確定申告作成の際に一番気になるのは、その年にお金が「返ってくる」か「支払う」かでしょう。なぜ毎年、確定申告で還付になったり納付になったりと違いが出てくるのでしょうか?
確定申告の結果、還付になるか納付になるかは、納税者にとって一大事です。しかし、源泉徴収や予定納税で事前に支払っているものが確定申告時に多いか少ないかで還付・納付が決まるので、最終的な金額はどちらでも変わりません。事前に多めに払って還付を受け取るか、少なく払って納付するか、それは源泉徴収額と予定納税である程度の調整が可能です。
源泉徴収
毎回の給与から引かれる源泉徴収が還付か納付かの違いを生む一つの要因として挙げられます。源泉徴収は、連邦や州の所得税、障がい者保険(SDI)や社会保険料(Social SecurityとMedicare)など複数の税金で構成されています。給与税は一定の割合で課税されるので、支払い額の変動はありません。しかし、所得税は累進課税(所得水準が上がるにしたがって税率も上がる仕組み)なので、 給与の上下や、その他の所得からの影響で、実際に納税すべき額と源泉徴収の額に隔たりが出てきます。
Form W4
源泉徴収額は「Form W4」で決めた数値に基づいて算出されます。この申告フォームは、確定申告時に影響するさまざまな質問から成り立ち、質問にチェックを入れた数が多いほど、源泉徴収額が低くなります。正しくチェックすると、源泉徴収のみで所得税を支払うことが可能となり、確定申告時の還付・納付は限りなくゼロに近づきます。手取りを最大限にし、還付・納付をゼロに近づけるのが一般的には最良とされています。
源泉徴収額は「Form W4」で決めた数値に対して、毎回の給与額を基準として算出した年収を基に決まります。固定給なら毎月の支払い額がほぼ一定なので誤差も少ないですが、時給制や繁忙期に給与の増額がある場合や、ボーナスが出た月などは、源泉徴収額に誤差が出るので、その年の本来適用されるべき税率よりも高い税率で源泉徴収されている可能性があります。
また、複数の仕事を掛け持ちしている場合、仕事ごとの給与額は低い税率の範囲内でも、全ての所得を合わせると高い税率の範囲に入り、誤差が大きくなることもあります。このような誤差が還付か納付かを左右します。
「Form W4」には確定申告時に控除を取ることを想定した質問もありますが、ここで出る数字はあくまでも期待値で、実際に確定申告で利用する数字と大きく異なる場合もあります。結婚、離婚、出産など、家族に変化があった場合も、税率や控除の額が変わります。その際は源泉徴収額を変えることで、還付・納付をゼロに近付けることができます。「Form W4」の再記入に関しては雇用主に問い合わせてみましょう。
所得控除と税額控除
「Form W4」には、確定申告時に控除を取ると想定した質問事項もありますが、この数字はあくまでも期待値で、実際に確定申告で利用する数字とは大きく異なる場合もあります。また、結婚、離婚、出産などで配偶者や扶養家族に変化があった場合も、税率や控除の金額が変わります。その際は、「Form W4」を再記入して源泉徴収額を変えることで、還付・納付をゼロに近づけることができます。雇用主に問い合わせてみましょう。
予定納税
個人事業、賃貸物件、株式などの売買による所得、LLCやSコーポレーションからの所得は源泉徴収の対象外です。このような所得がある人は、事前に予定納税をすべきでしょう。予定納税とは、所得税を確定申告前に納める方法で、前年度の所得、または申告年度の所得を基に確定申告より前に納税します。確定申告時に前年度の納税額の100%、または申告年度の90%を納めていない場合は、予定納税過小払いのペナルティが発生するので気を付けましょう。
(2017年9月16日号掲載)
※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。