大学進学の準備において、実際にキャンパスに足を運んで大学への理解を深めることが大切だということは以前もお話ししましたが、キャンパスを訪問するのは、アプライする大学を選ぶためだけではありません。複数の大学から合格通知を得た後、実際に進学する大学を選ぶ際にも、キャンパス訪問は極めて重要です。今回は、大学合格後にキャンパスを訪問するときの注意事項をまとめました。
5月1日までのカウントダウン
受験生のゴールは、5月1日までに進学先を決めることです。アプライした大学の結果は3月末にほぼ出そろい、受験生は合格大学の中から進学する大学を決めて5月1日までにデポジットを納め、大学の籍を確保します。従って、キャンパス訪問は合格通知を得てから5月1日までの間に行うことになります。短期間に複数の大学を訪問することになるので、それぞれの大学へのアクセス方法をしっかり把握して、合理的な訪問計画を立てましょう。
合格した大学は全て訪問するのが基本です。ファイナンシャル・エイドが得られず経済的に進学が不可能な大学を除いて、合格した大学は全て進学先の候補です。滑り止めくらいに考えて受けた大学が、実際に訪問してみたらとても気に入って進学先に決めたという事例はいくらでもあります。数多くの選択肢の中から自分にとってベストな大学が選べるようにするためには、きちんと戦略を立てて複数の大学を受けることが大切です。
アプライする前に訪問した大学も、合格通知を得たら必ず再度訪問してください。各大学は、合格者向けのイベントを行い、合格者のキャンパス訪問を促します。イベントでは、実際の授業が見学できたり、大学寮に泊まって在校生と交流できたりするので、一般のキャンパスツアーよりもはるかに大学に対する理解を深めることができます。
イベントの日に訪問できるのが理想的ですが、万が一予定が合わない場合は他の日でも構いません。その際は、事前にアドミッション担当者に連絡をとり、自分が合格者であることを伝えておけば、イベントに参加する場合と同等の対応をしてもらえます。
ベストな一校を見つけるために
キャンパス訪問では多くの在学生と話す機会が得られるので、いろいろ質問をしましょう。数多くの選択肢の中からなぜこの大学を選んだのか、実際に入学してみてどう感じたのかなど、現役大学生の話を聞くのは自分が進学先を決める上で大いに参考になります。
ベストな一校を見つけるためには合格した全ての大学を訪問すべきですが、それを実行するのはかなり大変です。近年各学生が受験する大学数は増加傾向にあり、10校以上から合格通知を得る学生も少なくありません。4月に春休みがあっても、1か月間に10校訪問するのはあまり現実的ではないかもしれません。
そこで、訪問時期を分散させる必要があります。例えば、週末にキャンパス訪問ができる大学は週末に訪問します。また、早期締切で合格した大学はなるべく3月までに訪問。それでも4月の平日に学校を休んでキャンパス訪問することは避けられないと思いますが、高校への影響を最小限に抑える工夫をしましょう。
キャンパス訪問にかかる交通費も大きな負担となります。経済的に厳しい学生は、キャンパス訪問にかかる経費の一部を大学に負担してもらえるか尋ねてみるという方法があります。空港への送迎や大学寮での宿泊を、大学に手配してもらえる場合もありますので、アドミッション担当者に相談することをお勧めします。
進学先を選ぶ上で、学費が支払えるかどうかも重要なポイントです。提示されているファイナンシャル・エイドの金額について交渉したい場合は、キャンパス訪問時にファイナンシャル・エイドの担当者に会って相談してみてください。交渉の余地があるかどうかは分かりませんが、相談してみる価値はあるはずです。
最後に、キャンパス訪問から帰ったら、お世話になった方々にお礼のメールを書き、キャンパスツアーに参加して良かったこと、学んだことなどを簡潔に伝えましょう。全ての大学を訪問したら、進学先を決めることになります。4年間の大学進学という大きな時間とお金を投資する先を決めるわけですから、慎重に比較検討して、満足のいく決断をしてください。
(2015年1月16日号掲載)