プティフール

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Mr.世界(プティフール)

エイプリルフールはもう過ぎちゃったけど、今回はプティフールのはなし。
じつはフールといっても「fool」ではなく、フランス語の「four」、つまり「オーブン」のことだ。
 
プティというのは、日本でいうところのプチ、いうまでもなく、「小さい」である。
ちょっと高級なフレンチレストランにいって、メインコースを食べ、デザートも食べたそのあとに、小さなお菓子がいくつかテーブルにでてきて、「あれ、たのんでもいないのにまたちがうデザートがでてきたぞ」、と不思議に思った経験はありませんか?
あれがプティフール、「petit fours(複数形)」だ。
たまにわけ知りのひとが、「これはプティフルーです」といったりするけど、「flu」ではない。
 
お店のサービスで、要するにコーヒーの相伴、まあ日本でいうところのお茶菓子である。いや、いまの日本では「スイーツ」といわなくてはいけないのかな。
小さくてカワイくて、色とりどり、形もさまざま、ミニチュア菓子のおもむきで、ハンバーガーみたいな格好のクッキーだったり、エクレアみたいにクリームがはさんであったり、クッキーだったり、チョコレートだったり。
これがでてくると、うれしくなる。店のほうもこれには結構力をいれていて、作るのに手間もかかると思うが、その店のウリとしてお客をよろこばせようとするのだ
これで口の中を甘ーくしておいて、しばらくのあいだ「コーヒー飲みたい!!」状態を作り出しておいて、自分自身をじらす。
そしてそのあと濃いコーヒーを飲んだときの幸せ。
 
このプティフールが、「小さいオーブン」といわれるわけは、オーブンで料理をした余熱で、小さいケーキを焼くことに由来するらしい。
店によっては、いろいろな種類のプティフールを、何層か重なった高い銀のトレーに載せてきたり、見た目も豪華な演出でたのしませてくれることもある。
かと思うと、ほんの数個のプティフールを、センスのいいお皿に載せて、スッとだしてくれるところもる。
僕は、これがでる店ならば、デザートをたのまないことが多い。これが十分デザートのかわりになるからだ。
 
フレンチレストランには、コース料理(Menu Degustation)にデザートが二皿や三皿もでてくることもあり、それに加えてプティフールもでてくる。
「世界の料理のなかで、どこの国の料理がいちばん好きですか?」と聞かれると、「僕にとってはフランス料理!」と答えるのだが、その理由のひとつとして、デザートの楽しさがあるのだ。
たとえば日本料理も、料理としては、味、洗練度、プレゼンテーション、精神、どこからみても世界一、二を争うと思うし、フランス料理やイタリア料理に与えた影響もはかりしれないが、ことデザートに関する限り、日本料理は非常にシンプルだ。
懐石料理の最後にでてくるのはメロンやぶどうなどの季節の果物がふつうで、それはそれでとてもいいのだが、デザートまでどんなものがでてくるか気が抜けない、ワクワクする、というのがフランス料理だ。そしてその締めくくりがプティフールだ、と思うわけです。
 
これは、まったく僕自身の好みの問題ですけどね。
 
LA&OCではココ
「味」は30点満点、「予算」は2人分です
 
Bastide at West Hollywood
メルローズの本通りからちょっと引っ込んだ隠れ家的存在のフレンチ。以前は値段がすごく高い店だったが、ぐっとカジュアルな値段になり、そのわりに味やサービスが落ちていない。
味:25 予算:0
8475 Melrose Pl., West Hollywood
☎323-651-5950 www.bastidela.com
Tue-Thu  6:00pm-10:00pm
Fri & Sat  5:30pm-10:30pm
Closed on Sun & Mondays
 
Leatherby’s Cafe Rouge 
僕にいわせればオレンジカウンティではもっともレベルが高いフレンチ。値段はそれほどでもない。ガラス張りのデコアもきもちがいい。おまかせコースをたのむこともできる。
味:26 予算:0
615 Town Center Dr., Costa Mesa
☎714-429-7640 www.patinagroup.com/cafeRouge
Tue-Sat  5:00pm-8:30pm
Sun  4:00pm-8:00pm
Closed on Mondays
 
(2011年4月16日掲載)

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