応の差がさらに大きくなります。
このような背景を理解した上で、友人や先輩のアドバイスを聞くことを強くすすめます。
教育相談サービスを利用
「学校からのプリントをFAXやメールで送り、電話で説明」。そんな特徴のある教育サポートサービスがあります。このサービスのメリットは、自分自身のアメリカでの子育て体験だけではなく、日米の教育の違いなどをよく理解している相談員から、必要な時に、具体的な質問に、日本語で説明を受けられることです。必要に応じて、ご活用を。
Premier Eduサポートセンター:www.premier-edu.com
(2010年4月16日号掲載)
Q. 子供が学校で「日本人」とからかわれている
子供が学校で「日本人」とからかわれている様子。誰に相談すれば?
A. トラブルをはっきりさせ、学校に相談します。冷静さが最も大切
現地校でのトラブルのご相談です。お子さんの年齢、トラブルの内容などがはっきりしませんが、一般的な内容について考えてみます。このご相談には、「トラブルの内容」と「学校への相談」の重要なポイントが含まれています。
どんなトラブル?
子供が学校で被害者となるトラブルは、「からかい」から「いじめ」まで、さまざまな事柄で、異なったレベルのものがあります。「アメリカの子供7人中4人が、学校生活の中でいじめを経験する」との専門家の報告が示すように、アメリカの学校でもBullying(いじめ)は深刻な問題です。いじめは身体的な攻撃だけではなく、言葉による暴力も含まれています。
ご相談のお子さんが、どんな「からかい」の言葉を投げかけられているのかはっきりしませんが、「日本人」であることが理由の「からかい」ならば、それは「人種差別」にもつながります。直ちに、学校に報告・相談すべきです。
報告の前に、「話したがらない」お子さんから事実関係をはっきり聞き出す必要があります。その話し合いの際に、話したがらない子供を非難したり、声を荒げたりすることは避けてください。子供自身は、友人関係にひびが入るのを心配したり、仕返しやいじめの広がりを恐れたりしています。
子供の言葉から、時、場所、状況など、具体的な事実を把握するための話し合いです。冷静に対応してください。具体的な事実を示すことなく相手の子供を非難することは、相手の人権を侵害することにもなるので、根気良く子供から聞き出してください。
もし、教室内での出来事を担任の先生から聞く場合は、この段階で絶対に相手の子供を非難しないことです。事実もつかまないでほかの子供を非難する母親の言葉は、軽く取られてしまい、ご自分のお子さんの問題解決に役立ちません。
当事者として苦しんでいるお子さんが「お父さんも、お母さんも、自分のために一生懸命になってくれている」と、信頼させることが、問題解決の第一歩です。
学校への相談
子供から事実関係を明確につかめたら、学校で生活指導を担当している教員(小学校:校長、中学・高校:カウンセラー)への報告と相談です。担当者に予約を取り、相談に出かけてください。
相談時には、子供から聞いた事実を整理し、感情的にならずに、問題を解決してほしい旨をはっきりと伝えることが必要です。その際、相談にのってくれる学校関係者には問題解決を「要求」するのではなく「お願い」する態度を取ってください。担当者は問題の深刻さに応じて、担任の先生や子供を交えたミーティングをセットします。時には、相手の保護者も含める場合もあります。
英語に自信がないなら、友人に通訳を頼みます。その場合、アメリカの学校のシステムや内容に詳しい人を探してください。学校でボランティアの通訳を探してもらうことも可能です。
相談には、お父さんも参加してください。母親だけに任せないで父親が最初から参加することも、解決の早道です。
注意すること
日本人の保護者がこのようなミーティングに出席した場合、「うちの子供にも非はあるとは思うが」などの表現を使うのをよく聞きます。日本語のへりくだった言葉使いとしてはわかりますが、英語に直すと、問題点の指摘や解決策の模索を真剣に求めている言葉とは取られません。
また、このような問題を解決する時に日本人が気を付けることは、絶対に、相手の子供や親に直接連絡を取らないことです。そうすると、保護者同士の問題となります。「子供のケンカ」を「大人のケンカ」に変えても、何も解決しません。学校や、子供たちのトラブル解決の専門家である学校関係者が仲介できなくなります。
学校内のトラブルならば、学校のシステムの中で解決する努力をしてください。まず、生活指導を担当している教員に相談。そのレベルで解決できない場合は、さらに上のレベルの教育長(Superintendent)や学校区(School District Board)に相談することも可能です。
学校でのトラブル解決のためには、子供に対しても、学校に対しても、「冷静な対応」がもっとも大切です。
(2010年1月16日号掲載)