車やコンピューターのように、ビジネスとプライベートの両方で使用可能な資産を従業員に貸し出す場合、プライベート使用分は給与処理されるのが一般的です。
対象資産
雇用主が保有する、ビジネスとプライベートの両方で使用可能な資産を「対象資産(Listed Property)」と呼びます。車、コンピューター、カメラなどが代表例で、使用した総時間(車は総走行距離)のビジネス分を経費処理、プライベート分をフリンジベネフィットとして給与処理します。
減価償却
対象資産のほとんどは固定資産で、税法で定められた耐用年数にわたって分割して経費処理する「減価償却」という方法を取ります。例えば、3000ドル・耐用年数3年のパソコンがあり、70%をビジネス使用した場合、2100ドル(3000ドル×70 %)を3年にわたって700ドル(2100ドル÷3年)ずつ経費処理します。同様に、残りのプライベート使用の900ドルも年間300ドル(900ドル÷3年)ずつフリンジベネフィットとして給与処理します。この処理方法は、数ある減価償却方法のうちの一つなので、他の方法を取ることも可能です。
フリンジベネフィット
雇用主から貸し出された資産をプライベート使用すると、ビジネス使用を含めた総使用時間に対するプライベート使用時間の割合がフリンジベネフィットとなります。ほとんどの資産が時間で管理されるのに対して、車は走行距離で管理されます。
例えば、車の年間ビジネス使用が8000マイル、プライベート使用が2000マイルの場合、ビジネス使用の80%[8000÷(8000+2000)マイル]は経費処理され、プライベート使用の20%[2000÷(8000+2000)マイル]はフリンジベネフィットとして給与処理されます。
実費と標準レート
それらの処理方法に、実費(ActualExpenses) と標準レート (StandardMileage Rate) の2通りがあります。実費は雇用主が支払った経費をビジネス使用の80%とプライベート使用の20%で案分します。それに対して、標準レートは毎年異なり、2015年は1マイルあたり57.5セントで換算されるので、この場合は4600ドル(8000マイル×57.5セント)を経費処理、1150ドル(2000マイル×57.5セント)を給与処理します。通勤はビジネス使用に含まれないので注意しましょう。
携帯電話
●雇用主からの携帯電話の貸与
以前は対象資産に含まれていましたが、数年前に徐外され、全てを経費処理することが可能となりました。このルールを適用するには、雇用主が貸し出した携帯電話がオフィス外や勤務時間外でも顧客と連絡が取れるようにするためや、雇用主が緊急事態に連絡を取れるようにするためでなければなりません。
●私物携帯電話のビジネス使用
雇用主からプライベートの携帯電話をビジネス使用することを要求された場合、プライベート使用を除く分の払い戻しを非課税で請求することが可能です。従業員は合理的な通話プランへの加入と払戻金の計算方法をするという決まりもあります。通常業務は国内通話のみなのに、海外通話もプランに含まれている場合、合理的とみなされず単純に案分することができません。
(2015年8月16日号掲載)
※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。