子どもが現地校の授業を楽しみ、意欲をもって学習に取り組めるようになるには「英語の読書力」を育ててあげることが大切です。英語の読書力が身に付けば、子どもは自力で語彙と知識を増やし、思考と学力を伸ばすことができます。
「現地校に通っていればいつか読めるようになるだろう」と読書力の発達を学校任せにしてはいけません。英語の読書力を子どもの努力だけで身に付けることは簡単ではありません。子どもが日本語を習い始めた時は必ず親が手伝ってあげますよね。同様に英語の読書力を定着させるには、学校に加えて家庭でサポートを与えることが大切です。
読書力が育っていない子どもは英語の本を読むのに人一倍時間がかかる上、内容の理解度が低く、本を読んでも学力に結びつきません。理想は小学1年の終わりまでには自分の力で英語の本がストレスなく読めるようになっていること。遅くても小学2~3年までには英語の活字への抵抗感を取り除いてあげるように家庭でサポートを与えましょう。
読書力を育てるのは母国語
学齢期前の子どもの場合、英語よりも日本語の読書力を先に育てることが原則です。遠回りのようですが、母語の力(親の言葉)が強く育っているほど、第二言語である英語の読書力も短期間で身に付けることができます。日本語の読書力でしたら「英語が苦手」という親でも教えることができますね。
読書教育は「絵本の読み聞かせ」からスタートします。絵本は子どもを本好きに育てる最良の教材です。親が絵本を読んであげると、子どもは頭の中でイメージを操作することを学びます。これが想像力や読解力となって、将来の子どもの学習活動を支えてくれるのです。
毎日欠かさず本を読んであげましょう。平均的なアメリカ人家庭は子どもに毎日30分の読み聞かせをします。2つの言葉を身につけるバイリンガル子育てではその倍!60分の読み聞かせを目標にしてください。
最適期は6歳まで
まだ早いと思わずに1~2歳から文字読みを教えてあげましょう。バイリンガルの子どもは2つの読書力を身に付けなければなりませんから、できるだけ早い時期に文字教育を始めなければ「読書力を身に付ける最適期」である6歳を通り過ぎてしまいます。
最初はひらがなから教えます。ひらがなチャートの文字を指差しながら「あ」「い」「う」と読み方を教えてあげましょう。また、ひらがなが書かれたカードを使ってカード取りゲームをしたり、カードを並べて子どもの名前、家族の名前、物の名前などの読み方を教えてあげたりしましょう。
家庭の中の文字環境にも配慮します。子どもの持ち物や洋服には子どもの名前を書いてあげます。また子どもが目にする「物の名前」を紙に書いて貼っておきます。「ほん」「いす」、「どあ」「かべ」「ほんだな」「おもちゃばこ」と書いた紙を貼ると、子どもが自主的に文字を練習するようになります。
小さな子どもに文字を教える場合、学問的に教えるのでなく、生活の中で自然と文字に親しめるような環境作りが大切です。家庭内の文字環境が貧弱だと、文字への興味を引き出すことができず、文字がなかなか定着しないので注意してください。
レベルに合った本を読ませる
子どもに本を読ませる時は(日本語でも英語でも)本の難易度に配慮してください。まだスラスラ文字が読めない子どもに「難しすぎる内容の本」を与えると読書嫌いになります。本を読み始めて間もない子どもは、文字を追いかけるだけで精一杯です。一生懸命活字を追いかけて最後まで本を読んでも、内容が頭に入っていなかったら本を読む気が失せてしまいます。最初は簡単な内容の本をたくさん読ませることが読書好きにするコツです。
(2016年8月1日号掲載)