英語で学べる海外の大学①イギリスの大学

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アメリカで学ぶ高校生が進学するのに適した大学が、アメリカの大学であるとは限りません。英語で学べる大学は世界中にあり、国外で学ぶアメリカ人学生は年々増えています。今回は、英語圏の大学教育において最も伝統のあるイギリスの大学への進学方法をご紹介します。

 

イギリスの大学の受験資格

イギリスの大学は、大学レベルの教養をある程度身に付けた学生を対象としており、アメリカや日本の大学と比べると受験資格が厳しいと言われています。例えば日本の高校生は、国際バカロレア(IB)のディプロマが取得できる一部の高校を除き、高校卒業時に、イギリスの大学の受験資格を満たすのは難しいです。
 
これに対し、アメリカの高校生は、SATやACTの点数や、高校で履修しているAP(Advanced Placement)の成績を提示することで、イギリスの大学の受験資格を満たせます。SATの場合は英語と数学がそれぞれ600以上、ACTは26以上、APは3以上が3科目以上、このいずれかを満たしていれば受験が可能です。ただし受験資格を満たすのは最低条件であり、希望する大学(学部)から入学許可を得るには、競争力のある成績を修めることが重要です。

 

UCASでのオンライン出願

イギリスの大学に学部進学を希望する際は、UCAS(The Universit ies and College Admissions Service application)を利用して出願します。UCASは、イギリスの大学が利用するオンライン出願サービスです。一つのシステムで複数の大学に出願できるシステムという点で、アメリカのコモン・アプリケーションと似ています。ただし、コモン・アプリケーションが出願書類の提出に特化したシステムであるのに対して、UCASでは、書類の提出から合否判定まで出願プロセス全ての追跡ができるのが特徴です。UCASでは、最大5大学(学部)に出願できます。
 
UCASでは、コモン・アプリケーションと同様にエッセイの提出が求められます。長さは4000字以内で、コモン・アプリケーションの650語以内とあまり変わりませんが、内容はUCASの方がより単刀直入で、いわゆる志望動機書です。その専攻を志望する理由や、その専攻が自分に適している理由、自分がどのような価値を大学にもたらせるかなどを明確に示します。
 
アメリカから進学を希望する学生に対応するために、UCASだけでなくコモン・アプリケーションでも出願できる大学が徐々に増えてきました。現在では、ニューキャッスル大学やブリストル大学など、27の大学がコモン・アプリケーションを採用しています。ただしその数はまだ少なく、イギリスの入学審査はあくまでもUCASを基準に進められているので、本格的にイギリスの大学進学に取り組む学生には、UCASの利用をお勧めします。

 

広く学ぶ米国、深く学ぶ英国

世界の高等教育をリードしてきた米英両国ですが、両者の大学教育制度は大きく異なります。まず卒業までの年数が異なります。アメリカの大学教育は、一般教養教育と専門教育に分かれていて、卒業まで4年かかるのが一般的です。一方、イギリスの大学教育は専門教育に特化していて、3年間で卒業するのが一般的です。大学においても教養教育を重視するアメリカの高等教育に対して、基本的な教養教育は高校までに済ませて、大学では専門分野に特化して学ぶのがイギリスの高等教育です(イギリスの中でもスコットランドだけは、アメリカに似た教育システムを有し、卒業まで4年かかります)。
 
イギリスの大学(University)は、複数の学部(College)に分かれています。各学部(College)は、それぞれ独立した学校のように運営されています。学生は、学部を選んで受験し、進学後はその学部で大学生活を送ることになります。アメリカの大学(University)も、複数の学部(Department)に分かれていますが、あくまでも一つの大学として運営されています。ですから入学審査は大学全体で一本化されていて、学生は進学後に学部を移動したり、他学部の授業を履修したりすることが自由にできます。どちらの教育システムが合うかは、学生により異なります。大学で専攻したい分野が明確になっている学生には、専門分野に特化して深く学べるイギリスの大学が向いていると言えるでしょう。大学で学びたいことがまだ明確でなかったり、複数分野を同時に学びたかったりする学生には、幅広く学べるアメリカの教育システムが合っているかもしれません。
 
(2018年2月16日号掲載)

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