人生どこでどんな思いがけない収入を得るか分かりません。何もしないで収入を得ることは相続などの特殊なケースを除いてないでしょう。しかし、逆に「何かをすれ」ば思いがけない収入を得る機会があるということ。もしそのような収入を得たら、散財する前に納税の可能性を考えなければなりません。今回は、ギャンブル、賠償金、株などの取引で発生する課税について解説します。
ギャンブル
カジノや競馬場でのアタリのみでなく、ガソリンスタンドなどで購入した宝くじから収入を得る可能性もあります。基本的にそれらは課税対象ですが、全てではなく、アタリから賭け金(アタリに未関連のものも含められる)を控除として差し引いた金額(単純な相殺ではないので要注意)に課税されます。つまり、負けが勝ちを上回れば非課税です。
宝くじで一気に数百万ドルという単位の大当たりを引いた場合、その当選金の受け取りを一括(Lump-sum)か分割(Installment)か選択しなければなりません。前者の場合は、当選金が自動的に減額されます。さらにそこから約40%を納税しなければならないので、最終的な手取りは半分以下です。対して後者の場合は、額面通りの当選金を受け取る権利があり、それを数十年に分割して受け取ることで税金の支払いも分割され、受け取る金額の総額は大きくなります。
アメリカでは一括受け取りが多いようですが、さまざまな条件を加味して慎重に選択した方が良いでしょう。
賠償金
訴訟社会のアメリカでは、日本ではあり得ないような場合で訴訟が起こり、結果、莫大な損害賠償が発生することもあります。では、損害賠償を受け取った場合の税務処理はどうなるのでしょう。
まずは、その損害賠償が課税の対象か否かを確認しましょう。というのも、損害賠償の種類や内容によって税務上の扱いが異なるからです。一般的には、精神的な苦痛に対する補償は課税対象ですが、物理的な損失への補償は非課税です。また、実際の損失に加えて請求される懲罰的損害賠償(Punitive Damage)は課税対象です。
外国為替証拠金取引(FX)
株や証券の取引で大きな利益を上げたという話はよく聞きますが、その中でもここ数年特に話題に上ることが多いのが外国為替証拠金取引、いわゆるFXです。為替市場は24時間開かれているので、働いている人でも就労時間外で取引できることが人気の要因でしょう。ここでは一般的な取引内容とその所得に対する課税方法を紹介します。
FXとは、少額の証拠金(資本金)で数倍から数十倍に及ぶレバレッジをかけて取引する方法です。一般的な取引には、為替差によって得る利益と金利差による利益の2通りがあります。前者は為替の変動を予測して通貨を売買することで、その差額から儲けを出します。対して後者は、低金利国の通貨で高金利国の通貨を購入し、それを保持することによって金利から儲けを出します。
これらの課税方法には「Section 988」と「Section 1256」と呼ばれる2種類があります。前者は通常税率が適用されますが、ロスがゲインを上回った時に全ロスを他の収入と相殺できます。対して後者は、60%がキャピタルゲイン税率と呼ばれる通常税率より低い税率、残りの40%が通常税率で課税され、ロスがゲインを上回った時に3000ドルまでしか他の収入と相殺することができません。取引の種類によってどちらのルールが適用されるか決まるので、詳細は専門家に相談するのが一番です。
(2014年8月1日号掲載)
※本コラムは、税に関する一般的な知識を解説しています。個別のケースについては、専門家に相談することをおすすめします。ライトハウス編集部は、本コラムによるいかなる損害に対しても責任を負いません。