アメリカの大学の入学審査は書類選考で行われますが、入学審査の際に、高校の先生やカウンセラーからの推薦状の提出が必要となる場合が一般的です。アドミッション担当者は、高校の成績やテストスコアに表れない人物像を知るために、エッセイや面接を課しますが、推薦状もその一環として活用されます。全米大学進学カウンセリング協会(NACAC)が大学の入試担当者を対象に行った調査では、約6割の大学が入学審査で推薦状を重要視しているとの結果が得られています。
大学で異なる推薦状要件
推薦状要件の例 |
推薦状の要件は、大学により異なります。MITのように、教員2名とカウンセラー、合わせて3通の推薦状を要求する大学もあれば、UCLAのように推薦状の提出が不要な大学もあります。大学によっては、学校関係者に加えて、ボランティア先の責任者やスポーツチームのコーチなど、学外の方からの推薦状を提出することも可能です。
推薦状の提出方法
推薦状は、オンラインと郵送の2通りの提出方法がありますが、近年は、オンラインで推薦状を提出できるシステムが整備されてきて、オンラインで提出するケースが多くなっています。大学側もオンラインで受け取る方が手間が省けます。そのため、郵送での提出は、学外の推薦者が郵送での提出を好む場合に限られます。
①コモン・アプリケーションを利用した提出
コモン・アプリケーション(Common Application)はアメリカで最も広く利用されている大学(学部)のアプリケーションのサービスです。コモン・アプリケーションでアプライする大学については、コモン・アプリケーション上で推薦状を提出できます。
受験生は、コモン・アプリケーション上でFERPA waiverにサインして推薦者を招待します。FERPAは、家庭教育の権利とプライバシーに関する連邦法です。招待された推薦者には、推薦状をアップロードする際に必要な情報がメールで送られます。
推薦者には、推薦状の提出期限を伝えます。推薦者が推薦状をアップロードしたかどうかは、コモン・アプリケーション上で確認することができます。受験生がコモン・アプリケーション上での出願手続きを完了した時点で、推薦状が大学に提出されます。
②ナビアンスを利用した提出
アメリカの高校の多くは、ナビアンス(Naviance)という進学支援ソフトウェアを導入しています。ナビアンスを導入している高校では、ナビアンス上で生徒の成績表や推薦状が準備されます。
受験生は、自分のナビアンスのアカウントとコモン・アプリケーションのアカウントを同期する手続きを行います。そして、推薦者をナビアンスに招待します。このプロセスにより、ナビアンス上で準備された推薦状を、コモン・アプリケーションでアプライする大学にオンラインで提出することが可能となります。
高校がナビアンスを導入している場合でも、学外の推薦者に推薦状を依頼する場合は、推薦者を直接コモン・アプリケーションに招待することになります。また、ジョージタウン大学やMITのように、独自のアプリケーション・システムを採用している大学に推薦状を提出する場合は、そのシステム上で推薦者を招待します。
ブラグシートの活用
推薦者に効果的な推薦状を作成してもらうためには、推薦状で強調してもらいたい点を推薦者に的確に伝えることが重要です。その際に使われるのがブラグシート(Brag Sheet)です。ブラグシートは、高校での成果や自身の成長を支えた経験などをまとめて記した書類です。
12年生になり、推薦状を依頼する時期がくると、高校からブラグシートに記入して提出するように指示されます。推薦者は、このブラグシートを見ながら推薦状を仕上げます。このシートを通じて、自分が評価してもらいたいポイントを推薦者にうまく伝えることができれば、効果的な推薦状に仕上がるはずです。
(2018年11月16日号掲載)