いよいよ夏。肌の露出が多くなるこれからの季節、身体の線が気になってくる。車社会のLAは運動不足になりがち。おまけに高カロリーの食生活。さあ、ダイエットってどうすればいい? 今回は身体の外から内から、ヘルシーに効果的にスリムになれる、ダイエット大作戦を大特集!
脂肪を燃焼して筋肉をつける本格的なエクササイズから、日頃の姿勢に気をつけるだけで差がつくというウォーキングまで、自宅でできるレッスンつきでご紹介。
有酸素運動をしながら筋肉をビルトアップ「タイボー(Tae Bo)」
タイトな動きで下半身の悩みも解消
アメリカ人のビリー・ブランクス氏によって開発されたタイボーは、有酸素運動をしながら筋肉を整えるエクササイズ。その効果の高さにマジック・ジョンソンなどのプロアスリートやセレブリティーも実践しているという。トーランスにスタジオを構えるホンミー・リー(本郷弘美)先生は、タイボーの認定指導者だ。
「エアロビクスなど従来の有酸素運動を行うと心肺機能が高まりますが、これにキックやパンチといった動作を加えることにより筋肉を増強します。理想の身体になるための有酸素運動と筋力トレーニングを上手に組み合わせたのがこのタイボーです」とリーさん。クラスでは、テコンドー黒帯の実力を持つリーさんならではの動きも取り入れ、ダンベルやターゲットミットを使って指導することもあるそうだ。
「アメリカでは、女性はただ細いだけじゃなく、筋肉のついたメリハリのある身体がトレンディーとされています。パメラ・アンダーソンやブルック・シールズもタイボーをやっているんですよ」(リーさん)。
燃焼しようとしている脂肪が元に戻ってしまわないよう、72時間以内にエクササイズすることが理想的。最低でも週3回はクラスに参加してほしいとのこと。集中的に効率的に脂肪を燃やすことが大切。まずは体力がつき、その後どんどんシェイプアップされていく。「続けていれば、10~40パウンドはやせます」とリーさん。参加者の中には、9カ月で30パウンドやせた人もいる。もちろん、理想の身体というのは個人によって違うもの。それぞれの体型や悩みに合わせた動きを取り入れているが、日本人女性にとって悩みなのが下半身の肥満。無駄のないしなやかな身体を目指すタイボーは、下半身のシェイプアップに最適ということだ。
「効果があるだけにきつい運動。でも、確実にやせたいと思ったらタイボーはおすすめです」とリーさん。達成感も得られるので、考え方もポジティブに。テクニック習得の楽しさも生まれる。
動きのコツは、筋肉を意識して1つ1つタイトに力を入れること。下半身を引き締める動きを2つ教わった。
◉ フロント&バックキック
瞬間的に前にキックをする
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ターゲットがない時は足の裏でける
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キックしたら、足を地面につける前に大きく曲げて戻す
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上半身は前かがみにならない
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インパクトのあるキックをする時は、軸足のつま先を外側に向け、腰を入れて上半身を後ろに傾ける
ひざを開かず真後ろにけり、まっすぐ戻す
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足の裏全体でける
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上半身は前にかがめる
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背中は決してえびぞりにならないように
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反対の足も同様に行う
◉ バタフライ
基本は腰を落とした前傾姿勢
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ひざを落とすほど脂肪の燃焼率が高くなる
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両腕はこぶしを作り、胸の前で絞るようにしめる
前傾姿勢で軸足を同じ位置に残したまま、反対足を横に出す。はずみをつけたり、体重移動させたりしない
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足と同時に左右の腕を肩の位置まで上げる
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反対の足も同様に行う
3116 Pacific Coast Hwy., Torrance, CA 90505
☎ 310-325-3058
▶ Webサイト:www.leesfitness.com
腹式呼吸の全身運動で新陳代謝がアップ「カラテ(Karate)」
