（2022年12月16日号掲載）
2023年に卒業する12年生は、９年生と10年生でオンライン授業を経験するなど、新型コロナウイルスの影響を受けましたが、11年生以降は、通常の学校生活に戻りました。キャンパスツアーも復活して、パンデミックによる制約のない進学準備ができています。
パンデミックによりオンラインの大学説明会やバーチャルツアーが普及し、また、パンデミックが収束した後もテスト・オプショナルのアドミッションが継続されるなど、パンデミック前と比べ、進学準備がしやすくなり ました。
22-23年度の大学アドミッションでは、11月上旬にEarly Deadlines（早期締切）を迎えた大学が多いので、1000校以上が採用する共通アプリケーションシステムを提供するCommon Appが発表したデータを元に、22-23年度の大学アドミッションの途中経過をまとめました。
1.受験者数の増加
Common Appによると、22年11月1日時点の出願者数が、パンデミック前の19-20年度と比較して26％増の過去最高を更新しました（表①）。
米国内の出願者数が20％増であったのに対し、米国外からの出願者数が63％増と大幅に増えたことが特徴です。米国外からの受験者は、パンデミックの間も毎年増加していました。パンデミックの間も外国人留学生の受け入れを止めなかった米国大学の成果と言えるでしょう。なお、Common Appを新規に採用する大学は年々増えていることから、比較の精度を高めるため、今回は19-20年度の時点でCommon Appを採用していた大学のみを調査対象としています。
2.出願数の大幅増加
受験者数以上に大きく増えたのが出願数です。22-23年度の大学アドミッションは、19-20年度と比較すると40％増となりました。Common Appでアプライする学生が増えると共に、一人当りが出願する大学の数も増えています。
例えばカリフォルニア州では、11月1日時点での出願数が前年比65％増と、異常とも言える増加率です（表②）。パンデミック以降、カリフォルニア大学の受験者数が急増して難関化したことから、早期締切で私立大学をアプライする学生が増えたことがうかがえます。
3.テスト・オプショナルの継続
20-21年度のアドミッションでは、パンデミックの影響で、ACTやSATのテストを受けることが難しい受験生が急増し、ほとんどの大学が、アドミッションでテストスコアの提出を必須条件から外しました。テスト・オプショナルと呼ばれるこの方法は、パンデミックの収束後も継続して採用されています。
アイビーリーグの各校や名門リベラルアーツカレッジなど、名だたる大学がCommon Appを採用していますが、22-23年度のアドミッションでテストスコアを要求する大学は、わずか4％。そのほとんどがフロリダ州とテキサス州の大学です。Common Appでアプライした受験生のうち、テストスコアを提出した人の割合が、22-23年度は前年度と比べて3％減少しています（表③）。テスト・オプショナルのアドミッションでは、スコアを提出しなかった人が、提出した人に対して不利にならず、そのことが徐々に浸透しつつある表れと考えられます。
22-23年度のアドミッションは、これから佳境を迎えます。多くの受験生が進学先を決める５月１日のDecision Dayの後で総括したいと思います。
（2022年12月16日号掲載）
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