トーランスに生まれ、スカウトを機に日本で俳優デビュー。『獣拳戦隊ゲキレンジャー』で、ヒゲ面のヒーローという異色の役柄でブレイクした。TVドラマ『シバトラ』にも出演するなど学業と芸能活動に多忙な中、里帰りした聡太郎さんに聞いた。
一介の帰国子女から
ヒゲ面の戦隊ヒーローに
日本人の両親の下にトーランスで生まれ、普通に現地校の学生をしていました。ちゃんと週に1回、あさひ学園にも通ってましたよ。ずっと日本で生活してみたくて、高校卒業後は慶應大学を受験しました。元々、洋服を作るのに興味があって、日本では服飾デザインもやってみたかったんです。
高校を出るまでは本当に普通の学生で、芸能活動なんて全然していませんでした。ただ、14歳の時に兄が僕を『JUNON』のスーパーボーイ・コンテストにエントリーしてしまって、その大会の時には日本へ行きました。そうしたら思いがけず特別賞を受賞してビックリ。
大学の授業が始まるまで時間があったので、実家のあるアメリカに戻ることにしました。その途中空港で、現在所属する事務所の人と出会い、スカウトを受けました。昔から知っているギタリストがいて、その方と一緒にいたのがその事務所の人だったんです。アメリカに着いたら、1度皆でご飯でも食べに行こうということになり、また日本に帰ってからもお誘いの電話をいただきました。その時は事務所の社長さんも同席していて、僕を気に入っていただいたようで、あっという間に事務所入りが決まりました。
深夜ドラマ『エリートヤンキー三郎』で俳優デビューしましたが、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』出演のきっかけは、その撮影中にオーディションがあるという話を聞いたこと。事務所に入った当時から、「何がやりたい?」と聞かれた時に、戦隊モノがやりたいと言っていたんです。それもあって、オーディションに参加しました。
ただ、その時、深夜ドラマでの僕の役柄が、金髪にヒゲ面の不良役。撮影中なので髪やヒゲは変えられないから、そのままオーディションに行きました。金髪にヒゲ面、ロン毛の人なんて、僕のほかに1人か2人。オーディション会場に入って失笑でしたね。しかし、結局、逆にそれを気に入っていただけたようで受かりました。そして、戦隊史上初のヒゲのヒーローになりました。それからずっとヒゲとロン毛が僕のトレードマークです。
オダギリジョーのような
個性派俳優になりたい
ゲキレンジャーは拳法がメインモチーフだったので、それまでの戦隊シリーズと比べて生身のアクションも多かったみたいですね。僕は空手をやっていて、役柄(久津ケン)も空手を得意にしていたので、その点は結構プラスになりました。
撮影では、ベテランの俳優の方、声優さんも大御所の方がいらっしゃったので、本当にたくさん演技指導をしていただいて、勉強になりました。僕はオンエアを見て、「ここはもっとこうすれば良かった」と反省するタイプ。どんな表情をしたか、どんな演技をしたかというのを、しっかり覚えておきたいんです。撮影の時は、自分では最高の演技をしたと思っても、後から振り返ってみると、「もっと面白くできた」などと考えてしまいますね。
ゲキレンジャーは1年番組だったのですが、僕の役はシーズン途中から加わりました。でも、撮影前に準備期間、アクション練習があり、番組が終わった後も、全国ツアーやライブツアーがありましたから、それを全部含めると関わった期間は1年以上になりますね。撮影は毎日だったので、大学の授業との両立が大変でした。特に印象に残っているのはライブツアー。緊張しましたが、目の前で子供たちが一生懸命応援してくれて、それが最高でしたね。
昨年半ばでゲキレンジャーはライブショーも終了して、それからは『シバトラ』というフジテレビのドラマに出演させていただきました。今は、撮影で遅れを取った大学を早く卒業すること、そして、卒業後は俳優一本で行くつもりです。舞台も面白かったですが、最終的には映画をメインにやりたい。真田広之さんや渡辺謙さんのように、いずれは映画俳優としてハリウッドへ行きたいですね。
目指すのは、演技ができる個性派俳優。オダギリジョーさんのように、コメディーでもシリアスな役でもこなせるようになりたい。ヒーローをやっていたので、悪役や狂ったような役もやってみたいですね。今までの動きで表現するような役から、佇まいだけで何か表現できるような役に挑戦してみたいです。
俳優 聡太郎
イコンテストで審査員特別賞受賞。アーバインのユニバーシティー・ハイスクール卒業後、渡日。オーディションで『獣拳戦隊ゲキレンジャー』に出演、戦隊シリーズ初となるヒゲのヒーローとして活躍した。映画『Into The Sun』(2005)ドラマ『シバトラ』などにも出演。現在、慶應義塾大学経済学部在籍。
公式ウェブサイト→www.umarts.net/sotaro/
(2009年4月1日号掲載)