6年前に「L-1」ビザで現在の米系会社に赴任し、雇用主を通しグリーンカードを申請中です。2020年10月に「I-485」を申請し21年3月に指紋採取をしました。現在、EADカード(「Employment Authorization Document」)を待っているところですが、あいにくパンデミックの影響で、あと数週間で会社を辞めなければなりません。もし退社をするタイミングでEADカードが届かなかった場合、グリーンカード申請自体が白紙に戻ってしまうのでしょうか?このような状況でEADがなくてもどうにかグリーンカードの申請を続ける方法があれば教えてください。
A.本件では、EADの発行がいつされるのかではなく、「I-140」の申請が認可されているかどうかが重要です。以下、順を追って説明します。
「L-1」ビザからの切り替えは第1優先で申請可の可能性大
あなたの場合は、「L-1」ビザをお持ちなので、グリーンカード申請は、第1優先、あるいは第2・3優先のカテゴリーにて申請していると思います。まず、第1優先での申請の条件は次の3点です。1点目は、日本(米国外)にある会社と米国にある会社が親子関係にあること。これには、米国にある会社の50%以上の株式を日本(米国外)にある会社が直接的に所有している場合、また米国の会社の50%以上の株式を所有する株主が日本(米国外)の会社の50%以上の株式を所有している場合も親子関係にあると見なされます。あるいは日本(米国外)にある会社の50%以上の株式を米国にある会社が直接保有している場合(恐らく本件も該当)も可能です。
あなたの場合は、「L-1」ビザをお持ちなので、グリーンカード申請は、第1優先、あるいは第2・3優先のカテゴリーにて申請していると思います。まず、第1優先での申請の条件は次の3点です。
1点目は、日本(米国外)にある会社と米国にある会社が親子関係にあること。これには、米国にある会社の50%以上の株式を日本(米国外)にある会社が直接的に所有している場合、また米国の会社の50%以上の株式を所有する株主が日本(米国外)の会社の50%以上の株式を所有している場合も親子関係にあると見なされます。あるいは日本(米国外)にある会社の50%以上の株式を米国にある会社が直接保有している場合(恐らく本件も該当)も可能です。
2点目は駐在員として、米国の会社で部長、あるいは重役クラスなどの管理職に就いていること。移民局では一般的に、これに関して、申請者の下に部下がいるということだけでは十分でなく、申請者の下に部下を持つ役職の者がいることを要求しています。言い換えると、申請者を頂点としてその下に2段のピラミッド型の管理体系が必要ということです。
そして3点目は、駐在員として、「L」 ビザ、あるいは「E」ビザにて米国に入国する前の過去3年間のうち、少なくとも1年間以上部長、あるいは重役クラスなどの管理職として日本(米国外)にある親会社(子会社や系列会社でもよい)において勤務していたことです。
「L-1」ビザを持っておられる方は、「L-1」ビザ取得の条件が、グリーンカードの第1優先の条件とほぼ等しいため、ほとんどの場合この第1優先のカテゴリーの条件を満たします。しかしながら、パンデミックの影響で部下となる従業員が著しく減っているなどの理由で、この条件を満たすことがきていない場合は、第2・3優先にて申請することになります。この第2・3優先のカテゴリーでは、前述の条件は全て免除されま(もちろん第2・3優先においての条件はあります)。ただし、第1優先での申請が、移民局での申請(「I-140」と「I-485」)から始められるのに対して、第2・3優先では、労働局での申請から始めることになり取得までの時間は長くなります。労働局から労働認可証(「Labor Certification」)が発行された後、移民局での申請(「I-140」と「I-485」)を行うことになります。
「I-140」「I-485」条件満たせば雇用主の変更が可能
第1・2・3優先のいずれにおいても、①「I-140」が認可されていて、②「I-485」 を申請して180日以上が経過していれば、グリーンカードの申請において雇用主を変更することができます。この雇用主の変更は、新しい会社において、同等あるいは類似の役職であれば可能で、これにより今までのグリーンカードの手続きを無駄にすることなく、継続できるようになります。あなたの場合は、「I-485」の申請を行っていて、既に180日を経過しているので、あと問題となるのは「I-140」が認可されているかどうかということのみです。
「I-140」が認可されていなければ、第2・第3優先の場合は、「Premium Processing」(2500 ドルを移民局に追加で支払うことにより審査期間を15日間に縮める方法)を用いることにより、早く認可を確保する方法も考えられます。この「Premium Processing」は必ずしも「I-140」の申請の際に行う必要はなく、審査の途中からでも切り替えることができるとされています。
この雇用主の変更は、移民局に通知を行うだけで可能で、グリーンカードの面接の際に、新しい会社からのオファーがあることの証明(「I-485 Supplement J」)や、新しい会社が定められた給料を支払える経済的能力がある証明として、Tax Returnの書類などを提出することになります。従って、あなたの場合は、できる限り早く新しい雇用主を見つけ、グリーンカードの申請を継続できるようにすることが重要と言えます。
※このページは「2021年7月1日号ライトハウス・ロサンゼルス版」掲載のコラム『移民法のツボ(瀧 恵之)』を基に作成しています。情報は変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
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