日々英語で学ぶ高校生が進学するのに適した大学はアメリカ国内だけに限りません。英語で学べる大学は世界中にあり、国外で学ぶアメリカ人学生数も年々増えています。今回は、アメリカ以外で英語で学べる大学を紹介します。
海外の大学のメリット
全米には約3千校もの4年制大学があるのに、なぜわざわざ国外に出るのでしょうか。新たな言語や文化を身に付けたい、アメリカよりもさらにグローバルな環境で学びたいなどその理由は多様ですが、学費を理由に挙げる学生も増えています。
アメリカの大学の学費は過去30年で5倍になっています。年々授業料が高騰するアメリカの大学に嫌気が差して、海外に目を向ける学生が増えるのもうなずけます。特にヨーロッパには、教育の質と学費の面で魅力的な大学が数多くあります。
①北欧4カ国
生活環境が充実していることで知られている北欧4カ国の大学は、大学教育も極めて魅力的です。国民の多くが高い英語力を有することもあり、英語で学べるコースが数多く用意されています。学力が世界トップレベルと言われるフィンランドの大学は、自国の学生のみならず外国人学生も授業料は無料です。ノルウェーの大学は比較的少人数のクラスで、教授との距離が近いのが特徴です。ノルウェーの大学も学費は無料ですが、生活費はやや高めです。デンマークとスウェーデンの大学では、EU/EEA以外の学生は授業料を払いますが、質の高い教育がリーズナブルに受けられることに変わりはありません。
②オランダ、スイス、ドイツ
オランダの大学も英語で学べるコースが数多く用意されていて、外国人学生の学費も低く抑えられています。スイスの大学は、主言語はフランス語、ドイツ語、イタリア語など地域により異なりますが、英語で学べるコースも充実しています。外国人学生からも授業料をとらない大学はドイツにも数多くあります。ただし、ドイツの大学は大人数のクラスが比較的多く、きめ細かいサポートはあまり期待できません。
③イギリス、アイルランド
使用主言語が英語の両国には、アメリカから数多くの学生が進学しています。キングスカレッジやニューキャッスル大学など、アメリカのコモンアプリケーションで受験できる大学も増えたため、アメリカの大学と併願しやすくなりました。学費はヨーロッパの他の地域と比べると少し高めです。イギリスの大学は一般教養課程がなく3年間で卒業できる場合が多いですが、スコットランドはアメリカに似た教育システムを持ち、4年間で卒業するのが一般的です。
④カナダ
近年アメリカからカナダの大学に進学する学生が急増しています。アメリカの大学よりもアドミッションの時期が遅いため、アメリカで希望の大学に進学できなかった場合の選択肢として検討する学生も多くいます。大半の出願にはエッセイや推薦状等が不要で、比較的簡単にアプライできるのも魅力です。
⑤アジア、オセアニア
オーストラリアとニュージーランドの大学は、イギリスに準じたシステムを採用しており、一般教養課程がなく3年間での卒業が一般的です。学費は大学により異なりますが、外国人学生の学費は高めに設定されているため、アメリカの大学に対する学費の面での優位性はあまり大きくありません。中国、香港、韓国、シンガポール、マレーシア、台湾、日本などアジア各国の大学でも英語で学べるプログラムが作られています。
アメリカの大学との比較
世界に目を向けると学費の面で魅力的な大学が数多くありますが、それだけでアメリカの大学には進学する価値がないと決めつけることはできません。高校生のうちから将来の進路が決まっている学生は決して多くはありません。高校時代から明確な目標を持っている学生でも、大学進学後にもっと興味のある分野が見つかることもあります。そのような学生にとって、専攻を決めずアプライでき、進学後も自由に専攻が変えられるアメリカの大学制度はとてもありがたいものです。
自分にぴったり合う専攻が大学にない場合は、自分のために新たに専攻を作ってくれるサービスも、アメリカの大学では広く行われています。このようなフレキシブルな教育システムを持つ大学は、世界中探しても、アメリカ以外にはありません。なるべく少ない学費で学位取得を目指すのは良い方法ですが、大学は学位取得だけの場所ではありません。自分の将来の目標をしっかり持ち、その目標に近づくのにベストな進学方法を考えることが大切です。
(2016年2月16日号掲載)