アメリカの大学へ進学希望。高いと言われますが、アメリカの学費・授業料はいくらくらい?
A. 大学により授業料に10倍の差。州立大学の今後の学費値上げに注意!
最近、アメリカの大学の学費についてのご質問が多くなってきました。「子供をアメリカの大学へ」という希望と、「アメリカの大学の学費は高い」という情報が、ご質問の背景になっています。
アメリカの代表的な総合大学100校の、大学に直接納入する授業料・諸経費の合計金額を下の表にまとめました。
2010-2011 Tuition & Fees
設置 | 学費(ドル) | 大学 | ||
州立大学 | 州民 in-state |
平均 | 8,973 | 47大学の平均 | 最低 | 4,373 | University of Florida | 最高 | 14,416 | Pennsylvania State University — University Park |
州外民 out-of-state |
平均 | 24,669 | 47大学の平均 | 最低 | 13,693 | State University of New York — Stony Brook | 最高 | 25,946 | University of Michigan — Ann Arbor |
私立大学 | 平均 | 35,879 | 53大学の平均 | |
最低 | 4,290 | Brigham Young University — Provo | ||
16,075 | Howard University | |||
最高 | 41,316 | Columbia University |
参考:「Best Colleges 2010」U.S. News & World Report
http://colleges.usnews.rankingsandreviews.com/best-colleges
参考資料の中の「National Universities」の上位100の大学のデータを使用
アメリカの州立大学は、州政府からの財政援助(税金)で運営されていますので、その州の住民(納税者)か否かで授業料・学費に差を付けています。「州外民」の欄の金額は、「州民」の金額に「州外民」としての追加授業料(non-resident-fee)を加えたものです。
大学によって学費の差は約10倍に
一番安い州立大学と一番高い私立大学の授業料の差は約10倍あります。また、州立、私立、それぞれの中での差を見ると、授業料に3倍もの開きがあります。
日本と異なり、アメリカの私立大学へは税金からの補助金はありません。すべての経費を授業料や寄付に頼る、独立採算での大学経営です。
一方、州税で運営されている州立大学では、連邦制で独立性の強い州の考え方や財政状況の違いが、授業料の差となって現れてきます。このような事情で、大学間の授業料の差が大きくなっていますので、大学選びの際に十分調査が必要です。
一般的な目安としては、「アメリカの州立大学の授業料は州民で1万ドル、州外民で1万5千ドル、私立大学の場合は3万5千ドル」と言えます。
大学のタイプでも異なる学費
ここでデータを示した「総合大学」とは、多くの学部と専攻があり、博士課程までを持ち、全米から学生が集まる4年制大学のことです。州によっては、総合大学以外に、修士課程までのプログラムしか持たない地域性の強い4年制大学も設置しています。そのタイプの大学の授業料は、この表で示した額よりも低いのが一般的となっています。
その例としてのカリフォルニア州立大学(CSU)の授業料は、州民で約4千ドル・州外民で約1万4千ドルです。
他の費用もお忘れなく!
授業料以外の費用、住居・食事・学用品・個人的費用などの見積り金額を、各大学は発表しています。最も大きな差は、寮、アパートなどの住居費で生じています。
大学、地域にもよりますが、年間で1万5千ドルが標準的な金額だと、理解してください。
アメリカの学費・授業料の値上げにも注意!
全米の州の財政状況が悪化しています。そのため、教育費、特に州立大学への財政援助が大幅に削減される傾向にあります。
カリフォルニア大学(UC)では、今後2年間で3割にもおよぶ授業料値上げが予定されており、2011年秋入学から年間授業料が1万ドルとなります。アメリカの州立大学の授業料の動きにご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇
州立、私立を問わず、大学による授業料の開きが10倍と大きいのが驚きです。私立大学の授業料の高さもはっきり出ています。一方、別の見方をすると「授業料の安い、お子さんに合ったレベルの高い大学」を探すことも可能です。
日本の大学の場合、国立大学で入学金30万円・年間授業料55万円ですが、私立大学では大学・学部(医学部を除く)で差はあるものの入学金30万円、年間授業料70万~100万円、諸経費等10万~40万が標準的な金額です。入学2年目からの学費は、国立で60万円、私立で100万~150万円が目安です。
「日本とアメリカ、どちらの大学へ進学?」も大変多い質問です。それを考える時、学費も大きな要素になります。ここで示したデータが、参考になれば幸いです。
(2010年3月16日号掲載)