無理なく継続がコツ便秘にも効果
日本発の武道である空手も、今やアメリカで大人気。実はこの空手もダイエットに効果がある。極真空手で世界チャンピオンに輝き、これまで何万人にも指導を行ってきた八巻さんは、2年前に渡米し、カルバーシティーに八巻流空手道場を開設、このほどトーランスに移転する。25年の経験を持ち、一生が「空手道」との信条を持つ八巻さんの目指す空手は、もちろん上級を目指すものから、女性・子供にも親しみやすいものまで。実際、来る生徒の中にはダイエットを目的にした人も多く、たいていの人が成功しているそうだ。
「アメリカで教えていて感じるのは、生徒さんの体力があまりにもないことです。特に足腰が弱い」と八巻さん。「空手は全身を使う運動なので、ダイエットにも適しています。新陳代謝が活発になるので、自然に体重は落ちていきます」。
姿勢を正し、左右対称の動きをする空手は身体のバランスが良くなる。また、動作に合わせて腹式呼吸を行うので、腸内運動も活発になり、便秘も解消される。「1カ月も続ければ、ダイエット効果が出てくること間違いなし」とのこと。新陳代謝が良くなることで、冷え性も治るというおまけつきだ。
道場には週1回来る人もいれば、毎日通ってくる人もいるとのこと。「自分のペースで無理なく続けることが大切です。きつすぎると続きませんので、続けられるように行うことがコツです」と八巻さん。
また、新陳代謝がよくなると食事も美味しくなるから、たくさん食べてしまいそうだが、「特に食べ物も制限する必要はありません」と八巻さん。無理な食事制限はリバウンドのもとになってしまう。それよりも、バランスよく、身体に良いものをたくさんとることが大切と言う。八巻さん自身は玄米と低脂肪高たんぱく質の食事を、1日5食くらいとっているそう。細かく分けて食べることにより、胃に負担をかけず、消化吸収も良いという理由からだ。「現代人は食事が偏りすぎ。カロリーだけを摂取し、ビタミンやミネラルが不足しています。質の高いバランスの取れた食事を心がけてください」(八巻さん)。
車での移動がほとんどで、カロリーの高い食事をしている私たちの日常生活。お腹の気になる人が多いはず。八巻さんにお腹を引き締める動きを2つ教わった。
◉ 横げり
ひざを横に張り出して曲げ、つま先を伸ばす
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軸足でバランスを取る
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バランスが取れない人は、けり足と反対の手を壁につけて支える
わき腹の肉を引き締めるつもりで、足を一瞬で横に上げる
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できればかかとでける、もしくは足の裏全体でける
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最初は低くてかまわないので少しずつ高く上げる
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反対の足も同様に行う
◉ ひざげり
自分のお腹をけるようなつもりで片足を上げる
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腹式呼吸で口から息を吐きながら上げる
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足の筋力だけで上げるのではなく、足が地面を離れる時に軽くけって瞬発力をつける
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反対の足も同様に行う
3116 Pacific Coast Hwy., Torrance, CA 90505
☎ 310-804-9252
▶ Webサイト:www.yamakius.com
個人の要望に合わせた身体作りが自由自在「ウエイトトレーニング(Weight Training)」
新陳代謝が良くなりリバウンドもなし
「トレーニングや食事次第で自分の好きなように身体を作ることができるんですよ」と話すのは、パーソナルトレーナーのマーサさん。
22歳の時から日本でエアロビクスのインストラクターをしていたマーサさんは、渡米後、ウエイトトレーニングの大会を見てからその魅力にとりつかれ、5年で今の体形を作った。
マーサさんは現在、レドンドビーチのゴールドジムや個人宅で指導をしている。NCEP(National College of Exercise Professional)が認定するパーソナルトレーナーとしての資格を持つだけでなく、カリフォルニア州大会のボディービルディング部門で第2位に輝いた実績を持つだけに、自身の経験から得た実践的なアドバイスをしてくれる。
