Q:日本で大学を卒業し、語学の勉強のため、アメリカに来ています。アメリカで働きたいので、現在就職活動をしていますが、卒業した日本の大学の専攻が英文学なので、移民局の審査が厳しい昨今の状況では、H-1BやEビザなどの就労ビザ取得は難しいと色々な会社から言われました。そこで、J-1ビザの取得について詳しく教えてください。
A:教育機関やその他非営利機関公認のプログラムに参加する目的で渡米する場合、アメリカの交流訪問者(J-1)ビザを取得することができます。これらのプログラムには、大学院生、 レジデントまたはインターンとして企業で働く研修生の一部が含まれます。さらに、実習プログラムや大学生のためのインターンシッププログラム、あるいはオペアプログラムなど、青少年のための交流訪問者プログラムもあります。
交流訪問者ビザの申請には、以下の要件を証明する必要があります。
①「DS-2019」を発給できるアメリカ政府認可プログラム機関から交流訪問者として受け入れられていること
SEVIS(Student and Exchange Visitor Information System:学生・交流訪問者情報システム)仕様の「DS-2019」には、プログラム番号、およびバーコードが付与されています。交流訪問者ビザの申請には、受け入れ機関の責任者が署名したこの「DS-2019」が必要です。ただし、「DS-2019」は、J-1ビザの発給を保障するものではありません。申請する在日米国大使館・領事館では、個々の申請を慎重に審査した上で、適格かどうかを判断します。
また、「DS-2019」はビザではありません。交流訪問者ビザを持たずに「DS- 2019」のみでアメリカに到着した場合、入国は認められませんのでご注意ください。また、SEVIS費を支払わなければなりません。SEVIS費は、ビザ申請料金と共にビザ申請前に支払います。
②諸費用を支払うための十分な資金を所持していること
アメリカ、または日本のスポンサー機関が費用を負担してくれる場合は、その機関からの推薦状。
③適切な英語力があること
④ビザ申請国との強い結び付きと、プログラム終了後には、アメリカを出国するという意思があること
これらの要件は、審査する領事を納得させるのに十分な内容でなければなりません。個々により状況が大きく異なるため、提出すべき書類の具体的なリストはありません。
トレーニングインターンプログラム
J-1研修プログラムは、通常、正規従業員が携わる生産的仕事のごく一部を含むこともありますが、研修や技術の向上が主目的でなければなりません。本来正規従業員が就くはずの業務を、研修生が代行することはできません。審査の参考にされますので、詳細な研修プランを提出してください。
重要事項(2年間居住規定)
以下の条件の1つ、あるいは複数の条件が当てはまる場合、交流訪問者プログラム終了後、自国または渡米前に居住していた国に、少なくとも2年間居住しなければ、移民ビザ、婚約者(Kビザ)、短期就労(Hビザ)、または企業内転勤者(Lビザ)が発給されないことがあります。
①アメリカ政府、国籍保有国の政府、または渡米前に居住していた国の政府の出資によるプログラムの場合
②申請者が交流訪問者プログラム参加中に携わった専門知識・技能が必要とされる分野において、人的サービスが必要であると国務長官が指定している国民、または指定国の居住者の場合(日本国籍の方は該当しません)。
③医学や研修を受けるためにアメリカに入国した医師の場合(専門の教育研究機関または医師の協議会が関係するプログラムを除く)。
アメリカへの入国、および滞在期間
Jビザを所持する人は、「DS-2019」に記載されたプログラム開始日の30日前からアメリカに入国できます。この30日制限は、すでにプログラムに参加している人がいったんアメリカを離れ、プログラムを続けるために再度アメリカに戻る際には適用されません。またJビザ保持者は、「DS-2019」に記載されたプログラム終了後30日間は、アメリカに滞在を続けることができます。
(2010年12月16日号掲載)
Q:私は、昨年12月にアメリカの大学を卒業し、現在、プラクティカルトレーニングである会社で働いています。今年のH-1B申請で、抽選漏れしてしまい、来年、再度申請する予定ですが、プラクティカルトレーニングは、今年いっぱいで切れてしまいます。来年度のH-1Bビザが有効になる来年10月まで、どうすればいいのか悩んでいます。J-1ビザなどを取ることはできますか? また、これらのビザ取得は難しいのでしょうか。
