(2025年2月号掲載)
大学進学を目指す高校生の保護者から、課外活動への取り組み方について、アドバイスを求められることが多々あります。「何かするなら、大学進学に役立つ活動を」という親心です。難関大学への進学は、高校の成績を上げるだけではなく、課外活動に積極的に取り組むことも重要だとよく言われます。
大学のアプリケーションフォームは、Academics(学業)とExtracurricular Activities(課外活動)を記入する欄があります。1000校以上の大学で採用されているCommon Appでは、高校時代に取り組んだ課外活動を、最大10記載することが可能です。
スポーツや芸術などのクラブ活動や、コミュニティーでのボランティア活動、パートタイムの仕事など、クラスルーム以外で行った活動は全て課外活動の対象となります。家族の世話にかかりきりの高校生もいますが、これも立派な課外活動です。「自分にとって意味のある活動」は、全て課外活動としてアプリケーションに記載できます。
課外活動の意義
アメリカの大学は、なぜ、課外活動に積極的に取り組む学生を高く評価するのでしょうか。大学は課外活動そのものを評価しているわけではありません。課外活動を通じて身に付けた能力や経験を評価しているのです。
課外活動を通じ、学生はさまざまな経験をします。仲間との交流から、コミュニケーションやチームワークの大切さを学びます。限られた時間をやり繰りしながら、学習と課外活動を両立させ、時間管理や自己管理の能力を身に付けます。普段接する機会が少ない人と関わることで、社会の一員としての自覚が持て、広い視野から物事を見る経験ができます。
リーダーシップについても、誤解をしている方が多いようです。難関大学は、将来社会でリーダーとして活躍する人材を求めているので、リーダーシップを示すことが重要という考え方は間違いではないですが、重要なのは肩書ではありません。クラブ活動に積極的に参加しても、リーダーとしての肩書が無いことを気にする学生もいますが、引け目を感じる必要はありません。チームのコミュニケーションが円滑に行われるように陰で支えたり、自分が率先して行動することで仲間に良い影響を与えたりできれば、それもリーダーシップです。肩書があってもリーダーシップを発揮していない学生よりも、高く評価されるはずです。
課外活動の成果を示す方法
Common Appの課外活動の欄には、9年生以降に取り組んだ活動について、内容や自分の役割などを記入します。さらに、取り組んだ時期(放課後、休み中など)と、週・年単位で取り組んだ時間数を記します。
ただし、大学は課外活動そのものを評価しているわけではないので、課外活動欄を全部埋めたところで、評価は期待できません。なぜその活動に取り組んだのか、どんな経験をして何を学んだのかを示すことが重要です。
とはいえ、課外活動の欄は30語程度しか書けないので、ここでは詳しく伝えられません。課外活動で自分が成長したことを大学に伝えるのは、課外活動欄ではなく、アプリケーションで提出するエッセイです。Common Appでは、アプライする各大学に対し、650語以内のエッセイを二つ提出できます。特に重要な課外活動、つまり、自分の成長に大いに役立った活動は、この二つのエッセイで伝えます。
課外活動の選び方
学生にとって、役に立たない活動は何一つありません。どんな活動でも、積極的に取り組めば、自ずと成長します。課外活動の選択肢は無限にありますが、選ぶ基準としては、「情熱を持って取り組めること」が挙げられます。自分が好きなこと、頑張りたいことに取り組めば、より多くの経験をし、大きな成長につながるからです。
「うちの子は、毎日ダンスばかりで、ボランティアの一つもやろうとしない」と嘆く保護者がいますが、ダンスよりもボランティアが、価値のある活動と考えているのなら、それは大きな間違いです。年に数回、不承不承ながら参加するホームレスへの炊き出しと、情熱を持って毎日取り組むダンス、どちらが自己研鑽になっているかは明らかです。
(2025年2月号掲載)
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