Q. 帰国時期のタイミングを教えてください。
滞米2年、中学校2年生の子供がいます。3月末に帰国して新年度から編入するか、ミドルスクールを6月に卒業してから帰国・編入するか、迷っています。
A. 「3月帰国、中学3年4月から編入」をおすすめします。
高校入試準備
滞米が2年と短いので、受験準備をなるべく早く始める方が有利です。
①英語力の向上
少しでも長く現地校で英語を伸ばして、という気持ちはわかります。英語力や英語での学力は急速に伸びつつある時期ですが、短期の滞米なので、その力だけで高校入試突破は期待できません。また、地方都市への帰国では、現地校での学習結果を重視してくれる帰国子女受け入れ校もありません。そのため、国内生向けの高校受験をする準備が必要です。
②日本語での学習
小学校高学年まで日本の学校で学び、日本語力や日本語での学力の基礎ができていると想定でき、また、渡米後の日本語力の低下も小さいと思われます。中学生レベルでの学習内容で未習事項があれば、それらを取り戻すのに時間が必要です。さらに、中学3年生の学習内容は高校入試の重要な出題範囲ですので、最初からしっかり学習することも必要です。
③4月編入
中学校3年生の4月からの編入は、高校入試受験のための学習だけではなく、中学校の教員による進路指導なども最初からしっかり受けることができます。最近は、日本全国の都道府県で、高校入試や高校教育に大きな変化が起きています。それらの最新情報を進路指導などで入手して、的確な学校選択が可能となります。
帰国後の適応
日本帰国後は、お子さんの生活適応に十分注意を払ってください。
①帰国適応
帰国直後は文化や生活環境が異なることで、ストレスを抱えます。お子さんの帰国後の日々の言動や変化に十分気を配り、日常生活や学校生活への適応に注意が必要です。
さらに、お子さんは帰国時に中学生で、友人関係・親子関係、さらには高校受験などの勉強の上でのプレッシャーが非常に大きく感じられる思春期の時期ですので、ご両親はさらなるケアを心がけてください。
日々、親子が会話の機会を持つことが重要です。アメリカ在住の時と大きく変わって、日本での生活では親子の会話・接触が極端に少なくなりますので、意識的な努力が必要です。
②渡米以前の居住区への帰国
昔お住まいになっていた地区への帰国と思われますので、生活環境・友達などに馴染みもあり、適応は比較的楽になるかと思います。しかし、この滞米中にお子さんは大きく成長し、変化しています。「逆カルチャーショック」と言われる、「昔住んでいた場所へ戻ったからこそ感じるストレス」があることもご理解ください。
③お母さんが注意!
これまでのカウンセリング事例から「子供の帰国適応の成否は、お母さんの態度で決まる」と言えます。母親自身はよく知っている「ふるさと」でも、子供にとっては「外国」となっている可能性があります。お母さんの「何でわからないの?」という子供への言葉は禁句です。お母さん自身が子供の不適応の原因とならないように注意が必要です。
ミドルスクールの卒業?
6月のミドルスクールの「卒業(8年生修了)」は、アメリカでの学校・学年の区切りです。日本のように学歴上の「卒業資格」を取得するものではないので、帰国後の高校受験などにあたっての受験資格などには影響しません。
帰国後:英語を伸ばす!
①「英語での読書」が鍵
日本帰国後の学校での英語の勉強は、現地校での学習とまったく違います。学校での勉強と並行して、英語の読書を通じて、滞米中に身に付けた英語力を伸ばすことを強くすすめます。
②大学受験のために
「英語での読書力」を伸ばしておくことは、大学受験の合否を決定するといっても過言ではありません。高校入試の直前での帰国で、希望する高校に入れなかったとしても、最終目標は「大学進学」です。そのために、高校での勉強だけではなく、せっかく2年間体験したネイティブとしての英語の勉強を自力で続けることが、成功の鍵です。
(2008年2月1日号掲載)