ピザにスパゲッティ。世界中どこに行っても手軽に食べることができる食べものだ。どこでも食べられるとはいっても、イタリアで食べるホンモノにくらべ、決してうまいとはいえないばあいがほとんどだ。
例外が二ヶ国ある。日本とイギリスである。去年、イタリアの友人を日本へ観光旅行に連れて行ったとき、彼がいちばんよろこんだ食べものは、スシでもテンプラでもなく、彼が「イタリア以外で世界でいちばんうまい」と称したピザだった。
フランス人を日本に連れて行ったことはまだないが、きっと「フランス以外でフランス料理がいちばんおいしい」というだろう。
日本人の、モノ作りに対する真剣な取り組みと緻密さは、車やエレクトロニクスのみならず、イタリアやフランスをはじめ、世界のさまざまな料理でさえも、本国のトップのレベルまでもっていってしまうのである。
そしてイギリス、といってもロンドンだけのはなしだが、ここのイタリア料理のレベルも、とても高い。どの店に行ってもがっかりした経験がない。
つい最近行ったロンドンでも、たまたまホテルの近くにあったイタリアンに入ってみたら、僕にとってはイタリア以外で食べたイタリアンではいちばんうまい!と大感激した料理だった。たとえば焼きラビオリ。
ふつうは蒸餃子のような柔らかいラビオリが、焼き餃子のようなクリスピーさと香ばしさをもって出てきた。そのグも、かかっていたソースも、すばらしかった。
ホタルイカをスタッフィングしたソテーは、南イタリアの海の香りが心に染みるような一品だった。店のひとに、「ここの料理はイタリア以外のイタリアンのなかで最高!」と伝えたらとてもよろこんでくれて、食後酒をふるまってくれた。そんなフレンドリーさもイタリア的である。
ところで、フランスのイタリアンはどうだろう?イタリアの隣国だし、グルメがそろっている国だから、さぞかしイタリアンもおいしいだろう…、と思うのがふつうですね。
それがちがうのだ。僕もそう期待して何度トライしたことかわからないが、常にがっかりだ。フランスはフランス料理がおいしいのであって、イタリアンも、あるいは日本料理もチャイニーズも、彼らはあまり真剣になる気がないようだ。
そしてわれらアメリカのイタリアンはというと、ユダヤ系イタリアンの移民がNYからはじめたアメリカ式イタリアンがだんぜん主流なのは読者もご存じのとおり。
ブ厚いピザやスパゲッティミートボール、ガーリックブレッドなど、イタリアには存在しないアメリカ料理だ。ではアメリカにはおいしいイタリアンが一軒もないかというと、決してそうではない。探せばあるのだ。
たとえばLAなら、100軒のイタリアンのうち数軒、マンハッタンなら20、30軒といったところかな?イタリア人を連れて行っても恥ずかしくない店がちゃんとある。
下調べさえちゃんとして行けば、おいしいイタリアンにもありつける、それがアメリカのいいところなのである。
LA&OCではココ!「予算」は2人分です
Eatalian Café
こんなところにレストランがあるの?と驚くが、中へ入ってその広さと活気にもっとびっくり。そして料理を食べてさらに度肝を抜かれる。ピザも本格的な最新のイタリアン・ファミリーレストラン。アルコールなし。
予算:$30
15500 S. Broadway St., Gardena
☎310-532-8880 www.eataliancafe.com
Breakfast: Mon-Sat 7:00am-10:30am
Lunch & Dinner: Mon-Sat 10:30am-9:00pm
Closed on Sundays
Pizzeria Ortica
薄焼で、モチモチっとした食感こそがホンモノのピザの基本。この店はまさにそういうピザ。トッピングも本格的でうまい。ミラノのスタイル、生卵を載せて焼いたピザなんかもある。おしゃれなロケーションと雰囲気。
予算:$50
650 Anton Blvd. Unit J, Costa Mesa
☎714-445-4900 www.pizzeriaortica.com
Lunch: Mon-Fri 11:30am-2:00pm
Dinner: Daily 5:00pm-10:00pm
Open 7 Days
(2011年10月16日号掲載)
イタリア以外のイタリアン
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