「美味礼賛」連載二百回と同時に、二百ヵ国の訪問、達成!
二百番目はキューバだった。
ここで読者はさっそく、疑問を抱かれるだろう。
二百?・・・世界の国ってそんなにあったっけ?
キューバ?・・・アメリカに住んでる人は渡航禁止なんじゃないの?・・・
正確に言うと、僕が訪れたのは二百ヵ国および地域である。
国連加盟国は、現在192。
そのほかに、国連に加盟していない台湾、パレスチナのようなところや、独立を宣言したけど、ほかの国からは認められていない「国」もある。
それから、「地域」というものが存在する。
たとえば、サッカーの国際試合にはイングランドと別にスコットランドやウェールスが出場するし、野球のWBCにはアメリカの一部でありながらプエルトリコが別に参加したりするようなものだ。
これらはある程度の政治的自治権を持っているところなのだ(香港やチベットもそう)。
さらには、本土からある程度以上の距離が離れた島や飛び地で、それなりの人口があるところ、たとえば日本では沖縄も数えることになっている。
「なっている」というのは、Traveler’s Century Clubという団体(*)がそういうリストを発行しているのである。
そのリストによると、世界には現在319の国および地域があることに「なっている」。
僕が行ったのは、そのリストにしたがって200というわけで、ちなみに国連加盟国でいえば125。
どちらにしても、全世界の約65%である。
僕の人生の目標が、100%達成であることはいうまでもない。
なぜかというと、それぞれの国・地域では、それぞれの歴史、芸術、音楽、景色、そして人々にめぐりあえるから。そしてもちろん、食文化である。
200行って、少なくとも200の特徴のある食文化を楽しんできた。
たとえば香港。
いまは中国の領土であっても、一国二制度のたてまえのもと、資本主義文化はいまも続いている。
だから、香港の食文化は、種類分けすれば広東料理なのだが、長年に渡って香港の金モチたちが金にいとめをつけず育ててきた贅沢料理、高給をとるシェフたちが必死に研鑽してきたスタイルがあるのだ。
沖縄には、あのメリハリのきいた独特の沖縄食文化が、沖縄民謡やその他の文化とともに育っている。
フランスの領土であって、独立国ではまったくないけれど、フレンチ・ポリネシア、すなわちタヒチには、ポリネシア料理とフランス料理の合体した独特の食文化がある。
ああ、旅は楽しいですねー。
おっと、キューバについて書くスペースもなくなってしまった。
これについては次回ゆっくりと書きますね。
(2009年5月16日号掲載)
二百カ国のよろこび
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