中国料理の種類とその店の見分け方について、前回は山東、広東と、とんとん拍子に話は進んだのだが、まだまだほかにも沢山ある。
上海の料理は、強いて僕にいわせれば(誰にも強いられたわけではないが)、中国料理の中で日本人にとっていちばん親しみやすいかもしれない。
そもそも上海人や上海語というのは、北京などにくらべて日本人、日本語に近い。かれらも日本人に親近感を持っている(ような気がする)。
上海系の店に入ると、ウェイトレスの感じがいいので、それとわかることさえあるのだ。
料理は、醤油や砂糖などでしっかり味つけしたものが多く、白いゴハンによくあう。
とはいうものの、ほんとうは上海は米ではなく小麦粉文化圏だ。葱油餅(ネギ入り薄焼きパン)、銀絲巻(ひねったパン)などといっしょにオカズを食べるのが、本来の習慣だ。
なにが日本人にあうといって、いちばんはそのスープ麺たち。
エビソバ、トリソバ、ウナギソバなど、コクがあるスープにコシのある麺、ときにはまさに日本のウドンのような麺。
それに小籠包。これは思いっきり上海の食べもので、上海では毎日食べる人もいるくらいだ。
だからメニューに小籠包があれば上海の店とわかる。
外からの見分け方は、「江」という字が屋号や店の説明にあったり、どこかに「滬」の字が使われていたらまず間違いない。上海中心を流れる黄浦江のことだ。
英語でShanghaiなんとかという店名だったとしても、必ずしも上海系とは限らない。アメリカナイズされた店では、よくPekingやHong Kongと同様、店名に中国の有名な地名を使うからだ。
次に清真料理といこう。イスラム教徒のための店だ。
北京は、イスラム文化の西域や、羊肉文化の蒙古の影響を強く受けているので、このタイプの店が沢山ある。それがアメリカにも流れてきている。
「清真」の意味するところは、ひとことでいえば「豚を食べない」ということだ。
僕はもともと清くマコトな人なので豚は食べるのだが、この店では豚の料理は一切食べられない。イスラム教徒は、ふつうの店でも豚の料理を注文しなければいいじゃないか、と思うかもしれないが、鍋や皿などに豚肉や脂が触れたというだけでダメなので、専門の店があるわけだ。
メニューに豚を探してみつからなければ清真系の店にちがいないが、屋号か看板のどこかに「清真」またはIslamicの字が多分あるはずだ。
ここも思いっきり小麦粉文化圏で、餅(ピン)類を主食にして味の濃いオカズを食べると、イスラム教徒でなくてもかなり楽しめる店だ。
涮羊肉という、蒙古発、北京で大人気の羊肉シャブシャブがその代表的な料理なのだが、カリフォルニアやハワイでは暖か過ぎるのか、清真料理の店はあっても残念ながらこの料理を食べさせてくれる店がない(以前はあった)。
食べたいです!
でもスープ麺があり、上海や広東にくらべてかなり味の濃く、とびきり辛い羊肉麺など、けっこうヤミツキになる食べものもある。
みなさんもここで羊を食べて清くマコトになってみませんか?
LAではココ!
「味」は30点満点、「予算」は二人分です
Lake Spring (錢塘春)
モンテレーパークには本格的な上海料理店はいくつもあるが、ここもそのひとつ。広東料理の店とはちがうものをトライしていただきたい。もちろん、上海名物小籠包も。
味:21 予算:$30
219 E. Garvey Ave., Monterey Park
☎626-280-3571
Mon-Fri 11:00am-9:30pm
Sat & Sun 11:00am-10:00pm Open 7 Days
China Islamic( 清真馬家館)
LAの清真料理店の元祖のような店。おそらく20年以上は営業中。一般のアメリカ人などにはあまりポピュラーではない清真料理店は長続きしない店が多いが、この店の本格的な料理は固定客をつかんでいるのだろう。
味:20 予算:$30
7727 E. Garvey Ave., Rosemead
☎626-288-4246
www.chinaislamic.com
Lunch: Daily 11:00am-3:00pm
Dinner : Daily 5:00pm-9:30pm Open 7 Days
(2010年3月1日号掲載)
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