いまオーストラリアに来ている。
この国を代表する食べものというとVegemite だ。
エイをアイと発音するオーストラリアのこと、Vegemate と綴ることもあるようだが、朝食のトーストに塗るスプレッドだ。原料はイースト菌。
これがなんともはやヘンなものなのだ。
色は不気味な真っ黒。ひどく塩辛く、苦い。そして、薬くさい。
ぼくは好き嫌いがなく、世界中を旅してもマズイと思うものに巡り合ったことはほとんどないのだが、これはそのひとつだ。
オーストラリア人に聞くと、これが朝食のトーストには絶対不可欠だそうだ。海外旅行にも持って行くという。
もしこれなしで旅行したら、これのために早く帰りたくなるという。もっとも、若いオーストラリア人にも聞いてみたら、「嫌いだ!」と言っていた。
食文化も世代とともに変化しているのかもしれない。
アメリカのスプレッドといえば、ピーナッツバター。おいしいし、ピーナッツはとても健康によろしいとされている。ピーナッツアレルギーのひとにはとんでもないだろうが、アメリカ人にとって、ピーナッツバターとストロベリージャムを両方塗ったトーストまたはサンドイッチは、子供がみんな大好きなランチだ。
僕もじつはときどきやる。手軽だし、おいしい。
ところが先述のオーストラリア人たちは、「アメリカ人って、ピーナッツバターとジャムを両方塗るんだってね!?信じられない!」
と一様に言っていた。一見似たような文化の両国だが、こういう違いを発見すると面白い。
ジャム(英語ではジェリーともいう)は、もちろん世界中で愛されていて、いろんな果物のジャムがあるが、そのなかで、結局ストロベリーの右に出るものはいないと思うのは僕だけでしょうか。
僕がパンにつけて食べるのが好きなのは、レバーペーストだ。
子供のころはレバーが嫌いだったのに、なぜかこれは大好きで、いつもつけて食べていた。
それとブルーチーズ。
塗るというより、粉にしてまぶして食べる。パンがおい
しくなる。
ヌテラというチョコレートスプレッドがある。特にヨーロッパ人が好きなようだ。
ヨーロッパに行って、ホテルの朝食ルームでとなりのひとがこれを塗ってパンを食べ
てるのを見ると、「あ、塗ってら!」と思う。
日本にも似たようなものがあるようだが、ピュアなチョコレートの味というより、日
本のチョコパンの中身のような味で、パンとの相性がえら
くいい。
トーストには、意外と日本の佃煮なんかもおいしい。
こういう純日本的なものがパンやバターとよくマッチするのはふしぎにも思えるが、じつはパスタが醤油系などの日本的な味とよくあうのと似ていて、小麦粉は守備範囲が広い。
その点、ゴハンはどうだろう。
バターはOKだが、ピーナッツバターはあうとは思えない。ジャムもヌテラもいりません。
ベジマイトはどうなんだろう。
僕はトライする気がしないので、オーストラリア人に頼んでみます。
LAではココ!「予算」は2人分です
LAではベジマイトをメニューに載せている店は見つかりませんでしたが、朝食が食べられる店、特にホテルではたのめばあるところが多いはずです。今回紹介するのは、僕の行ったなかで、朝食のおいしい店です。
Tiara Cafe
ダウンタウン・ロサンゼルスでランチや週末のブランチが人気で、とて
もおいしい店です。トーストやブリオッシュにジャムや卵、いろいろな具
をのせたバージョンなどがあり、楽しめます。ピザもおいしい。
予算:$20〜60
127 E. 9th St., Los Angeles
☎213-623-3663
http://tiara-cafe-la.com
月〜金11:30am-3:00pm、土日10:00am-3:00pm
Stacks Pancake House
今回はずっと南に下ってミッションビエホとデーナポイント( 34255Pacific Coast Hwy., Dana Point ☎949-429-2222)で人気のカフェです。特に朝食のパンケーキやオムレツやトーストが評判で、ミッションビエホはパティオが気持ちのいい店です。
予算:$20
27680 Marguerite Pkwy., Mission Viejo
☎949-218-4600 http://stackspancakehouse.com
毎日6:30am-2:00pm
(2015年5月1日掲載)
これでトーストがうまくなる(かな?)
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