冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点

米政治ジャーナリストの冷泉彰彦が、日米の政治や社会状況を独自の視点から鋭く分析!
日米の課題や私たち在米邦人の果たす役割について、わかりやすく解説する連載コラム

冷泉 彰彦
冷泉 彰彦

プリンストン日本語学校高等部主任。『Newsweek日本版』コラムニスト。

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日本での日本語教育厳しい現実

高まる日本語学習ニーズと追いつかない教育機会 親子での移住は、それぞれに学習支援が必要。 アメリカでは日本語がブームである。日本文化への関心を背景に、ほとんどの大学では外国語として日本語の選択が可能で、初級から中級、上級までコースを設置している。高校の場合は、全てとまではいかないが、日本語のクラスを設置しているケースは多い。大学出願の全国テストのSAT2やA … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本での日本語教育厳しい現実」の続きを読む

謎ルールがやめられない日本の小学校

置き勉、シャーペン、ハンコ…、数々の謎ルール サイン? ハンコ? 有効なのはどっち? これまでも、日本の中学や高校の校則が厳しいのは周知の事だった。反発した生徒や親が裁判を起こしたり、漫画やドラマでも校則に対する反抗が描かれたりするなど、厳しい校則に対する議論は今でも続いている。   一方で、近年では日本の小学校における「謎ルール」というのが話題になっている … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「謎ルールがやめられない日本の小学校」の続きを読む

匂いに敏感な日本社会

不快な匂いのケアか? 匂いのケアが不快か? 防臭機能や香りの付いた柔軟剤が日本で流行中。 日本では「匂い」は深刻な社会問題になっている。大きな背景としては昭和から平成初期とは違って、現代の日本は個人的な不快感をしっかりアピールすることが許される社会になったということがある。このことは前向きに評価しておきたい。   とはいうものの、日本の匂い問題はとにかく厄介 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「匂いに敏感な日本社会」の続きを読む

こいのぼりの消滅と高額化するランドセル

世相と共に変化するこいのぼり 「ラン活」というランドセル選びを指す言葉もある。 5月の連休といえば「こどもの日」、つまり端午の節句であり、この時期になると日本中でこいのぼりが掲げられるのが一種の風物詩となっていた。だが、この鯉のぼりに異変が起きている。日本全国で、空中を泳ぐこいのぼりが見られなくなっているのだ。   原因としては、いろいろあるようだ。まず、都 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「こいのぼりの消滅と高額化するランドセル」の続きを読む

何とかならないか 日本での特殊詐欺の横行

ますます巧妙化する特殊詐欺 ATM、コンビニの端末、手渡し、渡し方もさまざま。 最初は「オレオレ詐欺」と言われていた、なりすまし電話をかけて多額の金を奪う詐欺行為は、手口が多角化したこともあり、現在では「特殊詐欺」と言われている。この特殊詐欺、国税庁のフリをして脅迫するようなものはアメリカにもあるが、猛威を振るっているのはやはり日本である。   4月1日に5 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「何とかならないか 日本での特殊詐欺の横行」の続きを読む

大陸横断鉄道とアムトラック

大陸横断鉄道の敷設を支えた東西の移民たち この絶景は、アメリカ移民たちの苦労の賜物。 アメリカの開拓は、東から西へと進んだ。入植により経済が回りだすと今度は輸送手段が必要となる。最初は人や荷物は馬車を乗り継いで移動するしかなかった。だが、19世紀の半ばまでには全国で鉄道網が発達し、輸送の容量もスピードも格段に向上した。   西海岸の場合は、これにゴールドラッ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「大陸横断鉄道とアムトラック」の続きを読む

児童虐待、ストーカー、岐路に立つ日本の警察

家庭内問題における日米それぞれの警察の立場 児童相談所に警察官を置く自治体も増えている。 千葉県で 10歳の女児が実父から虐待を受けて殺されたニュースは、日本の社会に大きな衝撃を与えた。この事件では、亡くなった児童が虐待の事実を訴えたアンケートを教育委員会が父親に見せたことが、暴力をエスカレートさせたとして批判されている。   この問題だが、学校と教育委員会 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「児童虐待、ストーカー、岐路に立つ日本の警察」の続きを読む

