ミュージシャンの大学進学

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アメリカの高校生の多くはさまざまな課外活動に参加しています。音楽に積極的に取り組む高校生の中には、大学でも音楽を続けたいと考えている人も数多くいます。今回は、大学で音楽を学びたい学生の進学方法についてご説明します。
音楽を主専攻とする学生の進学先は、大学の音楽学部とコンサバトリー(音楽学校)の2つに大別できます。
音楽も学びたいけれど普通の大学生活も楽しみたい学生には、音楽学部のある大学がお勧めです。ミシガン大学やUCLAのような大規模総合大学からイサカカレッジのような小規模のリベラルアーツ・カレッジまで多様な大学が質の高い音楽学部を持っています。
コンサバトリーは、音楽を専門に学びたい学生にとって魅力的です。一般教養も含めて、学習のほとんどが音楽に関わる内容なので、音楽漬けの学生生活が送れます。フィラデルフィアのカーティス音楽学校やニューヨークのジュリアード音楽院のように、小規模の単科大学として独立したコンサバトリーもありますが、イーストマン音楽学校(ロチェスター大学)やジェイコブズ音楽院(インディアナ大学)のように大学に併設されたコンサバトリーもあります。

自分に合うプログラムを選択

大学で音楽を学ぶと言っても、その目的は学生により異なります。プロの演奏家を目指す人もいれば、課外活動として音楽活動を楽しみたいという人もいます。音楽以外の学習にも取り組みたい学生のために、アメリカの大学ではさまざまな学習プログラムが用意されています。

①デュアルディグリー

コンサバトリーで音楽を学びながら、大学で他の専攻も併せて学ぶことにより、コンサバトリーと大学の両方から学位を取得できます。ノースウエスタン大学を例に挙げると、ノースウエスタン大学で文学士や理学士を取得すると共に、併設するビーネン音楽院で音楽学士を取得するプログラムがあります。また、ハーバード大学とニューイングランド音楽院のデュアルディグリー・プログラムでは、ハーバード大学で文学士を、ニューイングランド音楽院で音楽修士を取得できます。デュアルディグリー・プログラムに進学するためには、コンサバトリーと大学の両方に合格する必要があります。2つの学位を取得するのには、一般的に5年かかります。

②ダブルメジャー

主専攻を2つ選び、同時に履修する方法をダブルメジャーと言います。音楽学部の中で2つの専攻を選ぶ場合もあれば、音楽学部とそれ以外の学部で2つの専攻を選ぶ場合もあります。デュアルディグリー・プログラムによく似ていますが、ダブルメジャーの場合、得られる学位は1つです。例えばカーネギーメロン大学の音楽学部は、音楽以外の専攻とダブルメジャーをしている学生が多いことで知られています。ダブルメジャーの要件や卒業までの年数等は、大学ごとに異なります。

③ミュージックマイナー

心理学や生物学など、音楽以外の主専攻を選び、音楽を副専攻(マイナー)で学ぶ方法もあります。主専攻では将来の進路に大きく関わる分野を選びながらも、音楽にも積極的に関わりたい学生に適した選択と言えるでしょう。例えば南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校は、音楽をマイナーで選ぶ学生向けのプログラムも非常に充実しています。

④課外活動としての音楽

音楽学部に所属しなくても、大学で音楽活動をすることは可能です。音楽を専攻していない学生でもアンサンブルに参加したり、レッスンを受けたりすることができます。また、マーチングバンドも課外活動として取り組む学生がほとんどです。

進学準備の進め方

進学準備で最初に取り組むべきことは、大学探しです。知名度の高い大学や、有名な音楽家が在籍するコンサバトリーに目が行きがちですが、そうではなく、自分との相性を見極めることが大切です。実際にキャンパスを訪問し、音楽学部の教授や学生に会って、大学の雰囲気を肌で感じとってください。
 
アメリカの大学のアドミッションは書類審査が基本ですが、音楽を主専攻として進学する場合はオーディションが課せられます。オーディションに向けて練習を積む必要があるため、音楽専攻の進学準備は、一般の専攻よりもはるかに長期戦となります。また、締切や応募要件も一般の専攻とは異なるので、できるだけ早く情報収集を始めて、余裕を持って準備を進めましょう。
 
(2016年10月16日号掲載)

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