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キューバのひとたちは、いつもはどんなものを食べてるんだろう?
メキシコ料理と似てるのかな?
と思うかもしれないが、距離が近い割には、かなり違う。
主食は、トルティリャじゃなく、ゴハン。日本と同じようなゴハンである。
白いゴハンを食べるのは、日本人だけじゃないんです!と以前にも書いたことがあるが、日本から地球を半周したこの国でも、白いゴハンをふっくら炊いて主食とする。
じっさい、キューバ人の中流家庭を訪ねてキッチンや食事を作るところをみせてもらったのだが、米を炊くのには日本と同じ電気釜を使っていた。だいぶ旧式ではあったけど。
そして、米とならんでメインの食材が豆。
メキシコ料理の、あの茶色いインゲン豆を潰してラードで炒めたすこしシツコイやつとは違って、黒いアズキを塩で茹でた、さっぱりしたもの。
塩のかわりに砂糖を入れれば、そのままオシルコになる、あの豆だ。
このふたつは、毎食必ず食べる。
日本のゴハンと味噌汁みたいなものだ。
皿の上で両者をまぜあわせながら食べる。
このふたつを一緒に炊いてしまうこともある。
すなわち、『赤飯』ならぬ『黒飯』になるのだが、キューバでのその呼び名がおもしろい。
「moros y cristianos」、つまりイスラム教徒とクリスチャン。米と豆という異質なものが仲良く溶け合っている、という意味(*)なのだ。
おかずは、豚肉、牛肉、チキン、そして魚の料理いろいろ。
ソテーやグリル、串刺し肉、燻製の肉、シチューなど、バラエティは豊富だ。
とくに、この国をこよなく愛してハバナで晩年を長く過ごしたヘミングウェイ(キューバの人々も彼を愛している)の好物、ranchito de mariscosというブイヤベーズに似たものは、僕もこよなく愛してしまった。
Ajiaco Cubanoという、ニンニクと野菜と豆に肉が入ったスープはキューバの代表的なスープで、これもうまい。
ちょっとかわったものには、トマトジュースのなかに生のカキを入れて飲む前菜がある(coctel de ostiones)。
精力増強剤なのだそうだが、ひとり旅だったので増強しても困るので、飲まなかった。
つけあわせ(vianda)は、イモやキャッサバ(malanga)を茹でたもの。これにmojoという、豚の油にニンニクを溶かしこんだものをかけて食べる。これはえらくうまい。
なにを食べてもおいしい。
それに、サルサがいいですね。
料理にかけるサルサじゃなくて、音楽のサルサ。
これがハバナのレストラン探訪の最大の楽しみだ。
旧市街の、レストランが集中している地域では、ほとんとすべてのレストランにバンドが入って、サルサを演奏している。
これがじつにみなウマい。
楽しいし、食事がおいしくなる。
独裁共産主義国とは思えない、明るく楽しい国でした。
*正式にはArróz Congriという
(2009年6月16日号掲載)