「日本からいらしたクライアントの方には、アメリカに来てから太ってしまった、帰国前にどうしても減量したい、スマートできれいな自分に戻りたい、といったケースが多いんです。皆さんの目標達成のお手伝いをすることが私の喜びです」とマーサさん。筋肉を落とさず、食事をしっかりとりながら余分な脂肪を落としていくのがボディービルディング。運動と食事のバランスが取れて初めて効果が出ると言う。
「食事は減らせばよいというのではなく、何を食べるか、そしてどう食べるかが重要です」(マーサさん)。単なる摂取カロリーの問題ではなく、1日1食というのが1番太りやすいとのこと。1日3食よりも5食にする、太りやすい食べ物は避けるなど、スーパーに一緒に行ってその人に合わせた食事指導をすることもあるそうだ。
ボディービルディングは自由自在に身体作りができるので、「身体を引き締めたいけれど筋肉はつけたくない」という要望であれば、同じウエイトでトレーニングを続ければよいし、筋肉をつけたければそれ以上の重さに挑戦していけばよい。プロとはトレーニングの内容が異なるから、「誰もがムキムキになってしまうわけではありません」とのこと。
個人差や希望にもよるが、1時間ずつ週3回行うのが効果的。また、脂肪よりも筋肉の方が重い。体重の変化を見るよりも、わき腹をつまんで脂肪の厚さを確認したり、鏡を見て体型の変化を見たりする方が大切だそうだ。
「ウエイトトレーニングをすると、脂肪が落ちるだけでなく筋肉と筋力がつきますので、新陳代謝が良くなり、リバウンドがありません」(マーサさん)と、うれしい言葉。免疫力もついて、身体の調子が良くなり、肩こりなども解消されるとのこと。基本的な腹筋のコツと、ヒップアップのエクササイズを教わった。
腹筋 & ヒップアップ
◉ 腹筋
【○良い例】
あごの下にりんご1個入るくらいあける
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お腹の筋肉をぐっと締めて曲げる
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お腹の筋肉を”ゴム”だととらえ、伸ばしたり縮めたりする感覚で
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おへそを骨盤に押し込むように
【×悪い例】
頭を頭の後ろに置いた手で押さない
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はずみをつけて大きく曲げようとしない
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上体を下ろす時に地面に頭をつけてリラックスしない
◉ ヒップアップ
足を前後に大きく開く
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上体はまっすぐに起こし、垂直に下ろす
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ゆっくり下ろした方が効果的
前足側のヒップの後ろの筋肉を意識して
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前足のかかとに重心をかけ、かかとで押し上げるように上体を上げる
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前後の足を変えて同様に行う
美しい筋肉がつき歩くのが楽しくなる「ウォーキング(Walking)」
バストとヒップアップ同時に小顔にも
今、日本で注目されているウォーキング。ストレスや運動不足、疲れ気味のビジネスマンにも姿勢の良い歩き方を学ぶ人が増えているそうだ。日本でウォーキングを教えているポスチュアスタイリストのKIMIKOさんは、「ウォーキングでやせる、というよりもボディーラインが自由自在になると言った方がいいでしょう」と言う。「太っているから嫌というのではなく、自分のいいところを見つけ、それに感謝することから始めてください」。自分が授かった身体をきちんと動かすことで美しい筋肉がつき、太っていればやせる、やせていればきちんと筋肉がつく、というのがウォーキングのメカニズムのようだ。
KIMIKOさんのクラスの受講生は、歩く、立つといった日頃何気なく行っている基本動作を見直すことにより、「こんなに自分の身体のことを考えたことはなかった」「歩くのが楽しい」といった意識革命が起こるそうだ。KIMIKOさんのキャッチフレーズは「人生は姿勢でキマル」。新刊『KIMIKOのハッピーウォーキング』(主婦の友社)を始め、これまで3冊の著書を出している。
やせたいとしたら、やせた後にどうしたいかを思い描くことが大切とのこと。「ボディーコントロールができたらマインドもコントロールできるようになるんです。やせると彼ができる、希望の仕事に就ける、やりたかった趣味ができるなど、歩くことでその人の持っていた才能を開花させることができます」とKIMIKOさんは話す。
また、「ダイエットはしなくちゃいけない、辛いものというイメージがあります。でも、歩くのは楽しいもの。楽しく幸せで夢がかなったと想定しながら歩くといいですよ」とも。だから、万歩計はだめ。体重計も見ない。数字に縛られてしまうからだ。それよりも、美しい自分、自分の夢に向かって歩くことが効果をもたらす。
