ジュリア・ロバーツ / Julia Roberts

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(2022年10月16日号掲載)

ウォーターゲート事件が題材のドラマで熱演

ジュリア・ロバーツと成田陽子さん

巨大ワット数のビッグスマイル、みんなのスウィートハートで一世を風靡したジュリア・ロバーツも2022年10月28日で55歳。あの『Pretty Woman』(1990)も、もう32年も前なのである。
 
初めてジュリアが注目された『Mytic Pizza』(1988)の主役は実はメグ・ライアンが演じるはずだったのだが、メグは『When Harry Met Sally…(恋人たちの予感)』(1989)を選び、結果としてお互いそれぞれの映画でスター街道に躍り出た。ハリウッドの十字路の運命は実に劇的ではないですか。その後2人は”ロマコメの女王”となり、私生活でも色恋のスキャンダルを起こした歴史も、今となっては懐かしいばかり。
 
初対面は『Steel Magnolias』(1989)の時。共演のシャーリー・マクレーン、サリー・フィールド、ドリー・パートンら風雪を経た大女優に囲まれ、捨て猫のように縮こまって震えていた。バランスが悪いほどに大きな口と、とてつもなく細く長い手足が印象に残っている。どうして女優になったのかという質問にこう答えてくれた。

ジュリア・ロバーツとショーン・ペン

世紀のスキャンダル、「ウォーターゲート事件」を題材にした『Gaslit』。ショーン・ペンはニクソン政権下で司法長官を務めたジョン・ミッチェルを、ジュリアは妻マーサ・ミッチェルを演じている。

「小さい頃は女優になるつもりは全然なかった。最初の願いは6フィートののっぽになることで、次は獣医。両親が演劇学校を手がけていたとはいえ、私が4歳の時に資金繰りでもめて離婚したので、親から演技を学んだという感じではなかったし。でも高校生の時『Becket』(1964)のピーター・オトゥールを見て感動して、ああいう演技をしたいなと思ったの」。
 
そして今、テレビドラマの『Gaslit』(2022)ではウォーターゲート事件を引き起こした政治家の妻を熱演。
 
「夫役のショーン・ペンがメークを済ませて出てきた時、あまりの変身ぶりにエキサイトした私は彼に抱きついて、お互い太めの体型にするために体に付けたラバーにバウンスしてひっくり返りそうになったのよ。政治ドラマでもあるけれど、この夫婦のユニークな愛情関係を見てほしい。この夫がニクソンを守ったために結婚が破壊されていく。歴史であまり知られていない人々がスキャンダルの渦に巻き込まれていく悲劇や、その日常を覗くのも興味深いはず」。
 
現在(2022年10月4日)、ジョージ・クルーニーと共演の『Ticket to Paradise』も公開中。久しぶりのロマコメである。

成田陽子

成田陽子
なりた・ようこ◎ゴールデングローブ賞を選ぶハリウッド外国人記者協会に属して30年余の老メンバー。東京生まれ、成蹊大学政経学部卒業。80年代から映画取材を始め、現在はインタビュー、セット訪問などマイペースで励行中。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版 2022年10月16日」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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