A:J-1ビザは、学生、研究者、研究生、教師、大学教授などの交換プログラムのために用いられるビザです。交換プログラムは、アメリカ政府に認可されたプログラムでなくてはなりません。この様なトレーニングプログラムを探すには、認可されたプログラムを持つ機関に問い合わせるか、トレーニングプログラムを探してくれる機関に問い合わせることができます。代表的な機関は、「American Council International Personnel」(☎202-371-6789)と「Association for International Practical Training, Inc.」(☎410-997-2200)です。
J-1ビザを取得するにはDOS(Department of State)により認可された政府機関、団体から発行されたフォームDS-2019、およびその他の必要書類を揃え、申請者の国のアメリカ大使館か領事館に申請します。学生の場合は最高24カ月間、その後プラクティカルトレーニングが18カ月間与えられます。また、期間終了後は30日間のGrace Period(アメリカを発つまでに許されている滞在期間)が与えられます。
あなたの場合、プラクティカルトレーニングで既にトレーニングを受けており、これ以上トレーニングの必要性がないということで、J-1ビザ申請が却下される可能性があります。したがって、あなたのトレーニングが1年以上必要であることを証明する必要があります。トレーニングの綿密なプランを提出することをおすすめします。
もう1つ気を付けていただきたいのは、あなたの将来のアメリカでのプランです。2年後にアメリカに居たいのか、日本に帰りたいかです。ご存知のようにH-1Bビザは毎年応募数が増え、来年も抽選が行われるかもしれません。また抽選に漏れて、再来年になる可能性もあります。運良く今年、J-1ビザが取れたとしても、来年H-1Bビザが取れなければ、2年間しかアメリカにいられません。J-1ビザを他のプログラムで取るには、18カ月間アメリカ国外に出なければなりません。ですから、これらの可能性をよく考えて、J-1ビザ申請に踏み切ってください。
審査が厳しく取得が困難なH-3ビザ
H-3ビザは、アメリカの会社または団体が、アメリカでしか得られない知識や技術を外国人に教える機会を与えるためのプログラムです。プログラムは、クラスでの授業や実際に知識や技術を仕事に活かしたものです。プログラム内の仕事に関しては、合法的に給料をもらうことができます。
しかし、H-3ビザの第1の目的は、プログラム内容が自国にはない知識・技術のトレーニングをアメリカで受け、自国にそれを持ち帰るということですから、H-3ビザを取得することが労働目的であってはいけません。ですから、その目的を達成できるしっかりとした内容のプログラムかどうか審査がなされます。
H-3ビザのプログラムには、最高24カ月の期間が与えられます。H-3ビザでのアメリカ滞在が24カ月以下の場合、さらに24カ月のH-3ビザ延長が可能です。しかし、いったん24カ月間を使い切ってしまうと、H-1Bへのステータス変更が、自国に6カ月以上帰らない限り不可能になります。また、とても厳しい審査のために、H-3ビザは毎年3000人ほどしか認可されていません。しっかりとしたプログラムを持っている会社・団体を通して申請されることをおすすめします。
また、J-1ビザのようにプラクティカルトレーニングを申請していて、これ以上トレーニングの必要性がないということで、H-3ビザ申請を却下される可能性があります。さらに、あなたが2年後に日本へ戻る予定でないのでしたら、H-3ビザ取得はおすすめできません。あなたにほかの可能性があるかどうか、移民法専門の弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。
(2008年10月16日号掲載)
こちらも合わせて!「アメリカ版ワーホリ?!J-1ビザインターンシップ」
●関連記事
アメリカ・ビザの基礎知識とその種類
特別企画:アメリカでワーキングホリデーのように働ける!「J-1ビザインターンシップ」徹底解説
アメリカ・ロサンゼルス留学~おすすめ大学・語学学校の最新情報