雅子皇后誕生で期待される「自然な英語」の普及

外務省、皇太子さまの発言…これまでの雅子さま 5月1日には即位の礼が行われる。 2019年4月30日に天皇陛下が退位され、5月1日には皇太子さまが即位される。日本では、新元号の発表時期も決まる中、平成の30年を回顧する動きが進むなど、既に代替わりムードが広がっている。一方で、在米の視点としては帰国子女の代表とも言える皇太子妃雅子さまが皇后になることに特別な意 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「雅子皇后誕生で期待される「自然な英語」の普及」の続きを読む

暴走する日本のビジネスマナーを考える

ビジネスでは常識?酒席でのマナー 行き過ぎたマナーは誰のためになるのか? アメリカ生活が長くなると、最近の日本社会の動向に疎遠になるのは避けられない。特に流行語で、日本で使われている若者言葉の意味が分からないと、ついつい昔の正しい日本語が良かったというようなノスタルジーに走ってしまうことがある。   だが、言語というのは生き物であり、流行語や若者言葉というの … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「暴走する日本のビジネスマナーを考える」の続きを読む

日本の「軽減税率」問題、アメリカと比較すると?

2019 年消費税引き上げと、併せて導入される軽減税率 日本の消費税率は現在8%だが、法律によれば2019年10月から10%にアップすることが既に決まっている。施行が1年後に迫る中で、現在の日本では「軽減税率」の問題が浮上している。現行の制度では、何もかもが一律8%なのだが、10%にするのと同時に、一部の品目は税率を軽減しようというのである。 この軽減税率問 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本の「軽減税率」問題、アメリカと比較すると?」の続きを読む

日本のハーグ条約批准から4年、いまだ残る問題とは?

子どもの連れ去りを防ぐハーグ条約の現状 国際結婚が破綻した場合に、一方的に子どもを母国に連れ帰ってしまう事例を防止するために「ハーグ条約」という取り決めがある。日本は、長年このハーグ条約に加盟しておらず、主として日本人の母親が勝手に子どもを日本に連れ帰る事例が日米の外交問題となっていた。そのような母親に対しては、多くの場合アメリカで逮捕状が出たままになってい … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本のハーグ条約批准から4年、いまだ残る問題とは?」の続きを読む

中高の体育会、アメリカ流にも問題点

見直しが始まった日本の学生スポーツ 日本では、中高、大学、そして五輪代表チームに至るまで、スポーツ指導のあり方が厳しく問われている。異常な長時間練習、熱中症などの健康被害、そして暴力や暴言、人格否定の横行…こうした問題がようやく反省されるようになった。国民的行事とされてきた甲子園の野球にも批判が向けられているし、中高の部活に関しては練習時間の規制も始まるとい … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「中高の体育会、アメリカ流にも問題点」の続きを読む

東海道新幹線、海外からの利用法

JR パスでは乗れない 東海道新幹線「のぞみ」 訪日外国人の増加が続いている。今年、2018 年は、年間3000 万人突破が実現するかもしれない。私の周囲でも、日本へ行ってきたとか絶対行きたいという人がやたらに増えている。   外国人が日本へ行くと、「JRパス」を使うケースが多い。その場合、東京を拠点にして京都や大阪へ行くとなると、東海道新幹線に乗車すること … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「東海道新幹線、海外からの利用法」の続きを読む

日本の「災害報道」に見る メディアの一極集中

集中豪雨の日、東京では何が報道されたか? 7月初旬に発生した西日本豪雨では、中四国と九州で大きな被害が出た。梅雨の末期に集中豪雨が発生するのは、日本の場合は毎年のことであり、気象庁はさまざまな観測体制を整えて予報も充実させてきているのだが、死者が200人に迫る巨大災害を防ぐことはできなかった。   現在も復興作業が続いているが、今回の豪雨災害ではテレビ報道の … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本の「災害報道」に見る メディアの一極集中」の続きを読む

日本の働き方、何が問題なのか?

