バイリンガルの定義とは?

ライトハウス電子版アプリ、始めました
バイリンガルとは

日本語と英語のバイリンガルとは、以下の3つのレベルに分けて考えられます。

  • 話し言葉レベル:日本語・英語の両言語で「聞く・話す」ができる状態
  • 読み書きレベル:日本語・英語の両言語で「読み・書き」ができる状態
  • バイカルチャーレベル:日本語・英語、それぞれの文化を身に付けた状態

バイリンガルとはどんな状態?また、どうしたらなれますか?
小学校に上がる前の長女と、生まれて6カ月になる次女を持つ親です。この度、夫のアメリカ赴任に伴い渡米することになりました。皆から言われるのが、「子供たちがバイリンガルになっていいですね」です。このバイリンガルとは、どんな状態のレベルのことを言うのでしょうか?

 

日本語と英語のバイリンガルのレベルは大きく分けて3つ

●話し言葉レベル

日本語と英語の両言語で、「生活言語」である「聞く・話す」ができるレベルです。聞くことが先です。ネイティブの子供は、家族との間では幼児の時に、より交流が広くなって友達との間では小学校の低学年までに、このレベルの発達段階を終えます。小学校へ入る前のお子さんであれば、保育園やキンダーへ通わせることで、この段階のスキルを急速に身につけます。

●読み書きレベル

話し聞くことができれば、次は「読み・書き」です。一般には、「学習言語」と呼ばれ、知的活動に必要な能力です。学校でいうと、3・4年生から本当に必要になる言語能力です。この頃になると、日常の家庭での話題を越えた内容の文章を読んで理解できるようになることとが要求されます。もちろん書く力は、読む力に続きます。
 
第1言語の「聞く・話す・読む・書く」の4技能の基礎は12歳前後で完成します。小学校中学年から中学校の初めくらいまでに、簡単な文章を読むことから抽象度の高い文章を書くことまでのトレーニングを、子供は学校で指導されます。この段階の指導のシステムは、日本の学校ではほとんど見られず、アメリカの学校教育が最も誇れるものです。ですから、現地校の勉強をしっかりやらせることが中心です。この段階での急激な質・量の増加を、日本人の子供1人でこなすことは大変です。親などがサポートすることが必要です。

●バイカルチャーレベル

言語のレベルを超えて、それぞれの文化を身に付けた段階です。もう大人になった私の娘は、自分のことを「スーパーハイブリッド」と呼びます。形ある文化だけではなく、友達との遊びや生活の中でも、日本人として、ある時はアメリカ人として、楽しむことができるとのことです。

家庭と学校の環境を整える

駐在員のご家庭で、幼児や低学年の子供をバイリンガルに育てるベストな方法は、①家庭では日本語だけを使う、②週日は現地校へ通わせ、英語での教育を受けさせる。③土曜日は補習授業校へ通わせ、日本語での教育を受けさせる、の3点です。
 
日本語は、家庭での日本語・日本文化の環境と、お母さんによる日常の指導が不可欠です。英語はもちろん、学校での学習を通して身に付けていきます。言葉の力を具体的に伸ばすのは、学校の学習を通して初めて可能になるのです。日本語については、幼児の場合、家庭内の日本語環境とお母さんの努力がすべてです。親は何もしなくて良い訳がありません。お母さんのできることは、変な英語ではなく、自分が生まれ育ってきた日本語の世界へ、子供たちを導くことです。学校での英語、家庭での日本語、このふたつができてバイリンガル(2カ国語使用)が可能になるのです。

長期的な展望に立った目標を

もう1つ、バイリンガルの子育てをする時に考えなくてはならないのは、「どのレベルで、どの年齢で、バイリンガルになるのを目標にするか」です。私が渡米した20年以上前は、「うどんですか、そばですか」を日英両語で聞ければ、バイリンガルでした。バブルのピークの時は日本語でも英語でも高校卒業程度の学力がある人がバイリンガルと呼ばれ、モノリンガルの人に比べ数割高い給料をもらいました。今の子供が成長した時には、バイリンガルにはどんな能力が要求されるのでしょうか?
 
10年後には、マイクに向かって英語を話せばきれいな日本語に翻訳してくれる小さな機械が出現しているでしょう。子供の時にバイリンガルと言われても、大人になったら使い物にならない英語を親御さんが望んでいるとは思えません。帰国後の教育も含めた長期的な展望に立って、日々の努力を継続し、バイリンガルに育てていくことが必要です。
 
(2004年5月1日号掲載)

海外に暮らす学生のための「日本の大学への進学&留学ガイド」サイト

「アメリカでのバイリンガル子育て」のコンテンツ