- グリーンカードを失いたくない。 Re-entry Permitとは?
- 米国外での長期滞在中もグリーンカードを保持するには?
- 永住権保持者の長期国外滞在リスクと市民権申請への影響
- 長期の米国外滞在で永住権を維持するためには?
Q:グリーンカード取得から10年以上が経ちますが、日本本社への転勤が決まり、長期で日本に滞在することになりました。でも、苦労して取得したグリーンカードを失いたくありません。知人から「Re-entry Permit」が有効と聞いたのですが、説明をお願いします。
A:「Re-entry Permit」は、米国外に長期間滞在していても、その後、米国に戻る意志があることを示すことで、グリーンカードを保持できるシステムです。「Re-entry Permit」がない状態でグリーンカードを保持するには「連続して180日以上米国外に滞在しない」ことが1つの条件として挙げられます。一般的には、米国外滞在が1年を越えると「永住権を放棄した」と見なされますが、1年以下でも180日を越えると、入国の際の審査官の判断により永住権を取り上げられる可能性があります。
注意したいのは、180日以内でも出入国を長期に渡って継続し、合計して米国外での長期滞在を過去5年のうち2年半以上続けると、米国での永住の意志を放棄したと見なされ、グリーンカードを失う可能性があるということ。例えば、日本に連続して179日間滞在し、米国に戻った後、米国に2週間だけ滞在し、再度、日本に179日間滞在するといったことを繰り返すと、米国への入国の際に永住権を失う可能性があります。この場合、入国審査官にグリーンカードを取り上げられ、Contest(異議申し立て)を行うかどうかが聞かれます。Contestを行わない場合は、他の一般の観光者と同じように、観光のステータスによって入国を許可され、90日までの滞在資格が与えられます。
Contestを行う場合は、移民局の裁判所において永住の意志があるかどうかが問われ、意志がないと判断されると永住権を失うことになります。この判断においては、米国での永住の意志があることの客観的な状況証拠(例えば米国に会社を持っていて、米国市民の従業員が多数いるなど)があるかどうかが吟味されますが、判断基準は極めて厳しいです。従って、このような事態を避けるため、前もって「Re-Entry Permit」を申請することが得策です。
「Re-entry Permit」を申請すると、1回の申請で最長2年まで米国外に滞在できます。また、その間のアメリカへの出入国も自由です。「I-131」にグリーンカード(表裏)とパスポートのコピー、写真2枚、申請料445ドルを添えて移民局に申請します。米国外での滞在が2年以上必要な場合は、2年以内に米国に戻り、その滞在期間中に、再度「Re-entry Permit」を申請することになります。
2度目の申請までは、2年の「Re-entry Permit」を取得できますが、3度目以降の申請では、1年のみとなります。また、3度目以降の申請では、米国に戻る意志を放棄していないことを示す特別な理由がない限り、許可を得ることは困難になります。ここで言う特別な理由としては、例えば米国の会社より海外の支店に駐在するケースが挙げられ、会社からの手紙を添えて申請書を提出するのが望ましいです。
申請には注意点が多い永住権申請という選択も
「Re-entry Permit」申請で不便なのが、申請後、米国内で指紋を取らなければならないことです。1回の申請ならば、余裕を見て(申請後約4週間以内に指紋採取の通知がきます)申請すれば良いのですが、2回目以降も毎回指紋を米国の移民局で取らなければならないため、申請時とその後の指紋採取時の両方にアメリカにいなければなりません。ですから、日本で勤務する場合は非常に不便です。
そこで、毎回アメリカで申請して指紋を取るのが困難と予想される場合、米国市民権の申請を行うことが賢明かもしれません。米国市民権を取得するには、永住権を取得してから4年9カ月を経過していれば申請の開始が可能です。あなたの場合、今申請を開始すれば、春までに少なくとも指紋採取まで終えることができますので、その後、面接及び宣誓式の時にアメリカに戻ってくれば、米国市民権の取得が可能です。ちなみに、両親が市民権を取得すれば、18歳未満の子供は自動的に市民権を取得できます。
