ライトハウス・サンディエゴ版編集長、吉田聡子が、サンディエゴのブランドを訪問。世界に羽ばたいた物から、ローカルにこだわる物まで、名品の背景にある物語を探ります。
Spekn / スペケン
SNSのタイムラインをぼんやり眺めていたら、一枚の写真に目が留った。しなやかにヨガのポーズを取る女性。色鮮やかで大胆な模様が印象的なヨガパンツ。
女性はサンディエゴでヨガインストラクターとして活躍するmimiさんだ。よく読むとウエアは彼女の夫、ジーン・ライトさんが手がけるブランド、Speknのものとある。メイド・ヨガウエアのブランドはいろイン・サンディエゴのスポーツアパレル。さっそく取材を申し込んだ。
SpeknのCEOでありデザイナーであるジーンは、ミリタリーをリタイアした後、子どもとの時間を大切にしながらできる仕事を探していた。幼い頃からアートやデザインが好きで、広告デザインの学位も持っている彼は、まず自分のブランドを作ろうと思い立ち、オリジナルのロゴや洋服の模様をデザイン。印刷会社のサービスを使ってロゴ入りTシャツや帽子、ドレスを作り、娘や息子にモデルになってもらった。そのドレスの美しい色使いと、生地の心地良さに触れた妻のmimiさんが、自身の使うヨガレギンスも作ってほしいと依頼。それが、Speknを立ち上げるきっかけになった。
とはいえ、1人でアパレルブランドを立ち上げられるものか? 聞いてみると、Speknでは印刷会社と提携して商品を生産していると言う。ジーンがデザインするのは模様(パターン)。Speknのウェブサイトで注文が入ると印刷会社がその模様を印刷し、縫製して、お客さんに郵送する仕組みだ。在庫を抱えなくていいのは、ビジネスのスタートアップとしては大変スマートな選択だ。
ヨガウエアのブランドはいろいろあるが、Speknでは「他にはない模様のウエアをデザインしていきたい」とジーン。実際、華やかな色使いのヨガウエアは珍しく、個性を求める人に好評と言う。そんな利用者たちの声を取り込みながら、製品の数を増やしていき、まずはブランドの認知拡大を目指す。現在はオンライン販売のみだが、少しずつ販路を広げていく予定だ。
家族との時間を考えて、雇われる道ではなく、特技をいかして起業を選んだことがとてもアメリカらしいと感じて話を聞いてわくわくした。妻のmimiさんがSpeknを着てヨガをすることが宣伝にもなるという二人三脚のコラボレーションも素敵だ。これからの展開に期待したい。
(2017年12月号掲載)
※このページは「ライトハウス・サンディエゴ版 2017年12月」号掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。