働き方改革の現場で何が起きているか? 2015年に大手広告代理店社員が過労自殺したことを契機に、日本では「働き方改革」という運動が、ようやく掛け声だけでなく実質を伴って動きだした。多くの企業が、午後9時や10時でビルを閉めるようになり、これまでは申告を遠慮させられていたサービス残業について手当が支払われるケースも増えた。また、曜日を決めて「ノー残業デー」を設 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本の働き方、何が問題なのか?」の続きを読む

ワールドカップとスポーツの放映権を考える

独占放映権が視聴者にもたらすもの 今年はサッカーのワールドカップの年で、6月にはロシアで大会が行われる。日本のA代表には直前の監督交代劇など心配材料があるが、とにかく1勝1勝の積み重ねを期待したい。   このワールドカップの放送だが、前回、2014年のブラジル大会の際には、北米の日本語テレビ局であるテレビジャパンは、放映権がないために、試合中継や日本のNHK … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「ワールドカップとスポーツの放映権を考える」の続きを読む

日本のフィンテック事情

アメリカ、中国、日本各国の支払いの現状 フィンテック、つまり金融の世界にコンピュータのテクノロジーを導入するのは、世界的なトレンドだ。ネットバンキングに加えて、スマホなどによる電子決済や、さらには仮想通貨(Cryptocurrencyを日本語では暗号通貨と言わない)など、さまざまな新サービスや技術革新が話題になっている。 こうしたフィンテックについては、アメ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本のフィンテック事情」の続きを読む

全く新しい段階に入った日本食ブーム

メキシカン、イタリアン、中華がどのように普及してきたか アメリカでは、依然として日本食ブームが続いている。というよりも、むしろブームが加速して新しい段階に入ったと言ってよい。過去40年の歴史を振り返ると、まず鉄板焼きブームがあり、寿司ブームがあり、現在ではラーメンブームが拡大している。これに加えて、従来は「各国料理の中でも高級なジャンル」だと思われていた日本 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「全く新しい段階に入った日本食ブーム」の続きを読む

アメリカにもある派遣労働 日本とどこが違う?

アメリカのテンポラリー・ジョブの現状 今、日本では「働き方改革」が議論になっている。その中で問題となっているのが日本の「派遣労働」である。   アメリカにも派遣はある。経理やコンピューターなどの専門職では、日本のようにエージェンシーが労働者を派遣する「テンポラリー・ジョブ」というものがある。実際の契約も派遣元が雇用した労働者を派遣先に業務委託契約に基づいて送 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「アメリカにもある派遣労働 日本とどこが違う?」の続きを読む

18歳成人問題で揺れる日本

18歳成人で何が変わるか? 1月8日は日本では成人の日だったが、今年は、振り袖の販売・貸出・着付けを行う業者が、当日に計画倒産して休業し、社会は大混乱に陥った。これを受けて、八王子市のように被害者救済のため、再度成人式を行うと発表した一部の自治体もある。事件の背景には、少子化に伴う新成人の減少という問題があり、振り袖業界で過当競争が起きたためだという。   … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「18歳成人問題で揺れる日本」の続きを読む

チケット転売ビジネス日米で異なる事情

行きたい人が、払いたい額で買うアメリカのチケット アメリカではチケット転売サービスが盛んだ。StubHubやTicketmasterなどのチケット販売サイトでは、スポーツや音楽など、あらゆるイベントのチケットが売られている。その多くは「転売」だ。eBayなどのオークションサイトでもチケットを扱っている。人気イベントでは、需要と供給の関係から価格が上昇し「プラ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「チケット転売ビジネス日米で異なる事情」の続きを読む

日本ではどうして茶色い地毛が許されないのか?

日本で髪が茶色いとどのようなことが起こるか? 生まれつきの頭髪、つまり地毛が茶色なのに、学校から黒く染めるよう強要された高校生が不登校に追い込まれて、高校を告訴したニュースが日本で話題になっている。生徒は入学後、頻繁に黒染めを指導され、最後には4日ごとに染めるように強要されたという。度重なる染色で頭皮がかぶれ、髪はボロボロになった生徒が指導に対して抗議すると … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本ではどうして茶色い地毛が許されないのか?」の続きを読む

