「E-2」配偶者のビザ更新に遅れ。就労を続けることはできますか?

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私の夫は「E-2」ビザを持っており、私も配偶者として同じく「E-2」ビザを持っています。私は夫の「E-2」の配偶者として就労許可を取得して、ある日系の会社で働いています。しかし現在、就労許可を更新中で、新しい就労許可が来る前に、以前の就労許可の有効期限が切れてしまいました。そのため現在は働くことができず、自宅待機となっています。就労許可が切れる前に、かなり余裕を持って更新申請をしたのですが、半年以上経っても何の連絡もありません。最近この件で、新しい就労許可が来なくても働けるようになったと聞いたのですが、詳しく教えてもらえますか? このままでは、会社が代わりの人を見つけて、私が仕事を失いそうで心配です。

A.「L」ビザ、「E-1」「E-2」ビザを配偶者が保持している場合は、移民局に就労許可を申請することにより、就労することができます。「L-1」ビザの配偶者の人のビザは「L-2」ですが、「E-1」「E-2」ビザの配偶者の人のビザは同じく「E-1」「E-2」ビザなので、混乱を避けるため、このコラムでは「E-1」「E-2」を取得した人のビザを「E-1/2 Primary」ビザ、その配偶者として「E-1」「E-2」ビザを取得した人のビザを「Dependent E-1/2」ビザと呼びます。

ビザ更新の遅れは多くの人に発生している

「L-2」「Dependent E-1/2」ビザの人が「就労許可」(EAD:EmploymentAuthorization Document の略)を取得した場合、この就労先は「L-1」「E-1/2Primary」ビザの人の就労先と関連している必要はなく、また「L-1」「E-1/2Primary」の場合と違い、学歴・経験などの条件もないため、一般的には「L-2」「Dependent E-1/2」の人は特定の場合を除いて、好きな職場で働くことが可能で、「L-2」「Dependent E-1/2」自身がビジネスを行うこともできます。

新型コロナウイルスのパンデミック以降、移民局の労働力が十分でないことなどが理由となり、申請の種類(カテゴリー)により大幅な遅れが目立っています。例えば、「E-1/2」ステータスへの変更、更新の申請(ここで言うステータスの申請とは、日本のアメリカ大使館・領事館にて発行されるビザとは違い、アメリカ国内において移民局を通して行われる申請を指します)、あるいは学生(「F-1」)のステータスへの変更などでは半年以上、長い場合では1年以上を要しています。あなたの就労許可(EAD)の更新も例外ではなく、半年以上を要しており、この遅延により仕事を失うリスクを負っている人はあなた以外にも多くいます。

一時的な期間延長に加え、新たな証明方法も整備中

移民局はこのような状況、また関連する事案における集団訴訟(一定のグループの集団が移民局を相手取って訴訟を行うこと)が起こっていることも鑑み、2021年11月12日付(施行)で、一定の条件を満たす場合は更新中の就労許可を待たずして就労できると発表しました。一定の条件とは、就労許可の有効期限が切れる前に更新申請を行っていること、更新の際の申請カテゴリーが以前の就労許可と同じであることとされています。この条件を満たす場合は、以前の有効期限の日から180日までの間、就労が可能であるとされています。従ってあなたの場合は、今すぐにでも就労が可能となります。

あなたが、会社から就労資格の証明(「I-9」フォーム)の提出を求められた場合は、有効期限の切れた就労許可に加えて、移民局から送られてきた更新申請のレシートを提出することにより証明されることになります。その際、移民局での受付日が、あなたの以前の就労許可の有効期限以前の日にちである必要があります。また、就労可能な期限は、以前の就労許可の有効期限に180日を加えた期日を「I-9」フォームに記載することができます。ただし、更新申請が却下された場合は、その時点で終了になります。

さらに、移民局は今後の対策として、「L-2」「Dependent E-1/2」ビザの保持者は、就労許可の申請を行うことなく、就労を可能にする方向に向かうとしています。具体的には、「L-2」「DependentE-1/2」ビザの「I-94」に「Spouse」(配偶者)の記載を行うことにより、就労可能な証明とするとしています。現在のところ(21年11月22日現在)、移民局はこのシステムを構築中で、この新しいシステムにおける「Spouse」の記載のある「I-94」を受け取るまでは、従来通り就労許可の申請が必要であるとしています。

※筆者からのコメント
このコラムは、21年11月22日現在における情報をもとにしています。このコラムが発行されるころには、新たな変更が加えられる可能性があります(特にコラム最後の「I-94」の制度)ので、最新の情報をもとに判断されることをお勧めします。

※このページは「2021年12月16日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。情報は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。

◎ 瀧 恵之 / Yoshiyuki Taki Attorney at Law
21221 S. Western Ave. #215, Torrance, CA 90501
TEL 310-618-1818 / FAX 310-618-8788
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