連邦機関が集まり・米国の歴史が眠る国家の中枢
ホワイトハウスや国会議事堂など、国家の重要機関が密集するワシントンDCは、どの州にも属さない特別区。正式名称は「Washington District of Columbia」という。
ワシントンDC(Washington, D.C.)の基本情報 | |
人口(2023) | 678,972人 |
面積 | 66,437.5mile2 |
人口密度 (2020) | 115.9 人/mile |
特別区長(2024) | Muriel Bowser(民主党) |
人種の割合 | 白人76.8% / 黒人4.6% / アジア系2.0% / ヒスパニック14.0% / ネイティブ・アメリカン2.0% |
1世帯当たりの平均収入 (2022) | $101,722 |
貧困家庭の割合 (2022) | 15.1% |
住宅平均価格 (2018-2022) | $705,000 |
平均家賃 (2018-2022) | $1,817 |
観光情報サイト | Washington Office of Tourism |
オフィシャルサイト | DC.gov |
(出典元:U.S. Census Bureau)
政府機関は一般公開。『ルーツ』のリサーチも
合衆国の首都として計画的に作られた都市で、東京・山の手線の内部とほぼ同じ面積。市の誕生は1791年だが、実際に首都がDCに移転したのは1800年12月1日。1974年までは連邦政府の管轄下にあり、市長は大統領に任命されていた。大統領選挙に参加するようになったのも1964年のことである。現在も下院議員はいるが、上院議員はいない。
DCは連邦政府の立法、行政、司法の機関だけを持ち、観光業以外の際立った産業はない。主な連邦機関にはホワイトハウス、連邦議会議事堂、印刷局、FBI本部、合衆国最高裁判所などがあり、いずれも一般に公開されている。国立公文書館には独立宣言、合衆国憲法、人権宣言などの貴重文書が所蔵されている。一般の人でもリサーチセンターで蔵書を活用することができ、奴隷として連れられてきた祖先、クンタ・キンテを通して黒人の歴史を書いた『ルーツ』のアレックス・ヘイリーも、ここで祖先の歴史をたどった。
世界最大の博物館複合体。スミソニアン博物館が林立
フロリダのディズニーワールドを抜き、家族旅行先のトップに君臨するDC(2001年実績)だが、その魅力は連邦機関だけではない。スミソニアン協会が運営する世界最大の博物館複合体17のうち、16がDCにある。
国家に貢献した人物の偉業を称えて造られた建物も多く、白い石柱の塔はワシントン記念塔。リフレクティング・プールを挟んで対面にあるのが、リンカーン記念館だ。壁には有名なゲティズバーグでの演説”that government of the people, by the people, for the people”が刻まれている。この記念館の階段の上にマーチン・ルーサー・キング牧師が立ち、「私には夢がある…」と演説したのは1963年のこと。リンカーン記念館の近くには、ベトナム戦没者慰霊碑があり、犠牲者6万人の名前が長さ151メートルの御影石の壁に刻まれている。