誰にでもいつか訪れる人生の終焉。身内にもしものことがあった時に混乱しないようアメリカで人が亡くなった場合の手続きや葬儀の手順などを紹介します。また、葬式に参列する側のマナーも併せて押さえておきましょう。
※このページは「ライトハウス 2024年春夏の増刊号」掲載の情報を基に作成しています。
アメリカでは亡くなった場所により手続きが異なる
アメリカでは、人が亡くなってから葬儀を行うまでの流れは、州やカウンティーによって異なります。
①病院で亡くなった場合
担当の医師、看護士からの死亡宣告があります。その後、遺体引き取りの書類に遺族がサインをして、葬儀社に遺体を引き取ってもらいます。
②自宅で亡くなった場合
ホスピスケアを受けていた場合は、担当の医師、看護士に連絡し、来宅した医師、看護士から死亡確認後に死亡宣告があります。その後、葬儀社に連絡し、遺体を引き取ってもらいます。それ以外の場合は、地元警察を呼び、来宅した警察から死亡宣告を受ける必要があります。そして、その後に葬儀社に連絡します。
なお、自宅やその他の場所で警察が不自然な死と判断した場合は、検死局が関与してきます。その場合は、遺体は検死に送られるため、すぐに引き取れないこともあります。
日頃から、これらのことを頭に入れて準備しておくのは難しいので、突然の不幸に遭遇した場合、まずは葬儀社に問い合わせ、指示を仰ぐと良いでしょう。
また、いずれ自分に死が訪れた時のことを考え、残された家族に負担をかけないように、心身共に健全な時に、自身の最期をどうするかの意思を残し、生前契約を購入しておくと安心です。
葬儀の段取りを決め執り行う
アメリカの葬儀は、遺族と葬儀社、僧侶・牧師の3者で葬儀日時、葬儀場所、葬儀内容を取り決めます。日本と異なり、アメリカでは、遠方に住む家族や親族の都合で、すぐに行われないことが多いです。
葬儀には、新聞等で事前に告知する一般葬と、家族・友人等のみが参列する家族葬があります。また、遺体での葬儀と遺骨での葬儀があります。葬儀の流れは、①ビューイング(家族、友人によるお別れ)、②葬儀、③埋葬式・納骨式の順番となります。
アメリカでの葬儀では、喪主、遺族が喪服でなく、地味なスーツやドレスを着用していることが多いです。通常、遺族をはじめ、棺側、受付、案内等は喪章を付けます。
弔問客から花や香典をもらった場合のお礼は、葬儀後1カ月以内に礼状や香典返しを送るのがマナーです。礼状には、切手やギフトカード等を同封するのが一般的です。
アメリカで葬式に参列する場合のマナーや注意点
親しい知人が亡くなった時、大事なのは追憶の思いを心から伝えることです。アメリカ人の友人が亡くなった場合には、既成のSympathy Cardで気持ちを伝えるのも良いでしょう。カードには、英語でメッセージが書かれています。
日系社会の葬儀では、宗教や宗派にかかわらず香典を用意する慣習があります。ただし、必ずしも日本のような香典袋を用意する必要はなく、Sympathy Cardに現金やチェックを入れて渡す人が多いです。
葬式に参列する際の服装は、日本のように黒でなければいけないという決まりはなく、派手でなくダークカラーであれば良しとされています。
監修/Kubota Mortuary(www.kubotamortuary.com)
アメリカでの葬式に関連する英語
葬式に招かれた時に遺族に対して
-I’m sorry.
-My sympathy to you.
-It was good to know John.
(故人の名前を入れる。これは故人を知っている時に使用)
-My sympathy to your mother.
(またはfatherなど、故人との間柄を書く)
葬式を出した時にゲストに対して
-Thank you for coming.
–John talked about you often.
(故人の名前を入れる。ゲストが故人と親しかった時に)
-I didn’t realize so many people cared.
-Come see me when you can.
礼状の書き方
※特別な心遣いをしてくれた人に対しての礼状は、簡潔で構いません。
・お花を贈ってくれた人に
-Thank you for the beautiful flowers.
-The arrangement was lovely.
・食べ物を持ってきてくれた人に
-The food you sent was so enjoyed by our family.
-Your kindness is deeply appreciated.
アメリカでの葬儀に必要なこと(チェックリスト)
□警察(911)に連絡する(病院以外で亡くなった場合)
□親族や親しい友人に連絡する
□葬儀社に連絡する
□誰が葬儀費用を負担するのか決める
-遺産執行人が指定されている場合は、大抵葬儀も執行人が執り行いますが、遺族で分担する場合も多くあります
□死亡証明書に記載する情報を集める
-故人の両親の名前や死亡した日、生まれた場所など
□葬儀社で葬儀について相談する
-遺体と対面できるようにするのか、通夜をするのか、通夜の時間、葬儀の日時や場所、座席順、新聞等の死亡欄に出すのか、花の手配、弔辞を誰に頼むか、棺は誰が運ぶのか、墓地への移動にリムジンを頼むのか
□葬儀後のもてなしの手配
-レストランやケータリングの予約
□遠方からの弔問客の宿泊手配
□弔問客にお礼(礼状、香典返しなど)