この秋から11年生の子供が、将来アメリカの大学進学を希望しており、9月からAPクラスの受講を高校の先生からすすめられました。AP試験のメリットとは?
A. 有名大学入学に有利に出願することが可能です
AP試験のねらい
アメリカの高校の目的の1つに「大学入学後の勉学への準備」があり、高校ではその勉学の基礎となる教養科目の学習が中心です。大学教育でも専門科目の前に学習の必要なこの教養科目を、高校生に大学レベルの内容で勉強してもらい、繰り返しをなくした一貫した教育をしようというのが、AP試験(Advanced Placement Program Exam)の誕生のねらいでした。現在、表に示したような科目のAP試験が実施されています。
AP試験の実施・意義
高校生は、これらの科目の勉強を、秋の新学期から翌年まで続け、全米統一の試験日・内容のAP試験を5月に受験します。ほとんどの科目の試験は筆記試験ですが、音楽では実技、美術では作品のポートフォリオ提出などが求められます。
結果は、最低1から最高5までの5段階の成績で示され、3以上の成績は大学の同じ科目の授業の合格点と同等の成績と見なされます。大学や学部・専攻により多少の違いはありますが、3以上の成績に対してその科目の大学での単位を与えられます。そのため、大学への出願に際して、AP試験の受験成績表を送付します。
AP試験の受験準備
AP試験を受験するためには、高校でAPクラスを受講するのが一般的です。しかし、クラスを受講せず、受験することも可能です。表に示した科目は、9年生から12年生までが勉強する内容に分かれています。学年を問わず、その科目の勉強をした学年で受験するのが普通で、Human Geographyは9年生、U.S.Historyは11年生、Calculus BCは12年生での受験が多くなります。表中に受験者数の多い順位も示しておきましたので、人気のある科目がおわかりいただけます。
AP試験(私の経験から)
試験のレベルが高い!私は、かつてAP CalculusやAP Physicsを教えたことがあります。使用した教科書は、カリフォルニア大学の1年生の講義テキストと同じものでした。内容は、日本の高校の学習範囲を大きく超え、確かに日本の大学の理系学部レベルのものでした。
大学入学に有利!
大学の勉強でサバイブできるかを見るためのテストがAP試験です。例え、1・2科目しか受験していなくとも、大学が入学審査にあたり、成績を高く評価するのは当然です。
AP試験の多数の科目で好成績をあげ、その成績が大学に認められると、入学の時点で大学2年生になれる可能性もあります。
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最近のレポートでは、AP試験を受験した高校生は2000年の40万人から2006年の67万人と急速に増えており、最近の卒業生の4人に1人が受験しているとのことです。アメリカの子供の数の増加で有名大学入学が狭き門になっているので、有利に出願したい、というのが大きな理由のようです。現地校で学ぶ高校生をお持ちの皆さん、お子さんのためにも、あなたのためにも、AP試験を考えてみませんか?
AP Exam: 試験科目
Art History
Biology ⑥
Calculus AB ④
Calculus BC
Chemistry ⑩
Computer Science A
Computer Science AB
Macroeconomics
Microeconomics
English Language ③
English Literature ②
Environmental Science
European History
French Language
French Literature
German Language
Comp Government & Politics
U.S. Government & Politics ⑤
Human Geography
Italian Language and Culture
Latin Literature
Latin: Vergil
Music Theory
Physics B
Physics C
Psychology ⑦
Spanish Language ⑧
Spanish Literature
Statistics ⑨
Studio Art
U.S. History ①
World History
2007年5月より追加
Chinese Language and Culture
Japanese Language and Culture
*科目名の後ろの数字は、2006年に受験者数の多かった順位を示しています。
(2007年8月1日号掲載)