秋学期を対面授業で行うウィリアムズ・カレッジ

ライトハウス電子版アプリ、始めました

2020年の春からオンラインで授業を行ってきたアメリカの大学は、秋学期から学生をキャンパスに戻す方法を模索してきました。
 マサチューセッツ州の名門リベラルアーツカレッジ、ウィリアムズ・カレッジのモード・マンデル学長は、「人のいないキャンパスはウィリアムズではない」と、20年秋学期は対面授業で行うことを6月中に明言し、準備を進めてきました。学生数2000人の同大学は、対面学習を希望する全ての学生に対して、独自の感染防止ガイドラインに沿って行動することを義務付けています。今回は、そのガイドラインの一部をご紹介します。

入寮時の行動制限

全ての学生は、キャンパスに来る前に14日間の自主隔離を行います。そして、寮に到着したら、部屋に入る前に 1回目の新型コロナウイルスの検査を受けます。その後、学生は寮の部屋に隔離され、陰性が確認された学生は、2回目の検査を受けます。2回の検査で陰性が確認されるまで、学生は寮の部屋で待機します。この期間中、学生が部屋から出られるのは、バスルームの使用時と、検査場に出向くときだけで、全ての食事は部屋に届けられます。この隔離は5日から一週間程度ですが、検査で陽性となった学生は別室での隔離が続きます。

学期中の行動制限と生活

2回の検査で陰性が確認された学生は、室内隔離が解除され、ライブラリーやダイニングホールなど、学内の施設を使えます。ただし、9月末までは学内隔離となり、この期間は、学外に出ることは禁止です。また、車や自転車も9月末までは使用できません。
9月末の時点での感染状況を確認し、問題がなければ10月から、学外にも移動できますが、秋学期中は大学のあるカウンティーの外に出ることは、緊急事態を除き認められません。学内では、常にソーシャルディスタンシングとマスクの着用が義務付けられ、違反した学生は懲戒を受けます。

当面の間、全ての学生は週に2回、検査を受け、検査スケジュールや結果はスマホで管理します。各学生の感染の有無と感染者の感染経路を明確にすることで、学内での感染拡大を防ぐことが目的です。ちなみに、検査を2回欠席した学生は即座に学外退去を命じられ、以降はリモートでの受講となります。
カフェテリアはテイクアウトのみの営業で、メニューはモバイルアプリでオーダーできます。学生は、ソーシャルディスタンシングを心がければ、屋外で他の学生と一緒に食事をすることができます。ただし、ルームメイト同士については、ソーシャルディスタンシングは不要で、寮の部屋で一緒に食事をすることも可能です。

スポーツ施設の利用制限

フィットネスセンターやプールなどの屋内運動施設は、秋学期当初は全て閉鎖されています。再開時期は、学内の状況を評価して決めることになります。屋外のスポーツ施設は、秋学期を通じて使用可能です。屋内運動施設の使用禁止は、同大学の学生の3分の1を占めるバーシティー・アスリートにも適用されます。バーシティー・チームは、9月半ばまでチーム練習はできませんが、それ以降は、コーチと一緒に屋外施設でトレーニングが可能となります。なお、全てのスポーツチームは、秋学期は対外試合を行いません。

サンクスギビング以降の対応

寮に滞在している学生は、サンクスギビングの直前に寮を一時退去し、以降は年末までリモートで授業を受けます。外国人留学生など、サンクスギビング後も寮に留まることを希望する学生は、事前に申請します。ちなみに近隣のスミス・カレッジは秋学期を全てリモートで行い、アマースト・カレッジは学生を6:4で分け、4割の学生をリモートにして授業を行います。もちろん、ウィリアムズ・カレッジでも希望する学生には、ギャップイヤーがとれるようにするなど、柔軟な対応をしています。各大学が秋学期の対応に苦慮する中、ウィリアムズ・カレッジの取り組みがどのような成果を挙げるか、大いに注目したいと思います。

(2020年9月16日号掲載)

海外に暮らす学生のための「日本の大学への進学&留学ガイド」サイト

「アメリカ大学進学ガイダンス」のコンテンツ