ライトハウス・サンディエゴ版編集長、吉田聡子が、サンディエゴのブランドを訪問。世界に羽ばたいた物から、ローカルにこだわる物まで、名品の背景にある物語を探ります。
Ann San Diego /アン・サンディエゴ
メリッサ・アン・トーレスが初めて石けんを作ったのは今から10年以上前のこと。誕生日プレゼントとして、家族から説明書や材料がセットになった手作り石けんのキットをもらったことがきっかけだった。さっそく試したメリッサは石けん作りに夢中になった。夫が寝た後にこっそり起きて、 文字通り夜な夜な石けんを作り続けた。
「どこにそんなにハマったのか? 色や香り、材料の組み合わせを考え出すというクリエイティブなところかしら。でも、一番は作っている時の香りがとても良くて気持ちがいいことだと思うわ」(メリッサ)。
当初は販売する気はなかった。けれど、作ることが好き過ぎて家に石けんが増えていくばかり。そこで、当時働いていたプリスクールに持って行き、買いたいという保護者に売ることを始めた。そうこうするうちにメリッサは閃いた。「サンディエゴの好きなスポットをテーマにした石けんを作ろう」。
まずは好きなスポット名をリストに書き出し、石けんに使える素材のリストと色づけ用の材料のリストを作り、3つを掛け合わせてレシピを考案。こうして、Coronado Sunshine、La Jolla Shores、Old Town Cedarwoodなど、サンディエゴのスポットに紐づく種類の石けんが誕生した。
「作った石けんを持って、観光客が多い雑貨店に飛び込みで営業して、扱ってくれる店を開拓していったわ。最初に行ったのがオールドタウンにあるRust General Store。今の雰囲気のある石けんのラベルはRust General Storeの人が作ってくれたのよ」(メリッサ)。
オンラインショップの知識があったわけではないが試行錯誤してサイトも自作したというからすごい。
今年はAnn San Diegoとして販売をスタートしてから14年になる。今後はどう展開していくのだろう?
「石けんは十分に種類があるので、新製品を作る予定はないわ。子育てしながら一人でできることは限度があるので、協力者が出てこない限りは、販路拡大も現実味がないし…。よく『キャンドルはないの?』と聞かれるけれど、作りたいかどうか分からないわね…。実は絵を書くことが大好きなので、アート作品を販売することは考えているの。その場合も、サンディエゴの街をテーマにしたアートにするつもりよ」(メリッサ)。
(2018年2月号掲載)
※このページは「ライトハウス・サンディエゴ版 2018年2月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。