基礎から学ぶ大学進学準備(1)大学の選び方

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(2025年1月号掲載)

大学進学の成否は、大学進学後の本人の満足度で決まります。質の高い指導を受け、充実した大学生活を送り、卒業後のキャリアへの準備ができた学生の満足度は極めて高くなります。一方、アメリカの4年制大学に入学した学生のうち、6年以内に卒業する学生は6割に過ぎません。他大学に転学して成功する学生もいますが、成績不振や学習意欲の低下などで辞める学生は少なくありません。満足のいく大学生活を送れる大学を探すことが重要です。

①ベストフィットな大学の探し方

アメリカの大学は、教育システムや提供するプログラム、校風など、千差万別です。誰にでも合うオールマイティーな大学は存在しません。自分にベストフィットな大学を選ぶことができるのは、自分だけです。実際に進学した学生に話を聞くのは効果的ですが、他人の評価に頼り過ぎるのは危険です。ましてや、大学や出版社の思惑で操作された大学ランキングには、何の価値もありません。

パンデミック以降、各大学はオンラインの説明会に力を入れています。大学との相性を見極めるには、実際に大学を訪問するのが理想ですが、訪問が難しい場合は、オンラインの説明会に参加しましょう。その場合、興味を持った大学のアドミッション・オフィスにコンタクトして、質問することをおすすめします。高校生にアドバイスをすることも、大学のアドミッション・カウンセラーの重要な仕事です。具体的な質問には、きちんと返答してくれるはずです。

②専攻にこだわり過ぎないこと

私が進学相談を受ける際、「◯◯専攻に強い大学に進学したい」という話をよく聞きます。「将来は、バイオ関連の研究者を目指したいので、生物学に強い大学に進学したい」のように、まず専攻から考える学生が多いです。専攻で大学を選ぶ行為を全て否定するわけではありませんが、もし専攻で大学を選ぶなら、何をもって「◯◯専攻に強い」と判断するのか、その大学に進学することで自分がどんな恩恵を受けられるのか、この2点を自分の中で明確にしておくことが重要です。

大学院や研究の成果が「◯◯専攻に強い」大学の評価になったとしても、その恩恵を学部生が受けられるとは限りません。有名な先生が教えるクラスは、大学院の授業だけかもしれません。

建築や映画制作などで、その専攻を有する大学が限られている場合は専攻を考慮する必要がありますが、多くの学生にとって、専攻は大学選びで重視すべきポイントではありません。

③知名度よりもプログラムを重視する

私が進学指導をしたある学生は、将来、医療系に進むことを希望しており、University of Michiganを第1希望として進学準備を進めました。有名な大学病院を有し、彼女が長年続けているダンスのプログラムも充実しているMichiganは、理想的な選択に見えました。しかし、本命のMichiganも含め、複数の大学に合格した彼女が最終的に選んだ大学は、リベラルアーツ系のLafayette Collegeでした。

Lafayette Collegeに進学した彼女は、1年生の後半には、教授の元で研究活動を始め、最初の夏休みには、米政府がスポンサーとなっているヘルスサイエンスの研究プロジェクトへの参加が決まりました。そのプロジェクトには、University of Michiganをはじめ、複数の研究系総合大学の学生も参加していましたが、全員が大学院生だったそうです。「知名度よりも学部学生の研究支援を重視して大学を選んだおかげで、学部のうちから、リサーチのプロジェクトに関わることができた。自分の大学選びは大正解だった」と、彼女はうれしそうに話してくれました。学生の満足度は、大学の知名度からではなく、本人の経験から得られる好例です。

④自分で選んだ大学リストを作る

ベストフィットな大学に進学するために受験生が取り組むべきことは、自分で選んだ大学リストを作ることです。大切なのは、雑誌のランキング作成者の思惑で選ばれた大学ではなく、自分自身で評価して選んだ大学です。一つ一つ地道に調べ、積極的に大学のアドミッションにコンタクトをしながら情報収集し、自分だけのリストを作ることをおすすめします。

(2025年1月号掲載)

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