このコラムは300回を数えたが、ほぼ時を同じくしてLA界隈で僕の食べ歩いたレストランが4000軒を超えた。
それって自慢してるんじゃないの、といわれるかもしれないが、じつは自慢なのです。
このコラムはLAだけではなく、ハワイ、サンディエゴ、シアトルでも読んでいただいていて、それらの地域の方もLAを訪れることがあるだろうし、今回はLAのレストランたちがいかにすばらしいかという自慢ばなしなのです。
でも、LAより、ニューヨークやサンフランシスコのほうがおいしい店があるんじゃない?…と思っている日本人が多いような気がする。
ちょっと古いが、『Travel & Leisure』誌2010年5月号にこう書いてある。
「西海岸は(アメリカの)他の都市に比べ1~3時間(時差が)遅れてるかもしれないが、食に関しては常に先を行っている。(中略)無数の移民が自分の国のオーセンティックな料理を提供するLAは、その意味で最もアメリカ的な街であり、そしていまやアメリカ中で最高の食の街である」
その通りです!
僕がLAに来た40年まえはそうではなかったが、いまは文句なくアメリカのベスト、世界でも指折りの街だ。
NY(マンハッタン)にも住んで250軒食べ歩いたが、全体のレベルはLAのほうが上であることは自信をもっていえる。
たとえばイタリアン。NYのイタリアンレストランは密度こそLAより圧倒的に多いが、イタリアで食べるレベルの店には遭遇したことはない。
LAのイタリアンもハズレは多いが、アタリのときのレベルはNYで僕が食べたどの店より上だ。
それはNYが伝統的なNYスタイルの割合が多いのに比べ、LAは現代のスタイル、イタリアから来た新進気鋭のシェフによる店が多いということなのだろうと思う。
チャイニーズに至っては、比較にならない。
NYやSFのチャイナタウンも、LAのモンテレーパークからローランドハイツにいたる100平方マイルにも及ぶ中国人居住区にある無数の店の数とははなしがちがう。上海、広東、山東、台湾、四川、湖南、潮州、福建、雲南、温州、新疆、清真などの系統が明確に分れているところも、その多くがゴッチャになっていてさらにアメリカナイズしているNYやSFとはちがう。
1980年代から世界に発信されてカリフォルニア料理ともよばれた、日本の食材や手法を取り入れた新しいスタイルの料理も、日本に近く日本人や日系人の多いLAならではのことであった。
LAにはさらに目がくらむほど巨大なコリアタウンやリトルサイゴン、そしてリトルインディアやリトルエチオピア、さらにはタイ、カンボジア、アラブ、イラン、ロシア、フランス、ドイツ、メキシコからブラジルに至る中南米の国それぞれの移民コミュニティーなどなど、枚挙にいとまがない。
他の街にもそういったコミュニティーはあるが、種類や規模が遥かに小さい。
そうそう、LAにはわれらがリトルトーキョーもありますね。ちょっと最近日本ぽくなくなってきたけど。
でもそのかわり、トーランスやオレンジカウンティなどに広く分散されたホンモノ日本食レストランも、LAが誇れるもののひとつです。
LAではココ!「予算」は2人分です
Bier Beisl
最近できた、珍しいオーストリア料理の店。ここのソーセージ会席は、僕が何度も行ったオーストリアやドイツでも食べた経験のない、洗練された味だ。オーストリアのビールとのペアリングもなんともおしゃれで楽しい。
予算:$100
9669 S. Santa Monica Blvd., Beverly Hills
☎310-271-7274
www.bierbeisl-la.com
Mon, Tue, Thu, Fri, Sat 12:00pm-12:00am
Sun 5:30pm-10:30pm
Closed on Wednesdays
Yunchuan Garden (雲南過橋園)
この数年LAにも増えてきたが、まだ珍しい雲南地方の料理専門店。雲南は四川に近く辛い料理が多いところは似てるが、微妙な違いや過橋米線など特有の料理をだすところなど、そのオーセンティックさには脱帽する。
予算:$30
301 N. Garfield Ave. #D, Monterey Park
☎626-571-8387
(2103年7月16日掲載)
LAレストラン・シーン
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