ここで留意していただきたいのは、「Re-entry Permit」を取得した後にアメリカを2年間離れたら、その後、米国市民権申請はできないということです。なぜなら、市民権申請の条件として「過去5年間に連続して180日以上国外に出ていないこと」、さらに「5年間のうち合計で半分以上は米国内に滞在しないといけない」と規定されているからです。従って、アメリカ国外に180日以上滞在した後、「やはり市民権を取得しよう」と試みる場合、アメリカに戻ってそこから4年半待たなければいならなくなってしまいます。市民権を申請するか、「Re-entry Permit」を申請するかの判断は、今回の出国前にすることをお勧めします。
(2013年3月1日号掲載)
Q:7年前に駐在員として米国に赴任し、現在勤めている会社を通してグリーンカードを取得しました。しかし、今春から中国への転勤が決まり、米国を離れなければならなくなりました。米国を長期間離れると、グリーンカードを失ってしまうと聞きました。子供の学校や将来のことを考えると、戻って来られるチャンスを手放したくありません。何か手段はあるでしょうか?
A:あなたの場合、「Re-entry Permit」を申請する方法、あるいは、市民権を取得する方法が考えられます。Re-entry Permitは、米国外に長期にわたり滞在しても、戻る意志があることを証明することにより、グリーンカードを保持できるシステムです。Re-entry Permit がない状態で、グリーンカードを保持するには、連続180日以上、米国外に滞在しないことが1つの条件として挙げられます。
また、180日以内であっても、出入国を長期にわたり継続し、米国外での滞在が、過去5年間で合計して2年半以上になると、永住の意志を放棄したと見なされ、グリーンカードを失う可能性があります。例えば、日本に連続して5カ月間滞在し、帰国後1週間だけ滞在し、再度日本に5カ月滞在するというようなことを繰り返した場合、米国入国の際に、グリーンカードを失うことになります。
入国審査官にグリーンカードを取り上げられた際、コンテスト(異議申し立て) を行うかどうか聞かれます。行わない場合は、一般の観光者と同じように観光のステータスで入国が許可され、最高90日までの滞在資格が与えられます。
コンテストを行う場合は、移民局の裁判所への出頭日をその場で知らされます。裁判では、米国永住の意志があるかどうかが問題となり、この意志がないと判断されると、永住権を失うことになります。この永住の意志の確認では、客観的な証拠(例えば、米国に会社を持っていて、米市民の従業員が多数いるなど)が吟味され、その判断基準は極めて厳しいと理解した方が良いでしょう。
手続きの帰国が困難なら市民権申請も視野に
Re-entry Permit を申請した場合は、1回の申請で最長2年まで、グリーンカードを保持しながら米国外に滞在できます。その間の米国への入出国も自由です。Re-entry Permit の申請は、申請書Form I-131 にグリーンカード、パスポートのコピー、写真2枚、および、申請料385ドルを添えて移民局に申請します。
2年以上、米国外での滞在が必要な場合は、2年以内に米国に戻り、滞在中に、再度Re-entry Permit を申請します。2度目の申請までは、2年間のRe-entry Permitを取得することができますが、3度目以降は1年間のみ許可されます。これ以降の申請は、特別な理由がない限り、許可を得ることは困難です。この特別な理由としては、例えば、米国外の支店に駐在する等が挙げられ、会社からの手紙を添えて申請書を提出するのが望ましいでしょう。
Re-entry Permit申請に際して不便なのが、申請後、米国内にて指紋登録が必要なことです。1回目の申請ならば、余裕を見て申請(申請後約4週間以内に指紋登録の通知が来ます) すれば良いですが、2回目以降は、指紋登録申請から、それに続く指紋採取までの期間、米国に滞在しなければなりません。ですから、中国で勤務しなければならないような場合には、非常に不便が生じることになります。米国に戻って、申請、および指紋登録をすることが困難である場合には、市民権申請を行うことが賢明かもしれません。
アメリカ市民権を取得するには、永住権を取得してから4年9カ月が経過していれば、申請を開始することができます。
あなたの場合、今から申請を開始すれば、春までには、少なくとも指紋登録まで終えることができるでしょう。その後、面接、および宣誓式の際に米国に戻って来れば、市民権の取得が可能です。また、両親が市民権を取得すれば、18歳未満の子供は自動的に市民権を取得できることになります。
