コロナの影響でビザ申請の 追加書類入手が間に合わない?

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Q. 私は現在、あるIT関連の会社でOPTにて働いています。OPTの有効期限が今年(2020年)8月いっぱいで切れるため、今年の3月に「E」ステータスを移民局に申請したのですが、追加資料の請求が来てしまいました。この請求の通知書に書かれている提出期限が迫っていますが、会社からの提出資料がそろいません。会社の従業員もコロナパンデミックのため何人か解雇され、他の従業員も自宅勤務なので、私の資料を集めるのが後回しになっています。OPTの有効期限も迫ってきているので不安です。私の立場上、会社に強く言うこともできずに困っています。何か良い方法はありますか?

A. 移民局からの追加書類の請求は、多くの場合は、「RFE(Request for Evidence)」と呼ばれるもので、書類を受け取ってから84日以内(郵送されてきた場合は87日以内。ほとんどの場合がこちらに当たる)に資料を移民局に提出する必要があります。「RFE」以外の移民局からの追加資料の請求としては、「Continuation to Request Evidence」「Notices of Intent to Deny」「Notices of Intent to Revoke」などが挙げられます。これらに関しては、通知が出された日から30日以内に資料を移民局に提出する必要があります。「Continuation to Request Evidence」は、アメリカ市民権申請の際に用いられる追加資料の請求です。「Notices of Intent to Deny」は、30日以内に移民局に資料等を提出しなければ却下されてしまうという内容のものです。「Notices of Intent Revoke」は、いったん認可されたビザステータスを移民局が取り消す意思を示すもので、同じく30日以内に資料等を提出しないと、認可されたビザを取り消されてしまいます。例えば、「H-1B」ビザの認可を受けた後、移民局の現地調査等により、移民局がその「H-1B」ビザを取り消す必要があると判断した場合などに用いられるものです。

従来の締め切りから60日間の猶予期間を設けた

移民局は、コロナパンデミックにより、資料を上記期限内に準備することが困難な場合があることを鑑み、2020年3月1日〜7月1日の間に発行された上記のNotice(通知)のいずれも、返答期間に60日間の猶予を与えるとしました。さらにパンデミックの状況により、7月1日以降も延長することを考慮するとしています。移民局からの結果が却下であった場合は、通常ならば30日以内に新たな資料等を提出して申し立てを行わない限り却下が確定してしまいますが、この期間にも60日間の猶予を与えるとしています。
従ってあなたの場合、通知書に書かれている締め切りからさらに60日間の猶予が与えられます。時間的にまだ猶予があるので、慌てて書類が足りないまま提出するのではなく、十分な資料をそろえて提出されることをお勧めします。あなたの追加資料の請求が「RFE」ではなく、「Notices of Intent to Deny」であったとしても、もちろん案件により異なりますが、却下がほぼ決まったというわけでもありません。資料の提出により認可が得られる可能性はありますので、十分な資料がそろうように努められるのが得策です。また、要求されている資料がどうしても入手できない場合は(もちろん要求されている書類自体を提出するのがベストではありますが)、資料を提出しないのではなく、移民局が求めているポイントがどこにあるか考え、代わりになるものを提出するのが有効な場合もあります。

Premium Processingにより申請を早める手続きも再開

また、あなたのOPTの有効期限に関してですが、仮にOPTの有効期限が切れたとしても、「E」ステータスの審査が行われている限り、その後も継続してアメリカに滞在できます。ただし、OPTの有効期限が切れた後は、「E」ステータスの認可が下りるまで、合法的に就労することはできません。もし、この就労できない期間を避けることを希望するのであれば、Premium Processingの申請方法が考えられます。これは、通常の申請料(「E」ステータスの場合は460ドル)に加えて1440ドルを「I-907」という書式に沿えて提出することで、15日間で結果を得ることができるようになる手続きです。このPremium Processingは、コロナパンデミックのため停止されていましたが、6月から申請のタイプごとに徐々に再開されており、あなたの申請の場合も2020年6月8日よりPremium Processingが使えるとされています。
この「I-907」は、最初に申請する際はもちろん、審査の途中での提出も可能です。従ってあなたの場合、今回の追加資料の請求に対しての必要書類を提出する際に、この「I-907」を提出すれば、OPTの有効期限が切れてしまう前に「E」ステータスの認可を受ける、あるいは仮にOPTの有効期限が切れてしまった場合でも、就労できない期間を短縮できる可能性があります。
 
※このページは「2020年7月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
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TEL 310-618-1818 / FAX 310-618-8788
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