最近日本人のあいだでとみにポピュラーになってきた韓国料理だが、そのなかでも特に人気が上昇しているものに、ドルソッビビンバがあるのではないだろうか。
ドルソッビビンバは、ご存じのように、一人用の石釜に米を入れて炊いて、肉や野菜、卵などさまざまな具を載せたビビンバだ。
本来はその石釜のなかで生米から炊いたものだと思うが、レストランでは炊いておいたご飯を熱した石釜に入れて出すようだ。どちらにせよ、ポイントは、熱い石に熱せられてオコゲになったカリカリのご飯にある。
底にへばりついたオコゲを、スプーンでカリカリと剥がして食べる。これが醍醐味だ。
韓国人には、日本人が焼きオニギリを好きなのと共通した味覚があるのだろう。
世界では白いご飯を食べる国はいくらでもあるが、オコゲのうまさを知っているのは、僕の知っている限り、韓国と日本、それに中国だ。
そう、中国人も負けてはいない。
四川にもオコゲご飯の料理「鍋巴」という名物料理もあるが、広東にはドルソッビビンバにとてもよく似たものがある。その名を煲仔飯(広東語読みでボーチャイファン)という。やはり、一人用の石釜で炊いたご飯だ。
こちらはまだあまり日本人に知られていないのではないだろうか。
煲というのはよくできた漢字で、まさに火の上で保つ。米を石釜に入れ、火の上で保った結果できる料理なのである。
具は少なく、豚肉の塩漬けとピータンだけとか、鶏肉の骨付きブツ切りの醤油煮だけ、そういった単純なものだ。
ご飯には味がついていなくて、具の塩味とか、具についたタレが少し移っちゃった、といった程度の、そんな控えめなところが、ご飯のおいしさをいっそう際立ててくれる。
日本の焼きオニギリも、ふつうのオニギリとちがって、なにも具が入っていないからこそおいしいのですね。入っていたとしてもせいぜいオカカかな。
その点では、具だくさんのビビンバは発想がちがう。
ドルソッビビンバは、白いご飯と具をよくかき混ぜて食べ、だいたい食べ終わったところで出現する底のオコゲ、この二段階の楽しみを追求するものなのだ。
お湯を入れてオコゲを溶かしだして楽しむのがスタイル。
いずれも、ご飯そのもののおいしさがポイントだ。
香港ではこの煲仔飯がとてもポピュラーな軽食で、ショッピングモールにはこれが食べられる店がよくある。
勤めにむかうひとたちが朝ごはんに立ち寄ったり、週末のブランチに食べたりする。
アメリカのチャイニーズ・レストランでは、どこにでもあるというわけにはいかず、広東式・香港式の店で、なんとか海鮮大酒楼という大がかりな店ではなく、チャイナタウンの隅にあるような、中国人のお客だけを相手にしているような、そんな軽食主体の店。
そこはアメリカ、そういう店も探せばちゃんとあるのだ。
ドルソッビビンバも、どの韓国料理店にもあるというわけにはいかないが、これもやはり、探せばみつかる。
さあ、あなたはどちらの石釜飯に軍配をあげますか?
LAではココ!
「味」は30点満点、「予算」は2人分です
May Mei(美味居)
煲やワンタン麺などの麺のおいしい、広東風軽食の店。大型の店とはちがう魅力の、日本人のあまりしらないいろいろな料理が食べられて、新発見ができるはず。
味:21 予算:$20
639 W. Duarte Rd., Arcadia
☎626-574-1318
Sun-Thu 11:00am-10:00pm
Fri & Sat 11:00am-10:30pm
Open 7 Days
Jeon Ju
メニューはビビンバ主体、ブルゴギ載せやキムチ載せ、シーフードなどがある。ビビンバにしては安くない(10~11ドル)けれど、価値はある。
味:20 予算:$30
2716 W. Olympic Blvd. #101, Los Angeles
☎213-386-5678
Daily 10:00am-9:00pm
Open 7 Days
(2011年4月1日掲載)
中韓オコゲバトル
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