ここで気を付けていただきたいことは、Re-entry Permit取得後、米国を2年間離れると、その後、市民権を申請することができないということです。なぜなら、市民権申請の条件として、過去5年間に連続して180日以上米国外に滞在していないこと、および、過去5年間のうち、合計半分以上の期間、米国内に滞在していることが規定されているからです。
従って、Re-entry Permit を申請し続けることによってグリーンカードを保持するか、それとも市民権を申請するのかを、現時点で決めなければならないということです。
(2010年2月1日号掲載)
Q:私はグリーンカードを保持しています。仕事のためしばらく日本に帰らなくてはなりませんが、グリーンカードを失いたくありません。どのような手続きが必要でしょうか?また、アメリカ国外に長期滞在すると、市民権申請が難しくなると聞きました。詳しく教えてください。
A:グリーンカード保持者がアメリカ国外に長期滞在する場合、グリーンカードを維持するためには、アメリカ国内で「Re-entry Permit(再入国許可証)」の申請をしなければなりません。
一般的に1年のうち6カ月以上アメリカ国外で過ごす予定があれば、出国前に申請する必要があります。
申請に必要な書類
①Form I-131
②グリーンカード両面のコピー
③パスポートのコピー
④申請料385ドル
⑤申請者の写真(2枚)
申請時点でアメリカ国内にいる必要がありますが、申請後は結果を国外で待つことができます。しかし、再入国許可証の申請後、USCIS(移民局)のApplication Support Centerで指紋を登録することが義務付けられています。
通常、指紋採取の日程は,再入国許可の申請後、約1カ月後に設定されます。万が一、指紋採取の予約日に(国外にいるなどの理由で)行けない場合は、日程の変更をしてもらうことができますが、延長できたとしても4~6カ月が限度です。ですので、再入国許可証を申請するタイミングとしては、アメリカを出国する1カ月以上前か、申請後すぐに国外に出た場合は、指紋採取のためにもう1度アメリカに戻って来る必要があります。
1度発行された再入国許可証は、2年間有効です。その後、さらに2年間の延長が、前記と同じ方法でできます。気を付けていただきたいのは、この場合も申請時は、アメリカ国内にいなくてはなりません。
2度目以降の再入国許可証の延長は困難になりますが、アメリカに戻って来る意志があることを証明する書類を提出すれば、1年ごとの更新が可能です。
米企業の海外派遣なら市民権申請に影響なし
市民権を取得するためには、永住権取得から5年以上(アメリカ国民と結婚した場合は3年以上)経過していなければなりません。ただし、申請開始はその期間の3カ月前から可能です。そして、5年間(または3年間)のうち合計して半分以上の期間、アメリカに滞在していなければなりません。
また、この期間は継続してアメリカに居住していなければなりません。長期間アメリカを不在にすると、このような理由から、市民権の申請ができない場合があります。
市民権取得に関して、アメリカ不在期間が1年間のうち6カ月未満であれば、継続的に居住しているとみなされます。
6カ月以上1年未満の場合、継続的な居住を放棄したとみなされ、市民権取得に影響を及ぼす恐れがあります。この場合、申請者がアメリカにおける継続的な居住を放棄していないという客観的な証拠を提出することにより、申請が認められることもあります。
アメリカ不在が1年以上の場合、居住条件を満たしていないと見なされます。ただし、アメリカ国外に居住する場合、「Preserve Residence」という申請をすることにより、国外に居住していた期間もアメリカに滞在しているのと同じように換算されます。
Preserve Residenceを取得するためには、米軍に所属していたり、米政府機関やアメリカ企業からの海外派遣、宗教目的の派遣である、などの理由が必要です。
あなたの場合、もしアメリカ企業での仕事が目的で日本に帰るのであれば、Preserve Residenceの申請をしておけば、市民権取得には問題ありません。
しかし、Preserve Residenceの申請ができる条件を満たしていなければ、日本滞在中の期間は居住期間に換算されません。ですので、アメリカ帰国後から4年9カ月間、継続的にアメリカに居住しなければ、市民権の申請はできません。
Q:私はグリーンカード(永住権)を保持しています。(1)日本の大学に入学、(2)親の面倒を看る、(3)日本の企業に就職・転職という、いずれかの理由で、しばらく日本に滞在しなければならない場合、グリーンカードを失わずに済む方法はありませんか?
