アメリカの大学には、どんな種類と役割がある?

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リベラルアーツ・カレッジ人気の高まりとその利点

大学のアドミッションの変化については前回お話しましたが、学生が大学を選ぶポイントにも変化が見られます。アメリカでは特にここ最近、「リベラルアーツ・カレッジ」を希望する学生が増えています。
 
リベラルアーツ・カレッジとは、ひと言で言うと「学部の教育を重視している大学」です。特定の職業に直結する専門知識や技術の会得よりも、幅広い教養を身に付けることを重視した教育を行い、将来さまざまな分野で活躍できる人材を育てます。リベラルアーツ・カレッジの大半は、小規模な私立大学です。カリフォルニアでは、比較的学力の高い学生でも州立大学志向が強く、最近までリベラルアーツ・カレッジを希望する学生は限られていました。
 
ところが、授業料の高騰や教育の質の低下など、州立大学の問題点がメディアで取り上げられるようになると、私立大学に目を向ける学生が増え、それに伴いリベラルアーツ・カレッジへの注目も高まってきました。
 
州立大学や大規模私立大学のように、数多くの学部を有し、大学院レベルの教育にも力を入れている大学は「総合大学」と呼ばれています。総合大学の特長は、多くの学部や専攻を有することです。また、さまざまな実験設備や、運動場などの施設の充実も、大規模大学ならではと言えます。
 
これに対して、リベラルアーツ・カレッジの最大のメリットは、きめ細かいサポートです。少人数のクラスで指導が受けられることの価値は、1クラス200人の教室で講義を聞くのと、1クラス20人の教室で議論しながら理解を深めるのとの違いを想像すれば、容易に理解できます。
 
また、リベラルアーツ・カレッジでは、各学生に進路カウンセラーが付き、授業の履修方法から専攻の選び方、将来の進路に至るまで、親身になって相談に乗ってもらえます。自分にぴったりの専攻がない場合は、新たに専攻を作ってもらうこともできます。

アメリカの高等教育を支えてきた私立大学

アメリカの高等教育を牽引してきたのは、私立大学だと言われています。実際に、アメリカの大学の歴史は私立大学から始まりました。例えば、ハーバード大学は1636年設立で、アメリカ建国の140年も前です。
 
アメリカの私立大学は、より質の高い教育を求める市民の声に応えながら進化してきました。その過程で、数多くのリベラルアーツ・カレッジが誕生しました。そして、私立大学だけではカバーできない幅広い層に教育を提供するために、各地に州立大学が作られました。

スクールカウンセラー不足の影響とは?

私立大学には教育の質や学生のサポート等で大きなメリットがありますが、すべての学生が私立大学を目指しているわけではありません。むしろ、州立大学しか受けないという学生の方が多いくらいです。その最大の原因は、私立大学を受けるのに必要なサポートを、高校で受けられていないことが挙げられます。
 
私立大学進学には、より複雑なアドミッションやファイナンシャルエイドへの対応が必要ですが、これは簡単な作業ではありません。高校生にとって、進学準備の相談相手は学校のスクールカウンセラーですが、そのカウンセラーが大幅に不足しています。
 
2008年度の調査によると、全米の公立高校では、1人のスクールカウンセラーが、平均457人の生徒を担当しています。一方、カリフォルニア州は、全米最悪の814人。カウンセラーが生徒のニーズに個別対応できるのは150人くらいが限度ですから、カウンセラーが私立大進学をサポートをするのはほとんど不可能です。私立大学を受けるためには、学校のサポートに頼ることなく、独自に準備を進めることが不可欠と言えます。
 
(2011年10月16日掲載)

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