ED(Early Decision)の活用方法

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アメリカの大学の出願の締め切りには、一般締切(Regular Deadlines:RD)と早期締切(Early Deadlines)があり、さらに早期締切には、Early Action(EA)とEarly Decision(ED)があります。今回は、EDについて説明します。

 

EDは本命の大学が対象

EA、EDのどちらかを採用する大学が多いのですが、両方、またはRDのみなど、どのような出願締切を採用するかは大学により異なります。また、EAとEDは、締切も結果も早い点は同じですが、EDは「合格したら必ず進学する」という条件が付きます。
 
EDで出願する最大のメリットは、アドミッションで確実に有利になる点です。ED受験生は、合格通知を出せば確実に入学が見込めるため、大学にとってありがたい存在です。そのため、アイビーリーグや難関リベラルアーツカレッジなど、RDの合格率が低い大学でも、EDで出願すると合格率が上がります。
 
EDで合格すると、学費がどうしても払えない場合を除き、進学の取り消しはできません。そのため、EDは本命の大学が対象となります。

 

EDを特に優遇する大学

ED受験生を優遇する大学が本命の場合、EDでの出願をおすすめします。例えば、アメリカン大学は、RD合格率が26.6%に対して、ED合格率は84.5%です。クレアモントマッケナ大学は、RD合格率が7・9%の超難関大学ですが、ED合格率は31%になります。ED合格率の高い大学が本命の場合、ED出願が適しているでしょう。
 
これに対して、ボストン大学は、RDとEDの合格率に大きな差はなく、また全入学者に対するED受験者の割合も3分の1程度と、他大学ほどED受験生を優遇していません。このような大学を受ける場合は、たとえ本命であってもED出願にこだわる必要はないかもしれません。

 

レガシー学生の場合

アメリカでは、親の出身大学を受ける学生は「レガシー学生」と呼ばれ、アドミッションで優遇されます。例えば、プリンストン大学は合格率6・4%の超難関ですが、入学者の約4割がレガシー学生です。ハーバード大学やペンシルベニア大学など、他のアイビーリーグ各校もレガシー学生が約3分の1を占めます。
 
レガシー学生が優遇される理由に、寄付金が挙げられます。卒業生が1人だけの家庭と比べ、卒業生が複数人いる家庭の方が愛校心が高まり、より多くの寄付金が期待できるからです。EDを採用する大学は、レガシー枠をEDで出願する学生から埋めるので、レガシー学生は、EDで出願すると合格率を高められます。

 

アスリート学生の場合

ED出願が適している他の例に、アスリート学生が挙げられます。大学スポーツのコーチにとって、必要なアスリートを確実に入学させることは重要です。そのため、各コーチはアドミッションオフィスと連絡を取り、自分がリクルートしている学生が合格可能かどうかを見極めます。
 
アスリート学生が、コーチからEDでの出願を打診された場合、アドミッションオフィスで合格可能と判断された可能性が高いです。つまり、EDで出願すると極めて高い確率で合格できます。EDでの出願を拒むと、そのポジションが他のアスリート学生に回されることもあるので、オファーを確実にするためには、ED出願をおすすめします。

 

奨学金重視の学生は要注意

ED出願は、学費が払えるかの見極めも重要です。RDやEAで出願すると、大学から提供されるファイナンシャル・エイドを比較してから進学先を選べますが、EDではできません。ファイナンシャル・ニードをカバーしてくれる大学や、アスレチック奨学金の額が提示されている場合は問題ありませんが、そうでないなら注意が必要です。必ず入学するED学生に、大学が高額な奨学金の提示をするとは考えにくいからです。
 
(2018年6月16日号掲載)

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