家の中でもわざわざ歩くように。コツは、「私は宝塚女優よ」「私はモデルよ」と思いながら、歩き方を常に意識する”なりきりウォーキング”。姿勢がいいと、背筋、太もも、ふくらはぎが引き締まるだけでなく、胸を張るのでバストアップになり、ヒップが小さくなると同時に小顔になる、といいことづくめ。おまけに、内臓にもいいから消化機能も上がる。
「美しさの基準を他人に置かず、自分の持っているものを磨くこと。そして、健康であること、楽しいこと、この3つのバランスを取ってください」とKIMIKOさんはアドバイス。正しい歩き方をするには、もともとある自分の歩き癖に気づき、それを取ること。基本的な立ち方と歩き方を教わった。
◉ ウォーキング
まず深呼吸をしてリラックス
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まっすぐに立つ
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首を伸ばして背骨の上に頭をのせる
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視線は目線の延長に
前足を出す
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重心は後ろにのせたまま、足を軽く前に出す
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後ろ足に体重を残すことを意識してゆっくり
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後ろ足の裏で地面をける
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身体の後ろ側の筋肉を使って、前に出した足に重心を移す
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ヒップを引き締めながら地面をけりきる
腕は後ろ側に大きくふる。腕のつけ根を後ろに引くように
温室で汗をかいて効果倍増「ホットヨガ(Hot Yoga)」
40℃の室温でじっくりストレッチ
日本でも「ホットヨガ」として人気を集めているのが、サウナのような温室で行うビクラムヨガ。04年5月にオープンしたレドンドビーチのスタジオ、ホットヨガセンターでクラスに参加してみた。
訪れたのは休日の朝9時のクラス。オーナーでインストラクターのロベルト・ボルゴノーボさんからタオルとマットを渡される。「水はそれだけ? これくらい飲みますよ」と大きなボトルをすすめてくれた。Tシャツとスパッツに着替え、スタジオのドアを開けると熱気がムン。室温は40℃。すでに30人近くが集まっている。
ヘッドマイクをつけたロベルトさんが登場。クラス開始だ。最初は呼吸法と軽いストレッチで準備運動。これだけですでに汗。続いて、立った姿勢でさまざまなポーズを取ってみる。同じ動きを2回繰り返し行い、2回目はより深くじっくり行う。片足で立ってバランスを取るなど、全体的に激しい動きではないが、呼吸を整え集中力が必要とされる。今度はマットの上でのポーズだ。うつ伏せから上体を上げたり、足を組んでねじったり。汗かきではないのだが、汗が滝のように流れていく。呼吸法を最後に行い、90分のクラス終了。全身汗だくで、お風呂あがりのようだ。ロッカールームに戻ってシャワーを浴びてスッキリした。
汗と一緒に毒素も排出
腰痛も冷え性も解消
ビクラムヨガはカルカッタ生まれのビクラム・チョドリーさんが生み出したもの。その効果をロベルトさんに聞いた。「ビクラムには26種類のポーズと2つの呼吸法があり、これを順番に行っていきます。温室の効果は2つ。身体を温めて柔らかくすることと、発汗により身体の毒素を排出することです」。普段運動していないわりには、よく足が上がったなと思ったが、それもサウナ効果に違いない。
もちろんダイエットにも良く、余計な体重を落とし、筋肉をつける効果がある。3、4カ月で15~17パウンドやせる人もいるそう。スタミナもつくし、集中力もつくとのこと。マッサージ効果があるので、腰痛や肩こり、ひざの痛みが良くなるし、血圧が下がる、冷え性が治るなどの効果もあるそう。
クラスはビギナーも上級者も一緒なので、自分のペースに合わせてやること。上手にやろうと思うより、自分自身の身体の状態に合わせて。できれば週3日は通ってほしいとのこと。最初の7日間は何回通っても20ドルという特別価格で参加できる。
1820 S. Pacific Coast Hwy., Redondo Beach, CA 90277
☎ 310-540-2023
▶ Webサイト:http://yoganestvenice.com/
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2005年6月16日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。