Common Appは、全米約900校が採用する大学の共通アプリケーションシステムです。2020-21年度は、105万人の学生がCommon Appを利用して600万件のアプリケーションを提出しました。Common Appが20-21年度の提出状況を公表したので、パンデミックがどのようにアプリケーションに影響を及ぼしたかを紹介します。
居住地域による影響
20-21年度のCommon Appでは、不測の事態で学習に大きな影響が出た場合に、その説明ができる欄が加わりました。回答は任意で、20%の学生が回答しました。人種や所得による違いはあまり無く、一方で地域差はありました。回答率が高かったのはプエルトリコ(40%)、カリフォルニア(28%)、グアム(26%)、アラスカ(25%)など。回答率が低かった州は、サウスダコタ(11%)、ルイジアナ(13%)、ネブラスカ(13%)などです。
この説明欄は、洪水や山火事などによる影響を受けた場合も使えるため、全てがパンデミックの影響とは限りませんが、地域による学習への影響の差が大きかったことが改めて確認できました。なお、21-22年度のアプリケーションでも、この説明欄は継続されます。
テストスコアの提出
20-21年度は、Common Appを採用する大学の90%が、ACTやSATのスコア提出を必須とせず、テストオプショナルまたはテストブラインドを採用しました。その結果、スコアを提出した学生の割合は43%となり、前年度の77%から大幅に減りました。提出率は州差が大きく、南部と中西部の提出率が高く、北東部と西部は低くなりました。
例年、Common Appを利用してアプライする学生は、州外の大学に多くアプライします。その傾向は、20-21年度も変わりませんでした。特に、人口に対して大学数が少ない西部の学生は、他州の大学をより多く受けています。
締め切りの延長
大学のアプリケーションの締め切りには、Regular Deadlines(一般締め切り)とEarly Deadlines(早期締め切り)があります。Early Deadlinesの期日の多くは11月初旬で、締め切りが早い分、合否通知も早いです。早期締め切りには、「合格したら必ず進学する」という条件付きのEarly Decisionと、制約の無いEarly Actionがあります。20-21年度はEarly Decisionを採用する大学の20%、Early Actionを採用する大学の15%が締め切りを延長し、それに伴い、合否の通知が遅れるケースが多くありました。RegularDeadli nesを採用する大学も、16%が締め切りを延長しました。
Common Appの締め切り直前にアプリケーションを提出する学生は非常に多く、20-21年度も例外ではありません。大学ごとの数値は公表されていませんが、多くの学生が締め切り延長の恩恵を受けたと推測されます。学生がいつアプリケーションを提出したか、大学は一目で分かります。そのため、他の学生と差別化を図る方法として、早めのアプリケーションの提出を薦めます。締め切りの48時間以上前に出せば、志望大学のために計画的に準備を進めたと示せます。(2021年11月16日号掲載)