(2022年9月16日号掲載)
マイティ・ソーが当たり役の肉体美俳優
クリス・ヘムズワースの身長は6フィート3インチ、彼の代表的役となったマイティ・ソーは北欧の伝説の英雄「雷神」で、6フィート6インチの巨人だそう。このサイズに近付くため髪を盛り上げ、上げ底の靴を履き、あのムキムキの腕の筋肉も特製バンドで血行を止めてエクササイズして作り上げるそうな。スペイン人の妻で女優のエルサ・パタキーも一緒に、肉体改造に励む光景が目に浮かぶではありませんか!このブロンドの髪を振り回し、巨大な槌を振り上げて悪漢を退治する雷神役で、クリスは2014年の『People』誌の〝最もセクシーなスター”に晴れて選ばれたのである。
初めて会ったのは最初の『Thor』(2011)のインタビューで、クリスが28歳の時だ。半分照れくさそうに、半分誇らしげに、額にかかる髪をしきりに追い払いながら、「役を獲る時はオーディションなどで(同じく俳優の)兄や弟と争うけれど、結果が出たらそれでおしまい。すぐにふざけてばかりの仲の良い兄弟に戻って何のしこりも残らないね。同じことがオーストラリア人の俳優たちにも言える。僕らの一人が役をもらっただけで喜び合うんだ。そういう友情とチーム精神を持っているのが、オーストラリア人の良いところなのさ」と、さばさばと言うのであった。
メルボルンで3人兄弟の真ん中として生まれた後、一家は浜辺のペンギンパレードで知られるフィリップ島に移住。私が大昔、新婚旅行で行ったことがあると言ったら、「ペンギンってかわいいけれどすごく繊細で、住民たち全員がペンギンたちの安全と健康を守っているのだよ」とうれしそうだった。
最新作の『Thor: Loveand Thunder』(2022)については、「(3作目に引き続き)ニュージーランド生まれのタイカ・ワイティティが監督を手がけ、全体により人間的で、ユーモアのあるトーンになった。1作目のケネス・ブラナー監督のオハコであるシェークスピア劇と比べてペースが緩まりセリフも現代的になって、現場の雰囲気がリフレッシュされたね。でも、最初にケネスが監督だったからこそ、舞台の基礎をみっちり学ぶことができたし、すごく感謝している。今後は俳優として、メンタル面のタフネスを備え、喜劇にも積極的に取り組みたい」と、3児のパパは勇ましく語るのであった。
|