ビザ発給停止の延長について詳しく教えてください!

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Q.私は現在「L-1」ビザにてアメリカに滞在し、日系の会社で働いています。来月でビザの有効期限が切れるので、日本のアメリカ大使館にて更新を行う予定でした。ところが、トランプ大統領がビザの発給・入国停止命令を延期したため、更新を行うことができなくなりました。国内でアメリカ滞在の延長ができることは知っているのですが、日本への出張があるため、これも困難です。4月まで待つことも考えましたが、入国停止命令がまた延期されるかも知れないことを考えると不安です。何かよい方法はありますか。

A.2020年12月30日にトランプ大統領は、同年6月22日に発表した入国制限を今年の3月31日まで延長する旨を発表しました。制限の対象となるビザの種類は、以前同様「H-1B」「H-2B」「J」「L」の各ビザです。その他の種類のビザ(例えば「B」ビザ、「E」ビザ、「O」ビザなど)は制限の対象外です。「H-1B」ビザは、専門職ビザと言われ、申請者が4年制大学を卒業しているか、それに相当する職務経験があり、米国での職務内容が複雑かつ専門的であり、大学あるいは職務経験で学んだことを当該職務で生かすためのビザです。「H-2B」ビザは季節労働者のため、「J-1」ビザは、学生、研究者、研修生、教師、大学教授などの交換プログラムのために用いられるビザ、「L-1」ビザは、日本にある会社(親会社)から米国内にある会社(子会社)に派遣される人のためのビザです。

3月以降の再延長も見すえ「E」ビザ切り替えも選択肢に

この入国制限の延期に伴い、日本のアメリカ大使館における永住権の面接も3月いっぱいまで行われないことになります。昨年より、日本で永住権の面接を待ってる人がかなりいますが、今後、この申請者の人たちが面接を受けられるようになった際、日本のアメリカ大使館がどのように対応するかも注目されるところです。あなたの場合は、来月で「L-1」ビザが切れるため、「I-94」も来月で有効期限が切れることになると思います。従って、「I-94」の有効期限が切れるまでに出国するか、国内での延長を行う必要があります。あなたの言う通り、「I-94」の延長では、アメリカ国外への出入国ができなくなるため、あなたが出張できるようにするには、何らかのビザを取得する必要があります。あなたのケースであれば、トランプ大統領による入国制限を受けない「E」ビザの申請が考えられます。「E」ビザは「E-1」(通商)ビザと「E-2」(投資家)ビザの二つに分かれています。どちらも、アメリカにある会社の少なくとも50%以上の株式を日本人(米国籍もグリーンカードも保持していない人)あるいは日本の会社が所有していて、「E-1」ビザの場合は日米間において貿易が行われていること、「E-2」ビザの場合は、日本からの投資が行われていることが条件とされています。従って、あなたの会社は「L」ビザの条件を備えているので、「E」ビザの条件も備えている可能性が高いです。

「E」ビザ申請にあたっては、会社登録の有無を確認する

ここで、「E」ビザを申請するにあたって確認する必要があるのは、あなたの会社が、アメリカ大使館で会社登録をされているか否かということです。会社登録の有効期限は、一般的にはその会社の中に有効な「E」ビザを保持している従業員がいるか否かによって決まります(ただし、必ずしもこの法則通りでない場合もあるため、不確実な場合は事前に日本のアメリカ大使館に問い合わせておくのが得策です)。従って、あなたの会社の会社登録が有効であれば、あなたは日本のアメリカ大使館に「E」ビザの面接予約を入れ、大使館での面接を受けることにより、「E」ビザを取得することができ、アメリカからの出入国も可能になります。一方、会社登録がまだできていない場合は、会社登録から行う必要があります。これには、2~4カ月を要するので、この期間、「I-94」が切れた後は日本で待つことももちろん可能ですが、アメリカに滞在することを希望する場合は、会社登録が完了するまでの間、現在の「I-94」の延長手続きを行う必要があります。もちろん、入国制限が3月末で解除されれば、あなたの「L-1」ビザの更新が可能になりますが、入国制限がさらに延期された場合のリスク回避を考慮するのであれば、今から会社登録の手続きを始めておくのも得策と言えます。さらに、仮に入国制限が解除されたとしても、会社登録の手続きを進め「E」ビザを申請すれば、多くの場合は5年間のビザを取得することができます。「L-1」ビザの場合も有効期間は5年間ですが、滞在資格は最大3年でその後移民局を通して、あるいは大使館・領事館で更新の必要であるのに対し、5年間の「E」ビザは、滞在資格は2年ですが、アメリカからの出入国のみにて更新が可能になります。

※このページは「2021年2月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。2021年1月5日現在の情報をもとにしており、最新情報は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
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