今年の春から、ロサンゼルスに赴任することになりました。日本の6・3・3の学校システムとは異なっていると聞いていますが、どう違うのでしょうか。また、9月から新学年になるそうですが、4月10日生まれの小学6年生の場合は何年生に編入することになるのでしょうか。
A. 高校まで卒業がないアメリカ。編入時の学年決定は学校区で異なる
アメリカの学校システムについてのご質問です。日本とアメリカの学校システムは、一見同じように見えますが、異なることも多くあります。
1. 学校と学年
日本の学校は、小学校・中学校・高校と、修業年限がそれぞれ6年、3年、3年と学校教育法ではっきりと決められています。それぞれの段階で「卒業」があり、上級の学校に進むためには「卒業資格」が必要です。
しかし、アメリカでは、正式な「卒業資格(Diploma)」は、高校卒業時にしか与えられません。小学校や中学校を終えると、正式には単に進級(Promotion)と呼ばれ、日本のように卒業(Graduation)ではありません。このことからもわかるように、小学校や中学校の学年は、児童生徒数などの理由で学校区が自由に決めることができます。例えば、「A小学校には6年生まで在籍していたが、来年度は児童数が増えて収容できないので、5年生までを受け入れ、6年生は中学校へ回す」などの変更が、小さな学校区で見られます。
2. 学年の決め方
前の年の12月3日からその年の12月2日までの1年間に生まれた子供は、9月の新学期から入学・進級の対象になります。
3. 日本から編入する場合の学年
(1) 年齢で決める方法
① 4月2日から12月2日までに生まれた子供:現地校の新学年が、日本の学年より早く始まる。
② 12月3日から4月1日に生まれた子供:日本の新学年が、アメリカの学年より早く始まる。
(2) 学年で決める方法
③ 当該学年で学習する内容のスキップがないように、現在の日本の学年以下の学年に編入させる。
例:「年齢で決める方法」の②の学年の決め方と同じ
編入の学年決定を、(1)(2)のどちらの方法で行うのかは学校区によって決まっています。しかし、必ずしもこのルール通りに決められるとは限りません。
※①のケースでも、編入しようとする学年や学校の児童生徒数が極端に多い場合などは、学校区の都合で②のように編入させる。
※①のケースでも、保護者の希望を聞いて、②のように学年を下げて編入させる。希望する理由は「時間をかけて英語力を身に付けさせたい」「学齢通りで中学に入れるより、担任の先生がじっくり見てくれる小学校に編入させたい」が、よくある例。
4. 編入の手続き
日本では、学齢に達している子供に対して「就学」の案内が教育委員会から送られます。アメリカでは、編入する前に通学区域内の学校へ行って、入学の書類を受け取り、予防接種の証明書や居住を証明する書類などと共に、その書類を提出します。家庭での使用言語が英語でない場合は、書類提出の前に、英語の実力測定試験(Proficiency Test)を学校区で受験しなければなりません。
5. 18歳までが義務教育
義務教育期間は年齢で決められています。原則として、18歳の誕生日を超えたら、9月から新学年で学ぶことはできません。この義務教育の上限のルールによって、日本から高校生として編入する場合、卒業のための単位取得のための年限が不十分で、高校卒業資格が取れない、などの問題が生じることがあります。事前に、よくお調べください。
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以上、簡単にですが、日本とカリフォルニア州の学校の違いを説明しました。ご質問の4月10日生まれのお子さんは、6年生か7年生で編入となります。
(2006年2月1日号掲載)