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インド料理とくれば、タンドリチキンにカレー、そしてナン、というのが日本人にとっての定番だ。
しかし今回は、ちょっと脇役的なインドの野菜料理について書こう。
脇役といっても、以前にこのコーナーでとりあげたように、インドにはベジタリアンが多く、そのひとたちにとってみれば当然野菜は主役である。
でも、インドでノンベジとよばれる非菜食主義者にとっても、チキンやラムのカレーといっしょに注文する野菜料理は、結構だいじなポイントである。チャイニーズでいくつかの料理を注文するときに、ひと皿は野菜の料理にするのと同じ感覚だ。
僕はインドに行くと、チキンやラムは当然だが、野菜のうまさに驚かされる。
温室野菜ではない、太陽に直接育てられた野菜、という香りがするのである。
アメリカでインディアン・レストランに行くときも、僕はかならず野菜料理をひとつ注文する。
その筆頭は、ビンディー・マサラ。
ビンディーはオクラのことで、これをスパイスとともにソテーしたもの。
辛くないので、辛いカレーのハシ休めにちょうどいい(もちろんハシは使わないが)。
オクラはそのヌメリケが舌になんともいえないし、あの細かいタネが腸の掃除にすごく役にたって翌日はとても快腸になる。
それから、マタール・パニール。
グリーンピース(マタール)とチーズ(パニール)のソテーである。
味付けはマイルドな香辛料やトマトピューレの味付けがふつうだ。
パニールは、インドの水牛の様なコブ牛の乳から作り、脂肪分を分離させて固めた、カッテージチーズのようなチーズ。
固い豆腐のような食感が、プチプチしたグリーンピースとよくあう。
このパニールを、ホウレン草(サーグ)をよーく煮てトロトロになるまでスパイスと炒めたものにまぜると、サーグ・パニールと呼ばれる。
これがまた僕の好物である。
ここまで書くと賢明なる読者はすでにおわかりのように、インドの野菜料理には、ふたつの食材を組み合わせたものが多く、そのふたつの食材のなまえがそのまま料理名になる。
つまり、肉じゃがみたいなものですね。
じゃが、といえばアルーゴビもそうだ。
アルーがじゃがいも、ゴビはカリフラワー。このふたつのソテーである。
このあいだのライトハウスにもアルーゴビの作りかたが掲載されていたが、これもインドでもっともポピュラーな野菜料理のひとつだ。
そして、ダール。
日本ではレンズ豆とよばれ、英語では「lentil」というこの豆にはいくつかの種類があり、これをスープ状、というか食感的にはシルコ状にしたダール・マクハニは、インド人は毎食かならず食べるといってもいい。
日本での味噌汁、役割的にも栄養的にもおなじようなものである。
ほかにもピンディチャナというひよこ豆をソテーしたもの、ベンガンというナスの料理、ミルチというピーマンの料理などがチキンやラムと相性がいい。
南カリフォルニアには約200軒ものインディアン・レストランがあり、ロンドン、ニューヨークと並んで世界でも(インド本国をのぞいて)インド料理のもっともおいしいところのひとつである。
インド料理の店にいったら、チキンやラムばかりでなく、味と栄養のバランスを考えて、野菜料理もたのみましょう!
(2005年5月16日号掲載)