訪日外国人増で揺れる日本の宿泊業界

日本の民泊規制緩和が進んだ背景 2016年に日本政府は「2020年には訪日外国人を4000万人に」という目標をブチ上げた。この時には「4000万」という数字は強気過ぎて非現実的という声が多かったが、その16年には、結局1年間で2400万人の大台を超えている。さらに、今年、17年に入っても増加は止まらず、通年では2700万人を突破する勢いだ。   その内訳だが … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「訪日外国人増で揺れる日本の宿泊業界」の続きを読む

EVシフトの遅れが気になる日本の自動車産業

世界各国におけるEV事情とは カリフォルニア州では、2018年からZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル=排出ガスゼロ車)規制が本格化する。50年までにZEV車を100%にすることを目標として、毎年販売台数に占めるZEV車の比率目標を引き上げていくというもので、違反したメーカーには罰金が科せられる。   このZEVだが、定義はかなり厳格で、EV(電気自動車) … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「EVシフトの遅れが気になる日本の自動車産業」の続きを読む

日本ではどうして都会から小さな政府論が出てくるのか?

東名阪の「小さな政府論」 地方の「大きな政府論」 アメリカの政治風土には、大都会はリベラル、地方は保守という傾向が強い。大都市の場合は世界中から移民が流入するので多様性が生まれるし、富裕層も「アメリカは理想主義の実験場」と考える傾向があるので、福祉政策への理解がある。さらに貧富の格差のある中では、行政サービスへの期待も大きく、それがリベラルな風土につながって … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本ではどうして都会から小さな政府論が出てくるのか?」の続きを読む

アメリカから見た日本の数学教育

アメリカの教育改革と日本のゆとり化 日本の数学教育がアメリカを席巻しているようだが、実は公立学校の数学教育においてはそう単純な話ではない。   一つの問題は、日本とアメリカの数学教育の「進度」における変化だ。はるか昔、昭和の時代までは、日本からアメリカの学校に転入する生徒は、数学の進度で悩むことはなかった。それどころか、英語は初級でも「数学ができるから」とい … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「アメリカから見た日本の数学教育」の続きを読む

さようならボーイング747

日本とアメリカをつないだ往年の747 1970年にパン・アメリカン航空(パンナム)が太平洋線に導入して以来、47年という長い間、日本とアメリカの間を飛び続けていた「ジャンボジェット」こと「ボーイング747型」がついに日米線から姿を消した。ユナイテッド航空の6月13日の「サンフランシスコ=成田」がラスト・フライトで、静かな退役となった。   日米を飛んでいる他 … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「さようならボーイング747」の続きを読む

いまだに奇妙な日本のメジャーリーグ報道

チームの勝敗より個人の記録を優先する日本のメディア 野茂英雄氏がドジャースに入団して大活躍して以来22年、日本ではメジャーリーグ・ベースボール(MLB)に関する報道がずっと続いているが、その姿勢については、どうしても違和感を感じざるを得ない。そして、この問題は今でも続いている。   日本のメディアだから、日本人選手が中心の報道になるのは仕方がない。問題は、そ … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「いまだに奇妙な日本のメジャーリーグ報道」の続きを読む

人気空港に成長を遂げる関西国際空港

成田・羽田にはない関空3つの強み 1994年に開港した関西国際空港(関空)は、一時期利用が低迷していた。空港自体の地盤沈下が問題となったり、関空・伊丹・神戸と狭いエリアに3つも空港が必要なのかとか、いろいろな批判を浴びる一方で、欧米への直行便が減るなどして空港の経営が悪化したこともある。だが、2つ目の滑走路が完成し、24時間空港と化した2007年頃から状況は … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「人気空港に成長を遂げる関西国際空港」の続きを読む

日本でも関心の高まる「米本土皆既日食」

8月21日、アメリカのほとんどの地域が日食に 今年2017年の8月21日(月)、お昼前後にアメリカ本土で皆既日食が見られる。日食と言っても、一部が欠けるようなものではなく、ホンモノの皆既日食、つまり太陽の前に月が完全に被さって、昼なのに真っ暗になるという現象だ。それも南洋の海上とかではなくアメリカの本土で起こるのだから大変だ。   具体的には、まず当日、北ア … »冷泉彰彦のアメリカの視点xニッポンの視点「日本でも関心の高まる「米本土皆既日食」」の続きを読む