A:米国外に長期滞在する予定がある場合、永住権を維持するためにはいくつかの手順を踏む必要がありますので、注意してください。一般的に、永住権保持者が1年のうち6カ月以上を米国外で過ごす予定があれば、出国前に「Re-entry Permit(再入国許可証)」を申請すべきです。必ず出国前に申請する必要があり、申請が審査される間、国外で待つこともできます。
しかし、今年3月5日からは、出国の数週間から数カ月前までに申請をすることが重要になりました。これは、USCIS(移民局)が、再入国許可証の申請方法を変更し、バックグラウンドとセキュリティーチェックのため、出国前にUSCISアプリケーション・サポートセンター(ASC)へ生体認証(指紋と写真)とその費用80ドルを提出することが、申請者に義務付けられたからです。フォームI-131の提出後、USCISは申請者に、指定のASCに出向くよう予約時間を通知します。
フォームI-131にグリーンカードのコピーを添え、申請者の米国との関連性を証明するもの(タックスリターン・フォーム、ドライバーズライセンス、米国内に銀行口座を持っている、米国内に家族が住む、米国内に資産を所有する、など)と共に、USCISネブラスカセンターに申請します。
発行された再入国許可証は2年間有効です。さらに2年間延長することができますが、その手続きは米国内で行う必要があります。4年経過後、再入国許可証を得るのはさらに困難になりますが、1年程度の延長は法律的には可能です。
再入国許可証を持っていても、国土安全保障省によって、米国永住の意思があるかどうかを問われることはあります。再入国許可証は、単に国土安全保障省が、永住権保持者の永住の意思の有無を、米国外での滞在期間によってのみ判断することを防ぐだけです。このため、長期間の米国外滞在には、常にリスクが伴います。米国外に滞在中もタックスリターンをするなど、米国とのつながりをできるだけ多く持つことが大切です。
なお、米国市民、永住権保持者は、米国外に居住していても、タックスリターンを行う義務があります。
▶アメリカでのタックスリターン(確定申告)についてはこちら
Q:不法移民が従軍することで市民権を得たという記事を読みました。私も志願したのですが、断られました。どうしてでしょう?
A:もしあなたが不法移民でも、既に従軍していれば、特別帰化法の恩恵にあずかることができます(INA 329項)。これは、徴募が何らかの手違い、または条件付き永住権保持者が条件の解除を怠っていた場合などを指します。
現在、徴兵法、従軍法、帰化法は、きちんと同調していません。もし徴兵があれば、不法移民も軍に徴兵されることがあります。現在米軍は、不法移民と判明している者を、徴兵以外で軍に受け入れる場合の方針を定めていません。不法移民を従軍させることが国益にとって欠かせないと判断されれば、入隊できることがあります。
この件について、Margaret D. Stockが『Essential To The Fight: Immigrants in the Military, Five Years After 9/11』と題した記事(www.immigrationpolicy.org/index.php?content=f0611)を書いています。
(2008年4月1日号掲載)
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